しゃしゃっ!猫の尿スプレーの原因と対策。マーキングは無くせます

部屋中いたる場所に「しゃしゃっ」としてしまう、猫の尿スプレー行為。

経験した方ならお分かりかと思いますが、スプレーにはただでさえ強烈な猫の尿臭がさらに濃縮されていて、その上鉄を腐食させるほどの強力な酸も含まれています。

これはいわゆるマーキング行為です。周囲に自分の存在を示す目的があるため、通常の尿とは成分が違うのですね。

そして椅子やら壁やら、所構わずといった感じでしてしまいます。私自身は脚の上でされたこともあります、しかも3回!

なぜ、猫はスプレーをしてしまうのでしょうか?そして、止めさせるにはどうしたら良いのでしょうか?

その原因と具体的な対策法を、これからお話していきたいと思います。

猫のスプレーには生殖本能による理由と、生活環境による理由とがある

まずは猫がスプレー行為をしてしまう理由をお話していきます。

あなたの猫ちゃんも、この中のいくつかに該当している可能性が高いです。当てはまるものがあった場合、後でお話しする対策法を試してみてください。

去勢していない雄猫が、雌猫を誘うために自分の情報を伝えている

スプレー行為で最も多いのが、去勢していない雄猫が本能的にするケースです。

スプレーされた尿には年齢・性別・健康状態・ホルモン状態など様々な情報が含まれていて、その匂いを嗅いだ他の猫はその情報を知ることができます。

驚くべき能力ですが、室内飼いの猫にはあまり意味のない能力でもあります。

生活環境から感じる不安や脅威を解消するため、自分の匂いを部屋に着けている

時には去勢後の猫、または雌猫でもスプレーすることがあります。例えば新しい猫や同居人が増えた時、外猫が近くをうろついているのが見えた時などです。

もしかしたら自分の居場所が脅かされるのでは?といった不安・脅威から逃れるためにスプレー行為をします。自分はここにいるぞ!ということを周囲に示したい訳ですね。

これらはストレスを解消するためのスプレー行為と言えます。以下に、考えられるストレス要因をいくつか挙げてみます。

・トイレが汚い、狭い、小さい、少ない、設置場所が気に入らない!

猫のストレスに関して、トイレが占める割合は非常に大きいです。場合によってはスプレーではなく、布団の上などトイレ以外の場所での排泄に繋がることもあります。

トイレ以外での排泄については、こちらの記事「猫が布団におしっこしちゃう!猫の尿問題の原因と対策まとめ」に詳しく書きました。スプレー問題と似た面もありますので、是非こちらも参考にしてみてください。

・トイレの近くに自分の食器が置かれている

これは人間の感覚と同じです。猫にもトイレ近くでの食事、食卓近くでの排泄は嫌う感性があるのです。

・飼い主が最近構ってくれないと感じている

猫はちょっとした飼い主の変化も敏感に察します。こちらとしてはそんなつもりはなくても、構ってくれる時間が少なくなった事実は猫にとって一大事なのです。

・飼い主が留守がちになった

猫は孤独を愛すると思われがちで、確かにそういう面もあります。しかし飼い猫にはとても寂しがり屋な子が多いです。唯一養ってくれている存在ですから当たり前なのですが、飼い主が留守の間は帰宅を待ち焦がれています。

いつでも甘えられる安心感があるからこそ、孤独に浸る時間も持てるのです。

・家の中に新しい家具が増えた

人間からしたらタンスや机などが脅威になるとは思えないのですが、猫にとってはこれら家具類も不安材料になることがあります。基本的に猫は、自分の住んでいる環境を変えられることを嫌うのです。

・新入り猫が増えた

新しい猫に対し、多くの猫は非常に警戒心を抱きます。飼い主を取られたらどうしよう・・・という不安もありますし、その猫が自分にとっての敵になるという脅威もあります。

自分の縄張りに突然別な猫が入ってきたのですから、猫からしたらこれは当然の反応と言えるでしょう。

・同居人が増えた、または来客が頻繁にある

人間も新入り猫同様、脅威と感じる存在です。猫にとってはその人物が敵か味方かなど分からないのですから、これも当然ストレスになります。

・家の近くを外猫がうろついているのが見える

もしや自分の縄張りを奪われるかもしれない、という不安がスプレー行為につながります。その猫が家に入ってこないという保証はないため、猫にとっては真っ当な理由と言えます。

・お気に入りの毛布など、今まで使っていた物が無くなった

人間にとってはなんでもない物が、猫にとっては重要アイテムだったりします。母猫の感触を思い出しながらふみふみしていた毛布などは、やはり無くなると寂しいものです。

余談ですが私が子供の頃、ブタの形をした枕をずっと大切に使っていました。いい加減汚くなって、親が新しい物に変えようとしても断固拒否したものです。子供ならではの愛着心と言えるでしょう。

人間に飼われている猫は、ずっと子供のような心を持っていると考えてください。

・芳香剤や洗剤など、部屋の中の匂いが気に入らない

スプレー尿に含まれる情報を考えてもお分かりの通り、猫は匂いにとても敏感です。人間よりも嗅覚に優れた猫にとって、嫌な匂いが常に充満していることは相当なストレスになると考えられます。

・外から持ち込まれた衣類やバッグの匂いが気に入らない

外の匂いに不安を感じるパターンです。特に外出先で猫を可愛がってきた後などは、クンクンとしばらく匂いを嗅いできます。可愛らしい仕草ですが、猫にとってはやはりストレスの元になるのです。

また、外の匂いには様々な情報が含まれている場合があります。生活環境を脅かす可能性があると猫が感じてしまえば、それは強いストレスになります。

・引っ越しや部屋の模様替え等、環境の変化にストレスを感じている

些細な変化でも猫にとっては一大事なのですが、それが引っ越しや模様替えとなると想像に余りあります。先ほどお話ししたように、猫は生活環境の変化を嫌うのです。

一度スプレーした場所に匂いが残っていて、その場所でのスプレーが習慣になっていることも

よく散歩中の犬が決まった箇所におしっこして回りますが、猫も同様です。残った匂いを消さない限り、繰り返しその場所でスプレーしてしまいます。

以上がスプレー行為の原因となるストレス例です。よく見ると、最後の「生活環境の変化」というのが理由の大半を占めていることが分かると思います。

人間だけの問題であると思われがちな転職や進学なども、猫にとってはストレスになるケースがあります。

飼い主やその家族の生活パターンが変わることになるのですから、デリケートな猫にとってはやはり環境変化として受け取られてしまうのです。

猫に尿スプレーをやめさせる、具体的な方法

それでは上記原因を踏まえた上で、これから猫のスプレー行為をやめさせる方法を書いていきたいと思います。

どれが当てはまるかは猫によっても違うので、改善するまでは根気よく複数試してみる必要があります。

去勢前の雄猫によるスプレーは、去勢することでほぼ改善する

この場合のスプレーは雌猫を惹き寄せるための行為ですので、基本的には去勢するとしなくなっていきます。

繁殖を目的としていないのならば、まずはこれを試すべきでしょう。生殖本能が消えるので、脱走対策にもなります。

トイレに関するストレスを解決する

原因の項目でもお話した通り、トイレ問題は猫にとって大きなストレスの元になります。以下トイレに関し、ストレスを軽減する為の対策法を挙げていきます。

・なるべく普段から綺麗に保つ

留守中はどうしようもありませんが、一緒にいる時だけでもできるだけこまめにお掃除してあげるようにしてください。また、月に1~2回は全ての砂を取り替えてあげることをお勧めします。

その際、アルコールティッシュ等でトイレ自体も拭いてあげるとさらに良いでしょう。

・小さな砂、香りの無い砂に変えてみる

猫は基本的に小さな砂が好きだといわれています。匂いにも敏感ですので、香りつきの砂の場合は異なる香りの砂に変えるか、無香のものに変えてみるのも手です。

・大きなトイレに変える。体長の1.5倍の大きさが望ましいとされています

猫には排泄前にくるくる回りながら体勢を整える習性がありますので、自分の身体よりも大きなトイレが理想です。複数飼育している場合は、一番身体の大きな猫に合わせてサイズを選んでください。

・フードが付いている場合は取り外してみる

フードがあることで狭く感じることもありますし、匂いがこもりやすくもなります。我が家もフード無しのトイレを追加したところ、粗相の問題がかなり軽減されました。

フードがなくなることで砂や尿が周囲に飛び散ってしまう場合には、とりあえず天井部分だけを削ってみるのも有効です。スプレーではないですが、私の知り合いの猫はそれで粗相をしなくなりました。

・トイレの数を増やしてみる。頭数プラス1が理想です

スペースの問題もあり厳しいかも知れませんが、少なくとも頭数分は用意してあげたいです。シェルフ等を用いてお部屋に合った工夫をしてみてください。

・人通りの少ない静かな場所にトイレを移動させる

こちらもワンルームの場合など難しいと思いますが、人間のトイレや玄関とは反対側に置くなどなるべく人が通行しない場所を選んであげてください。

・トイレの周囲をパーテーションで囲ってあげる

トイレをパーテーション等で周囲から見えないように囲ってあげると、人間で言う個室トイレみたいになり落ち着いて用を足せるようになります。静かな場所が確保できない場合には特にお勧めです。

パーテーションは、大きめの段ボールを解体したものでも十分です。

・トイレ近くに食器を置いている場合、別な場所に移動してあげる

猫の食事場所はトイレから離れた場所にしてあげましょう。トイレの近くだと飛び散った砂などが食器に入り込むことがあり、衛生面から考えても良くありません。

その他、尿スプレーの原因になり得るストレスを解消する方法

ここではトイレ以外のストレス、人間や他の猫に関係する原因を取り除く方法をお話しします。こちらも多岐に渡りますので、可能性を感じたらとにかく試してみるしかありません。

仮にスプレーは止まなくともストレスは確実に減りますので、猫にとってはプラスになることばかりです。これから起こるかもしれない諸問題を防止することにもつながりますので、是非試してあげてください。

・存分に構ってあげましょう

「最近構ってあげられていない」「以前よりも遊んであげる頻度が減った」という実感がある時は、時間を取ってなるべく構ってあげるようにしてください。

一日5分でも10分でも良いのです。帰宅時や眠る前など、時間帯を決めて習慣にしてしまうとやりやすいです。

おもちゃを使う場合は毎日同じ物より、日替わりで変えた方がよく遊んでくれます。自分が獲物になった気持ちで本気で挑むと、おもちゃの動きに真実味が出てお勧めです。

「猫セラピー」という言葉があるように、猫と触れ合うことは人間の精神にとってもプラスになります。猫と遊ぶことで、あなたの抱えるストレスも軽減するかも知れません。

・家を空ける時間をなるべく短くするよう努力する

飼い主の不在がストレスになっている場合は、できるだけ留守の時間を少なくしてあげる必要があります。仕事などで仕方のない理由もあるでしょうが、その分を別の時間で補うなどはできると思います。

猫にとって頼れる存在はあなたしかいないのですから、少しでも多く一緒にいてあげられるよう工夫してみてください。

・同居人や来客者には、猫への接し方を優しくしてもらう

同居人に関しては猫への接し方を優しくするよう促します。強い匂いのする香水や整髪料は控えてもらう、なるべく静かに行動してもらう、男性にはなるべく高めの声で話すようお願いする等、猫にとって脅威となる人物ではないことを示してあげて下さい。

来客が頻繁にあるケースでは、猫がいつでも隠れられるようなスペースを確保しておくことが効果的です。これは、同居人が増えた場合も同様です。

なるべく部屋の隅っこの、飼い主からも見えないような場所に作ります。

・新入り猫が増えた時は、前からいる猫をこれまで以上に可愛がる

元からいる猫を存分に可愛がってあげることで対応します。猫にしてみれば飼い主を取られ、自分の居場所がなくなるのが怖いのです。ですので、そんな不安を吹き飛ばす位に可愛がってあげてください。

古くからいる猫は、新入り猫よりも多めに可愛がる必要があります。

また、この場合でも来客や同居人のケースと同様に、隠れ場所を設けてあげると良いでしょう。新入りの子がそこに隠れちゃうことが多いでしょうが、それならそれで良いのです。

・外猫が見えないように窓を工夫する

窓の下半分をカーテンで覆うなどして、外の地面が見えにくいようにします。または、外猫が見えない角度からだけ外が見えるようにするなど、部屋に応じて工夫してみてください。

・お気に入りの毛布などは、なるべくそのままに

捨てようと準備していても、もしまだ家にあるならできるだけ猫に返してあげてください。既に捨ててしまっている場合は仕方ありませんので、新しく居心地の良い場所やアイテムを与えてあげます。

猫にもよりますが、母猫を思い出させるようなきめの細かい質感の毛布が好きなようです。もしも現在猫が使っている物を捨てる予定があるとしたら、本当にどうしても捨てなければならないのかを今一度考えてみてください。

今のままでも支障がなければ、なるべく残してあげましょう。

・芳香剤や洗剤など、部屋の中の匂いが気に入らない

この場合は、そういった匂いの元を無くすよう努力しましょう。アロマや芳香剤の香りを猫は嫌います。

特に、アロマの多くは猫の健康に害をもたらすといわれています。

芳香剤の代わりに無香の消臭剤を使うなど工夫してみましょう。

洗剤も同様で、匂いの少ないものに変えてあげてください。

・外から持ち込む衣類やバッグは、帰宅前に消臭する

家に入る前に消臭スプレーなどを用いて、なるべく外の匂いを持ち込まないように気を付けてあげましょう。特に、他の猫と遊んできた日には必須です!

・家具など新しい物が増えたケースでは、別な方面から部屋全体の居心地を上げる

買った物を今さら捨てる訳にもいかないでしょうから、基本的には慣れてもらうしかありません。外に置けるような物ならばそうします。

もしもその家具にスプレーしてしまう場合には、そこに猫の嫌がる匂いを着けるという方法があります。基本的に柑橘系の香りがする物に猫は近付きません。

また逆に、猫を落ち着かせるフェロモン入り製品を使うという方法もあります。これは猫がすりすりする時に出すフェロモンに似た物質を配合している物で、使用することにより猫に安心感を与えてくれます。

不安や脅威が薄れればスプレー行為をするきっかけもなくなりますので、試してみる価値はあると思います。動物病院でも勧めている「フェリウェイ」という製品が有名です。

・引っ越しや部屋の模様替えをした場合も、やはり部屋全体の居心地を上げる

模様替えならまだ戻しようもありますが、引っ越ししてしまったものは仕方ありません。一度引っ越した家にまた戻るというのも現実的ではないでしょう。やはり、それとは別の角度から猫の不安を軽減させてあげる必要があります。

ここまでにお話しした対策法を色々と試してみましょう。猫のことを今まで以上に気にかけ、構ってあげる時間を増やし、安心感を与えてあげます。新しい部屋に慣れるまで、先ほどお話ししたフェリウェイを試してみるのも良いと思います。

・スプレーされた場所は完全に消臭する

アルコールや中性洗剤・酵素系洗剤等を用い、徹底的に消臭します。市販の消臭スプレーを試すのも良いでしょう。家具の項目でもお話しした通り、その場所に猫の嫌がる工夫を施すととりあえずそこではしなくなります。

柑橘系の匂いを着けたり、床に一度くしゃくしゃにしたアルミホイルを敷いたりするのが効果的です。ただし根本的な不安要因が残ったままだと他の場所にするだけですので、ストレスの原因もきちんと取り除くようにしましょう。

・スプレーをした際に驚かすなど、嫌な体験をさせる

遠くから水鉄砲を当てたり、びっくりさせる物音をさせたりします。こうすることでスプレー行為と嫌な体験とが結び付き、思いとどまるようになっていきます。

ただしこれは結構難しいです。何故なら、これを飼い主が行っていると悟らせてはいけないからです。

飼い主が嫌なことをしていると思われてはそれがストレスになり、本末転倒です。ですのでこれは純粋な因果応報、あくまで自然現象みたいなものとして認識させなければなりません。

そう考えると前項でお話しした通り、その場所に行きたくなくなる工夫をした方が楽かも知れません。

スプレー行為を発見しても決して叱らないこと!

猫にしてみれば本能的にやっていることですので、叱られても意味が分からず戸惑ってしまいます。飼い主のことを嫌いになるかも知れません。

また、叱ることで行動強化という心理が働き、よりいっそうスプレー行為が多くなる可能性もあります。

やはりストレスの原因を取り除くことこそが、スプレー対策の基本だと考えてください。その方が猫も人間も幸せになれます。

我が家のスプレー猫のケース

スプレー猫の写真

この子の場合ははしゃいで走り回っている最中、どこかに飛び乗った瞬間「しゃしゃっ」としていました。そんなに頻度は高くなかったです。特に場所は関係ないようで、洗濯機の上や最初にお話ししたように私の脚の上でもしていました。

特に対策もしない間にそのうちしなくなっていましたが、私が気付いていないだけで何処かでしている可能性はあります。ただ臭いがしないので、多分治まったのだと判断しています。

うちの子のケースはイレギュラーな感じがしました。ストレスを感じている様子もなく嬉々としている最中でしたので、興奮のあまりなのかも知れません。対策としてはフェロモンスプレー位でしょうか。

まあしなくなったから良かったものの「はしゃぐな」とも言えないので、続いていたら相当困っていたと思います。その場合はきっと病院に相談していたでしょう。

獣医さんには様々なケースを扱ってきたスキルがあります。我々素人とはその知識量が断然違いますので、どうしようもなくなった時には迷わず相談することをお勧めします。

あなたと猫ちゃんのために、今すぐ行動しましょう

猫のスプレー対策、いかがでしたでしょうか。猫のストレス要因は多岐に渡りますので、なかなか特定するのが難しいと思います。どれかひとつではなく、複合的な原因があることも考えられます。

ですので心当たりがあるものからひとつひとつ行っていけば、必ず何処かで効を奏する時がきます。やればやるほどストレスがなくなっていくことだけは確実ですので、試してみて損になることはありません。

大切な猫ちゃんのためにも、心地良い生活環境を整えてあげましょう。そのために少しでも、この記事がお役に立てたならば幸いです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

あなたとあなたの猫ちゃんが、いつまでも幸せに暮らせますように!

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