「世界で一番○○な××」というフレーズにはついつい目を惹かれてしまいますよね。
猫の飼い主さんなら膝の上の愛猫をモフモフしながら「うちのこの子のしっぽも長いけれど世界中の猫の中では何番目くらいかな」「重たくてそろそろお膝がだるくなってきたんだけど世界にはもっと重量級な猫もいるんだろうな…」なとど、とりとめもなく世界に思いを馳せた事もあるかと思います。
この広い世界には6億頭の猫がいるそうです。(イエネコは世界中の哺乳類の中でなんと第6位の個体数です!)
こんなにもたくさんいる猫の中で、一番○○なのはどんな子でしょうか。色々な面で世界一な猫たちのエピソードを集めました。
大きい、小さい、高い!いろいろな世界一の猫種たち
一言で「イエネコ」といってもその毛色や体格はさまざまですよね。世界中で飼われている猫種の中で、サイズや価格が世界一なのはどんな猫たちでしょうか。
世界一大きな猫種
世界一大きな猫種はメインクーンです。アメリカ原産の猫種として知られていますが、遠いルーツは北欧の寒さに耐えてきた地場の猫で、交易船によって北米に持ち込まれ、現地の猫と交雑したと考えられています。
どちらにせよ出身地は寒い地域なだけに、がっしりとした体躯にダブルコートの被毛、豊かな胸毛と耳先の飾り毛がヤマネコを髣髴とさせる堂々たる大型猫です。
オスは最大で9kg、メスでも6kgに至ることがあり、猫カフェなどで他の種類の猫も交えて拝見していますと、猫の中に一匹だけ柴犬が混ざっているぐらいの大きさのギャップを感じます。
世界一小さな猫種
世界で最小の猫種はシンガプーラでした(過去形)。シンガポールの下水溝の中で暮らしていた地場の猫をルーツにアメリカでブリーディングされた猫種です。
オスでも最大で3.5kgほど、メスでは2kgほどというそのミニマムさで長らく世界最小の肩書きを守っていましたが、2011年、WCFの認定によりスキフトイボブテイルにその座を譲ることになりました。
1983年、ロシアで偶然ブリーダーに拾われた小柄なシャム猫と尻尾の短いシャム猫をルーツに持つスキフトイボブテイル(以下トイボブ)は一見すると小柄で尻尾の短いシャム猫です。ところが特筆すべきはそのサイズ、オスでも2kg、メスは2kgに満たないこともある小さな小さな猫なんです。
平均的な猫の場合、4ヶ月齢の頃の体重が大体2kgほどとされていますので、大人になっても子猫サイズということです。新しい種類であり、頭数も少ないため、目にする機会はあまりありませんが、抱っこしてみたいものですね。
世界一高価な猫種
純血種の猫の生体価格はその時々の人気や猫の出自によって変動しますが、過去確実に世界一高価だったのではないかと思われる猫種がアシェラです。
猫アレルギーの原因物質を低下させた猫など遺伝子組み換えによる新種の猫を提供してきた(というふれこみの)アメリカのライフスタイル・ペッツ社がアフリカンサーバル、アジアンレパード、ベンガルなどを掛け合わせて作り出したとされました。
2007年に富裕層向けに240万円で売り出された事がニュースになり、今なお「世界一高価な猫種」として検索結果の上位に表示され続けています。
しかし、低アレルゲン猫というのも実際のところ効果の程は疑わしく、アシェラも新種というより既存のサバンナ(サーバルキャットとイエネコの混血種)の転売に過ぎなかったようです。
この件で同社を糾弾する海外サイトの記事によると125,000ドル(1300万円)を支払った顧客もいるとのことで、それが事実なら一匹の猫に対して支払われた対価としては確かに世界一ではないでしょうか。
後味の悪いお話になってしまいましたが、アシェラと銘打たなくてもそもそもサバンナ自体が200万円を越すこともある高価な猫です。最小の猫種トイボブは当初、希少性から500万とも噂されていましたが、現在では現地(ロシア)価格で25万円ほどとのことで、日本国内にもブリーダーが存在しています。
規格商品ではなく生き物だからこそ一概にどの猫種が高価、と言い切ることは難しいものですが、今この瞬間、世界で一番高価な猫ちゃんの価格については、たとえば初物の競りにどよめくような気持ちで興味深くはありますよね。
イエネコの枠を超えてみてみる、世界一の猫科動物たち
さて、これまではイエネコのお話でした。お次はイエネコの枠を超えて、ライオンやヤマネコなど自然界に生きる猫科の動物にまで渡って世界一を見渡してみましょう。
世界一大きな猫科動物
アムールトラはロシアと中国の境目、アムール川周辺に生息するトラで体重は300kg、体長は2.5m、時にはヒグマも捕食するほどの大きさと強さを誇る世界最大の猫科動物です。
しかし現在、世界で一番大きな猫科動物としてギネスにも登録されているのはアメリカはサウスカロライナ州の野生動物保護区域で飼育されているライガーの「ヘラクレス」。
ライオンを父に、トラを母に持つ彼は体長3m、高さ1.2m、体重418kgの巨体を持ち、1日に9~11kgもの肉を食べます。飼育係を楽々と乗せて歩き、お気に入りの爪とぎは丸太、猫じゃらしはデッキブラシ、何もかもがビッグサイズです。
ライガーはアムールトラを超える大きさになることが多いのですが、自然界ではライオンとトラの生息域は遠く隔てられているために、人工的な飼育環境下でしか誕生していません。
そのためサイズ的には確かにライガーが世界一大きな猫科動物とはいうものの、生物種にとっての自然を前提に語るならやはりアムールトラも世界一大きな猫科動物と呼びたいものです。
世界一小さな猫科動物
南アフリカ共和国やナミビア、ジンバブエに生息するクロアシネコです。はオスで1.9kg、メスは1.6kg、体長は50cmに満たないくらいの大きさです。あどけない顔立ちとトラ縞模様、足の裏まで真っ黒なあんよと非常に愛くるしい見た目とは裏腹に、一晩で25kmも移動し、250gの肉をもりもりと食べます。
この食事量は実に体重の1/6!たとえばこれはアラサー女子に換算すると、毎日9kgの肉を食べているようなものです。サバンナの暮らしは大量のエネルギーを必要とするのですね。
自身より大きな獲物も平気で狩る勇猛さから地元では「キリンですら襲う」と恐れられており、世界一小さいだけでなく「世界一恐ろしい猫」でもあります。
世界一古い猫科動物
マヌルネコはシベリア南部からチベット、アフガニスタンに渡り、主に標高3,000~4,000mの高地で生息しているヤマネコです。
体形や大きさは一般的なイエネコとほぼ変わりませんが、寒冷地仕様の長い被毛がみっしりと生えているため、丸々としたボディから短い四肢がちょっぴり生えているようで非常にユーモラスなフォルムをしています。
平面的な顔立ちに、イエネコの縦型収縮とは違って丸いまま収縮する瞳孔、そしてマズルの片方だけを持ち上げて威嚇するなど、非常に人間くさい表情がファンを集めているヤマネコですね。
モンゴル語で「小さなヤマネコ」を指すこのマヌルネコ、現存する猫科動物の中では一番早くから独立した種として確立したため、世界最古の猫とも呼ばれています。
これは時代にして590万年前、今私たちが愛でているイエネコが誕生する250万年前、人類にいたってはまだ二足歩行すら開始していない頃から彼らは寒い高地で人知れず可愛い顔をしていたんですね。
世界一の特徴を持つ猫たち
「世界一○○」というフレーズで誰しもが思い浮かべるのが言わずと知れたギネスブックです。ギネスに登録されている猫たちの驚きのスケールをご紹介しましょう。
ワールドクラスのスゴさに圧倒されるべく、宅の猫(体高25cm、しっぽの長さ25cm、体重3.7kgという非常に平凡なバディ)とギネス級サイズの比較画像もご用意しました。
とにかく長い猫たち
世界一、体の全長が長い猫はアメリカ、ネバダ州のメインクーン、マイメインズ・スチュワート・ギリガン(通称スチューイ)です。残念ながら2013年に没していますが、2010年8月28日の計測時点で鼻の頭から尻尾の先までの長さが史上初の123cmを記録しました。
世界一体の長いスチューイ君パネル(123cm)と宅の猫(80cm)を比較しました。スチューイ君の本体としっぽの比率は本猫画像から概算で割り出しています。
この記録を表記するのに「体長」と記されていることが多いのですが、調べてみたところ動物のサイズで体長とは胸からお尻までの計測結果を指すそうなので、この丸ごと123cmの記録を表すのは「全長」が適しているように思います。
数字ではぴんとこなかったのですが、123cm…真横においてみると今まで見たメインクーン勢の中でもずば抜けて大きく、犬のシェルティーを思わせる大きさです
世界一おヒゲが長い猫はフィンランド在住のメインクーン、ミッシーです。彼女のおひげはなんと19cm!2005年12月22日、ほぼ4歳の時に計測されました。ちなみに彼女のフルネームは「フルムーン・ミス・アメリカンパイ」となんともロマンチックです。
世界一しっぽが長い猫はアメリカ、ミシガン州在住のメインクーン、シグナス。2歳の時、しっぽの長さ44.66cmでギネスに登録されました。メインクーンは4歳まで成長を続けることもあるため、その後も成長し続けた可能性は大いにあります。
25cmの平均的しっぽに対して、上の青い猫じゃらしのリボンより先がシグナスサイズです。
ギネスの判定員がシグナスを測定するために訪れた時、同居しているサバンナのアークトゥルスの背の高さに驚き、ついでに計測したところ床から肩までの高さが48.4cmという世界一背の高い猫であることがわかりました。こうして兄弟分の猫たちが仲良くギネスに登録されるミラクルが起こったのです。
世界一被毛が長い猫はアメリカ、カリフォルニア州在住の保護猫出身のソフィーです。ギネスに登録された公式記録では25.68cmですが、飼い主さんと獣医さんが測ってみたところ27.9cmの毛もあったそう。
ソフィーは生後三週間ほどで紙袋に入れられて捨てられていたところを保護された猫なので猫種のほどは定かではありません。しかし画像を見るに非常に見事で豊かな被毛を持った美しい猫です。
世界一ミニマムサイズな猫
それにしても身体的なサイズにおけるワールドレコードの猫の中でメインクーンの占める割合のなんと多い事でしょう。さすがは世界一大きな猫種といったところです。それでは逆に、世界一小さな猫はどんな子でしょうか。
ギネスに記録されている最も小さかった猫はペルシャのティンカートイ。成体になった2歳の時点で体高が7cm、体長は19cmと手のひらに収まってしまいそうなサイズでした。
彼は残念ながら1997年に没していますので、現在存命中の猫の中で最も背が低いと記録されているのがアメリカ、カリフォルニア州のマンチカン、リリプットです。床から肩までの高さが13.34cm、350mlの缶ビールよりちょっと高い程度のミニマムさです。
イエネコの平均体高が24cm前後のところ、マンチカンの平均は16~20cmです。リリプットの先代の記録保持猫もマンチカンでしたので、猫界のダックスフンドの異名は伊達ではありません。
こちらはリリプットさんの体高(13.34cm)とほぼ同じ体高のぬいぐるみと平均サイズ(25cm)の猫。倍近く違うので、かがんでやっと同じ高さくらいですね。
世界一のエピソードを持つ猫たち
世界一を誇れるフィールドは身体的な数値だけではありません。そのエピソードや能力から世界一を樹立した猫たちもたくさんいます。
世界一長生きな猫
ギネスに登録されている世界一長生きな猫はアメリカ、カリフォルニア州のクリーム・パフ(1967年8月3日生~2005年8月6日没)で、38歳と3日という記録を成し遂げています。
彼が記録を塗り替える前にご長寿世界一だったスフィンクスのグランパ・レックス・アレン(34年と2ヶ月)と同じお宅で飼われていました。むしろ飼い主さんの方を長寿猫育成記録でギネスに登録したいくらいですよね。
ギネスの方も長寿の秘訣を探ろうと2匹の食事の好み(ちなみにアスパラとブロッコリーとベーコン)などを調べたそうなのですが、特に因果関係は見つからなかったそうです。
現在存命中で世界一の年長さんはアメリカ、オレゴン州在住の保護猫出身コーデュロイ。1989年8月1日生まれで、2019年の夏を迎えればなんと30歳です。長生きの秘訣について、飼い主さんは「猫らしく自由にのびのびと行動させていること」とコメントしています。至言ですね!
世界一お金持ちな猫
1988年、イギリスの骨董商ベン・リーが亡くなった時、故人の意向によりその莫大な遺産はすべて、血縁者ではなく彼の愛猫や動物の愛護団体らが受け継ぐことになりました。
彼は15匹の猫と暮らしていましたが、最後に残っていたのは黒猫ブラッキーのみ。ブラッキーは700万ポンド(時価16億円)を相続することとなり、世界一お金持ちな猫になりました。
世界一、足にたくさんサイコロを乗せた猫
2017年6月18日マレーシアの飼い猫ビビは仰向けに座った状態でヒョイと浮かせた後ろ足の上に10個ものサイコロを微動だにさせずに積み上げられたとしてギネスに記録されました。ちなみにビビはこの片足でトランプを13枚持つこともできるそうです。
ギネスには他にも世界最大のキャットタワー(5.93m)やベンガルがスケボーで通り抜けた人間トンネルの人数(33人)、1分間にどれだけの芸をできるか、等々…人生のどこかで必ず役に立ちそうなエピソードが満載です。
今回初めて書籍版を手に取ってみましたが、現在、最多登録者のユーチューバー猫はアメリカのナイラさんで743,442登録なんだそうですよ!
一緒にいるだけで世界一!
世界一かわいい猫についてはもう皆さん誰もがおわかりのことでしょう。
そうです、それは飼い主さんにとっての愛猫です。飼い主さんは愛猫のことが世界で一番かわいいと思っていますし、猫は飼い主さんの事を世界で一番大好きと思っているはず。愛猫と飼い主は一緒にいるだけでお互いが世界一になれちゃう、まさに世界一素敵な関係というわけなんですね。
ギネスの公式サイトでは様々な記録が検索できますが、検索ワードは英語のみの対応となっています。日本語サイトから「Cat」で検索しても結果は英文のみが表示されますので、右上の言語設定を「JP」から「EN」(English)に切り替えてページ丸ごと翻訳しながら読み進めると快適に楽しめます。
今夜も世界一の猫をお膝に、世界一癒されるゴロゴロ音をBGMにネットサーフィンを楽しもうではありませんか。