猫の生活習慣病一覧。飼い主なら必読のそれぞれの原因と予防法

生活習慣病とは「毎日の生活習慣の積み重ねによって発症する病気」のことを言います。人間でいうと「糖尿病」「高血圧」「癌」「脳卒中」「心臓病」などをまとめて生活習慣病と呼んだりしていますね。そんな生活習慣病は、実は猫にもあるというのをご存知でしょうか?

比較的丈夫で健康な体を持っている動物ではありますが、日々の生活の中で蓄積さえた悪い習慣が、ある日病気となって跳ね返ってくることもあります。たかが生活習慣だけで・・・と思うかもしれませんが、時には命を落とす病気に発展することもあります。

今回は人間だけじゃない!猫も気をつけたい生活習慣病についてご紹介しましょう。

猫の生活習慣病ってどんな病気?

生活習慣病とは厳密にいうと正式な病名ではありませんし、動物病院で診察を受けても「生活習慣病」という病名が申告されることはありません。

では、生活習慣病は一体なんなのかというと、前述した通り「生活習慣の積み重ねによって発症する病気」のことを言います。

日々の食生活、生活環境、運動、ストレスが大きく関係しており、飼い主様の「これくらい大丈夫だろう」という、ちょっとした油断の積み重ねや「面倒だからいいか」という気持ちが、命に関わる重大な病気の要因となってしまうこともあります。

また、元々の遺伝的に病気になりやすい個体が、生活環境によって病気を発症してしまう場合もありますし、飼い主様が少し気をつければ未然に防げる病気も存在しています。

愛猫に少しでも健康で長生きをしてもらうために、ぜひ日頃から生活習慣を見直し病気を未然に予防するように心がけましょう。

生活習慣病と呼ばれる病気の数々

生活習慣病とは言っても、そのように呼ばれる病気はたくさん存在しています。生活習慣病と呼ばれる病気にはどのようなものがあるのでしょうか?

糖尿病

人間でも生活習慣病の代表とされる糖尿病は、血液の中の糖が高くなってしまう病気です。糖尿病を発症すると多飲多尿、体重減少、嘔吐、下痢といった症状が見られます。

糖尿病を患うことで最も怖いのが合併症で、白内障、腎疾患、肝疾患、細菌感染をしてしまうだけではなく、重症になると昏睡や神経障害を経て死に至ることもあります。

原因としては

  • 食べ過ぎ
  • ストレス
  • バランスが偏った食事
  • 加齢
  • 遺伝性

と言ったものがあげられます。

肥満

食べ過ぎや、カロリーの高い食事を続けることで太りすぎてしまう症状、いわゆる肥満も猫の生活習慣病として大変有名です。肥満とは、体に脂肪が溜まりすぎている状態のことをいい、重度の肥満となると体重が増えすぎたことにより関節に負担をかけてしまうことも。

さらに体重増加に伴う心臓への負担、呼吸器への負担によって呼吸器不全に陥ってしまう場合もあります。また、肥満は糖尿病を引き起こす可能性もあるため、肥満から糖尿病を発症し、さらに合併症を患ってしまうという最悪の事態を引き起こすことも。

なんらかの病気や怪我によって手術を行うことになっても、あまりにも体重が増えすぎたことにより麻酔が効かずに手術ができずに命を落としてしまうことすらあります。肥満の原因はズバリ食べ過ぎと運動不足。

摂取カロリーと消費カロリーのバランスが取れていないからこそ、肥満になっているのですから、食べる量を減らす、または低カロリーな食事に変えて、運動をしっかりと行うという王道のダイエットを実行して健康的な体を手に入れるようにしましょう。

高脂血症

高脂血症とは血液中のコレステロールとトリグリセリド(中性脂肪)の濃度が増加することで、食欲減退、下痢、嘔吐、神経障害と言った症状を発症することを言います。高脂血症の最も怖いところは、継続すると動脈硬化や膵炎を引き起こしてしまう点です。

動脈硬化は進行すると脳梗塞や心筋梗塞を発症することもあります。膵炎に至っては、膵臓が出す消化酵素によって膵臓が溶けてしまう病気であるため、最悪は死に至ることもあります。

高脂血症はあまり症状が現れない病気であるため「サイレントキラー」という異名を持つ病気でもあります。

原因としては、

  • 偏った食事や脂肪の多く含まれている食事
  • 運動不足

などが原因となっていますので、適度な運動と適した食事を心がけ高脂血症を予防することが大切です。

高血圧

人間でもよく聞く高血圧は血圧が正常値よりも高い状態で維持されている状態のことを言います。血圧が高い状態が持続してしまうと、体に様々な悪影響を及ぼすことが研究により明らかとなっています。

緑内障、網膜剥離と言った目の疾患、高血圧脳症を併発することで起こる神経疾患、血流の異常によって引き起こされる心疾患など影響する内臓器官は様々。さらに怖いのが、高血圧が持続することで腎臓疾患を併発する場合があるということです。

猫は元々腎臓が弱い動物ではありますが、高血圧の猫は健康な猫に比べて腎臓疾患を発症する確率が高いと言われています。まだまだ研究段階ではありますが、高血圧によって体に悪影響を及ぼされることは間違いありません。

この病気の原因は慢性腎不全、甲状腺機能亢進症などの他の病気が起因となっていることがほとんどです。

さらに糖尿病を発症している猫は、高血圧も同時に発症している可能性もありますので、何らかの異常を感じたらすぐに病院に相談をすることが大切ですよ。

口腔疾患

歯周病や口内炎と言った口腔疾患も、生活習慣病の代表です。

歯周病とは歯に付着したプラーク(歯垢)が、歯を溶かしてしまうことで抜け落ちてしまったりすることを言います。抜けないとしても激しい痛みが伴ったり、歯がグラグラすることで上手にご飯が食べれなくなり体重減少を引き起こしてしまいます。

さらに硬いものを噛むことができなくなるため、餌を丸呑みしてしまった結果消化不良を起こしてしまうこともあります。

歯周病予防としては、普段から歯のケアをしっかりと行うことが大切です。

定期的な歯磨きを行う、せめてガーゼなどで歯垢が歯石になる前に拭いてあげるなどのケアを行いましょう。もしどうしても嫌がるようならば、おやつやおもちゃのデンタルケア用品を使うのがおすすめです。

▼ジェックス ねこるん デンタケア バード
デンタケアの商品イメージ

愛猫と遊ぶときに、このようなデンタルケアができるおもちゃを使用すると遊びながら歯磨きができるのでおすすめです。

▼ペティオ (Petio) 猫用おやつ Kirei Cat にゃぶらし
にゃぶらしの商品イメージ

こちらはデンタルケアができるおやつです。特殊な形状のガムが歯垢を除去してくれる優れもの。とっても便利ですから定期的に与えてあげてもいいですね。

心筋症

心筋症とは心臓が何らかの理由により正常に働かなくなってしまう疾患のことで、心室が広がりにくくなる肥大型心筋症や拘束型心筋症がよく見られます。

心筋症を発症すると心臓の動きが悪くなるため、体全体に血液が巡りにくくなるだけではなく、内臓器官に負担がかかることで肺水腫、呼吸不全、血栓などが見られるようになります。

心筋症を始めとした心臓疾患は症状が現れにくく、飼い主が異変に気がついた時には手遅れだったというのも珍しくはありません。

心筋症の主な原因は遺伝性によるものが多く、メインクーン、ラグドール、アメリカンショートヘア、スコティッシュフォールド、ペルシャなどによく見られます。

また遺伝性だけではなく、食生活の乱れや他の病気からの合併症などからも、心筋症が起こる可能性はあります。

普段から規則正しい健康的な生活を送れば防げるというものでもありませんが、乱れた生活習慣は心筋症のリスクを高めてしまいますので十分に気をつけるようにしましょう。

泌尿器疾患

猫は泌尿器系の病気になりやすく、膀胱炎や尿路結石などは気をつけていてもいつのまにか発症していることも多くあります。

この泌尿器系の疾患の中でも特に多いのが尿路結石で、腎臓、尿管、膀胱、尿道の何処かに結石が溜まってしまい尿を詰まらせて尿毒症を引き起こしてしまうこともあります。

尿毒症を発症すると、体の中に毒素が溜まってしまい最悪の場合は死に至ることもあります。

この尿路結石の原因となっているのが食材に含まれているミネラルの存在です。あまりにもミネラル分の多い食事をしていると、排出ができずに体の中に溜まっていき結晶化してしまうことがあります。

このミネラルの結晶が尿道を詰まらせて尿路結石の原因となるのです。また、水をあまり飲まない場合も、尿路結石を引き起こすことも。猫は元々水をあまり飲まない動物ではありますが、飲み水が汚かったり気に入らない場所においてあるとさらん飲まなくなってしまいます。

筆者の飼い猫も水をあまり飲まないことが原因で、尿路結石になったことがあります。その時は、お皿に水を入れておいているだけだったのですが、獣医師から猫は流れる水の方が好きだからと自動給水機を進められました。

▼ピュアクリスタル
ピュアクリスタルの商品イメージ

確かに水道の水やお風呂の流れる水を飲みたがる子だったので、試しにこちらの商品を設置したところ、ほとんど水を飲む姿を見かけなかったのが嘘のように、お水をたくさん飲むようになりました。

偶然かもしれませんが、自動給水機に変更してから尿路結石にはなっていませんので、おそらく水をよく飲むようになったのだと思います。

泌尿器系の病気を予防するには、水をたくさん飲む習慣をつけてもらうのが大切です。水を飲み過ぎるのも体調不良の原因となりますが、あまりにも水を飲まない場合は水飲み場に工夫を施すようにしましょう。

愛猫のためにできる生活習慣病の予防

生活習慣病は一度発症すると一生付き合わなければいけない病気がほとんどです。中には一生投薬を続けなければいけないもの、いつ悪化するかとビクビクしながら過ごさなければならないもの、なんの前触れもなく急死してしまう病気などもあります。

病気はどれだけ気をつけていても、どれだけ予防をしっかりとしていても完全に防ぐことはできませんが、愛猫のために少しでも生活習慣病のリスクは減らしてあげたいですよね。生活習慣病のリスクを減らすためにできることは何なのでしょうか?

食生活の見直し

生活習慣病の多くは肥満や糖尿病がきっかけとなっていることが多いです。この肥満や糖尿病は遺伝性や体質が原因となっていることもありますが、多くの場合は日頃の食生活の乱れが原因となっている場合がほとんどです。

適正量を無視した食事量、高カロリーな食事などはもちろん、人間の食べ物を盗み食いしたり、飼い主様からお裾分けをしてもらうのも肥満や糖尿病の原因となります。

人間用に加工された食べ物は、猫にとっては塩分や糖分が多すぎるため肝臓に大きな負担をかけてしまうだけではなく、カロリーが多すぎてすぐに肥満を引き起こしてしまう場合も。

愛猫に健康的な生活を送ってもらいたいのであれば、人間の食べ物は与えないようにし、食事量は決められた時間に適正な量を与えるようにし、おやつなどの間食もほどほどにしましょう。

適切な運動量

生活習慣病を予防したいからといって、食事量や食事内容を見直すだけでは不十分です。

適切な食生活と同時に必要なのは、適度な運動です。肥満や糖尿病は食事制限だけでは完全に予防はできません。ある程度の運動を日頃からさせてあげることで、健康で健全な体が手に入るのです。

運動とは言っても、犬のように庭で遊ばせたり散歩をさせたりする必要はありません。室内で飼い主と一緒に遊んであげるだけで十分です。もし、ダイエット目的で運動をさせたいのであれば部屋中を走り回らせるよりも、上下運動を意識して遊ばせるのがおすすめです。

キャットタワーや家具などを利用して登ったり降りたりを繰り返させると、運動にもなりますし、体を動かすことでストレス解消にもなります。また、ほかの生活習慣病の予防にも運動は有効ですから、愛猫の体力や体調を見ながら楽しんで運動をさせてあげるようにしましょう。

ストレスを溜め込まない生活

猫はストレスに大変弱い神経質な動物ですから、不快な生活環境やゆっくりと過ごせない家ではストレスを溜め込んでしまいます。

また、クールで一匹狼のイメージがありますが、実はとても寂しがりやで飼い主に構ってもらえないとストレスで体調を崩してしまうこともあります。

逆に寝ているときや一人でのんびりくつろいでいるときに邪魔をされたり、あまりにも構われすぎてしまうのもストレスを感じてしまう原因となります。ストレス要因は他にも、トイレの清潔さ、食器の清潔さ、お部屋の環境、運動できるスペースなどがあります。

ストレスが直接病気に繋がるというわけではありませんが、ストレスを溜め込むことにより食生活の乱れ、精神不安定な状態になることでの免疫低下などが関係して、病気のきっかけとなりますので、ストレスを溜め込まない快適な生活を提供してあげましょうね。

健康管理を行う

生活習慣病を予防するために大切なのは、愛猫の体調の変化や体の変化にいち早く気づけるように、日頃から健康管理をしっかりと行うことが大切です。

体重の変化、体の変化、鼻水や目ヤニは出ていないか、食欲はあるか、元気はあるかなど、スキンシップを取りながら何か気になるところはないかチェックをしましょう。

毎日スキンシップを取っていると、通常では見逃しがちな変化にもいち早く気がつけますし、少しでも気になることがあれば獣医師に相談をする癖をつけておけば、病気の早期発見にも繋がります。

生活習慣病の予防を日頃から行うのと同時に、病気のサインを見逃さないように常に気にしてあげることが愛猫の命を守ることにつながるのです。

生活習慣病を知って愛猫に長生きしてもらおう

生活習慣病は日頃の生活の中に潜んでいます。ちょっとくらい大丈夫だろうと放っておいたその油断が、取り返しのつかない事態に発展することも珍しくはありません。生活習慣病を完全に防ぐことはできませんが、予防を行うことでリスクを限りなく減らすことはできます。

生活習慣病の原因や症状を知ってぜひ愛猫に健康で長生きができる猫生を送らせてあげましょうね。

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