いつものように愛猫の体を撫でていたら、なんだか指に気になる固い感触が。こんな時は猫の体にしこりができている可能性を疑わなければなりません。大事な愛猫の体に異変があるとなれば、飼い主さんも気が気ではありませんよね。
残念ながら、猫のしこりには危険性の高いものも多くあります。猫のしこりについての知識を持っておき、いざという時慌てずに対処できるようにしておきましょう。猫のしこりができる原因や、その危険性についてまとめました。
この記事の目次
猫にしこりができたら、病気のサイン
猫のしこりとはすなわち腫瘍のことです。猫の体を触っていて、不自然にぽこりと膨らんだ部分があったり、あるいは皮膚の下に石のようなものが入っていると感じたりなどすると、しこりが疑われます。
大きさや硬さなどはしこりによって異なり、石のように固いこともあれば弾力があって柔らかいこともあります。
猫のなだらかな体を触っていると、突然不自然に手に当たるため、猫を触っていれば比較的気がつきやすいものです。
しかしながら、出来たばかりの小さいものなど、ほんの数ミリにもならないようなしこりができる場合もあるので気をつけましょう。
そして、大変残念なことに、猫においてこのしこり、すなわち腫瘍はその8割が悪性のものと言われています。つまり「がん」です。
猫におけるがんの治療で最も大切なことは、早期発見・早期治療です。
猫の体を触ってみて「何かできているけれどそのうち消えるだろう」とか「今は忙しいから家で1週間くらい様子を見てみよう」というように楽観視していると、手遅れになってしまう可能性もあります。
また、飼い主さんが自宅でできるような有効な対策もありません。猫にしこりを感じたら、すぐに動物病院を受診しましょう。
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では、具体的にしこりができるとどのような病気が疑われるのでしょうか。比較的よくあるものをいくつかご紹介します。
乳がん(乳腺腫瘍)
メス猫でお腹の乳首の近くにしこりが見られる場合は乳がん(乳腺腫瘍)が疑われます。人間の女性でも、よく「乳癌の早期発見のため胸にしこりがないか確認しましょう」と言われますが、実は猫も同じです。
乳がんとなるのは大半が避妊手術をしていないメス猫です。逆に言えば、避妊手術を早期にしておけば、乳がんの可能性を大きく引き下げることができます。
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乳がんの可能性自体は猫では比較的少なくなりますが、避妊手術をしていない場合は注意した方が良いでしょう。
リンパ腫
リンパ腫は猫に最も多いがんともいわれています。内臓に腫瘍ができることもありますが、顎や首、脇の下などに手で触ってわかるしこりができるケースもあります。
触ってわかるしこりの場合は、しこりを発見した時点で病院に連れて行けば、早期治療が叶う可能性が高くなるので覚えておきましょう。
また、予防接種を欠かさないようにしておくことで、リンパ腫の一部を予防することができるといわれています。
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偏平上皮がん
日光(紫外線)によってできることが多いといわれているがんです。しこりは全身にできる可能性がありますが、特に皮膚が薄いところにできやすいため、まぶたや耳など、顔に多く見られるのがポイントです。
ごく小さなしこりから始まることが多く、またしこりとわからない場合さえあります。「この傷、なんだろう?」と思っていると荒れたり炎症を起こしたりしながら、どんどん悪化していきます。
小さなしこりでも最終的には命に関わるため、よくよく注意しておきましょう。
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ここをチェック!猫の体でしこりができやすい場所
猫のしこりは猫の体の中でもあらゆる場所にできるため、注意が必要です。普段スキンシップを重ねていても、猫が触られることを嫌がる場所など、飼い主さんが気がつきにくいことがあります。
そこで、猫の体の中で特にしこりをチェックしておきたい部分をご紹介します。
顎の下
意外としこりができやすいのが顎の下です。撫でると喜ぶ場所でもあるので、
一見気がつきやすいように思いますが、猫は飼い主の目線の下にいることも多いため、頭の影になって気がつきにくい場合があります。
咽首
首輪があるため気がつきにくいのが首回りです。首輪で擦れているだけだろうと思い込んでしまうこともあります。定期的に首輪を外したり、首輪の隙間に指を入れたりしてチェックしてあげましょう。
脇の下
特に気をつけておきたいのが脇の下です。猫を抱っこする時など脇の下に手を入れて抱きかかえるため、比較的気がつきやすい部分ではありますが、抱っこ嫌いの猫の場合は注意したい場所です。
お腹
猫にとって急所であるお腹はなかなか猫が触らせてくれないため、しこりができても気がつきにくい場所のひとつです。
猫によっては撫でて欲しいと自分から仰向けになってお腹を差し出すこともありますが、それでもあまり長時間撫で回しているとほとんどの猫は嫌がって逃げてしまうのではないでしょうか。
乳首のあるあたりを中心に、脇腹の方までささっと短時間でしこりがないか確認しましょう。
しっぽ周り
しっぽ周りを触られるのが苦手という猫も多いようです。特にオス猫は触られたくないと言う猫が多い傾向です。
尻尾の付け根の部分や、お尻周りまでしっかりと確認しましょう。尻尾を撫でるふりをしてささっと触るのがおすすめです。
▼特に猫の尻尾の付け根は敏感なので、触られるのを嫌がる猫が多いので注意しましょう
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足の付け根
前足後ろ足共に、足の付け根も注意したい場所です。特に後ろ足の内側は嫌がられることが多く、なかなか触れないという飼い主さんも多いのではないでしょうか。猫がリラックスしている時を狙ってそっと撫でて確認しましょう。
日頃からのスキンシップで早期発見に努めよう
しこりを早期に発見することができれば、たとえ悪性の腫瘍であっても回復する可能性は大きく高まります。そのためにも、愛猫との日頃のスキンシップを欠かさないようにしましょう。
おもちゃで遊ぶと言ったことだけでなく、抱きしめたり撫でたりブラッシングしたりといった直接の接触で、しこりは大幅に気が付きやすくなります。普段触られることにあまり慣れないと、いざという時に猫が患部を見せてくれません。
しこりは気がつきにくいところにできることも多いので、いつでも確認できるよう猫との信頼関係を築いていきましょう。
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長毛種の猫は特に注意
気を付けてあげたいのが長毛種の猫です。長毛種の猫はブラッシングを少し怠っただけで、あっという間に毛玉ができてしまいます。そのため、毛玉としこりを勘違いしやすいのです。
毛玉だと思っていたら実はしこりだったということのないよう、普段からブラッシングを欠かさないでおきましょう。
また、毛玉なのかしこりなのか怪しい感触があれば、よく確認してからケアしていきましょう。間違ってはさみを入れてしまっては大変です。
猫のしこりはがんの可能性がほとんど。すぐに病院へ連れて行こう
残念ながら、猫のしこりは8割が悪性の癌と言われています。しかもあっと言う間に増えていく場合も多いため、回復するためにはとにかく早期発見・早期治療が鍵となるでしょう。
▼猫の悪性腫瘍を早く見つけるコツと治療法については、こちらもご覧ください
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そのためにも、飼い主さんは普段から猫のスキンシップを欠かさないことが重要です。日頃から猫の体に積極的に触れていれば、いざという時異変に気がつきやすくなります。
手遅れになって後悔するようなことのないよう、猫の健康管理をしっかり行っていきましょう。