地震!猫と避難するための事前準備とは。災害時の飼い主ガイドライン

災害というのは、人間が予測できない時に突然起こってしまうものです。地震などの災害は、人間だけでなく飼い猫にとっても本当に恐ろしいものになってしまうでしょう。

地面が揺れるなど、突然災害の恐怖がふりかかってくることで猫は恐怖を感じ、パニックになって急に家の外に飛び出してしまうかもしれません。

そしてそのまま家に帰れなくなってしまうことだってあるんです。そうならないために、飼い主さんが日頃から準備しておくべきことは何でしょうか。

猫が脱走しないように防止する方法と、災害時の移動の方法、さらに避難先で注意するべき点についても考えていきましょう。


災害時のための飼い主さんのガイドライン

2011年、東日本大震災の際にとても多くて問題になったのが「飼い主さんがペットを置いて避難してしまう」ことでした。

災害から逃れて避難をするためにやむを得ず置いていってしまったことにより起こったものですが、これが災害の時に大きな問題になったのです。

このため2013年に、環境省が犬猫の飼い主さんのためのガイドラインを制定しました。

しかし、その3年後の2016年の熊本地震が起こった際にも改善されていない…という問題点が再度発覚してしまったのです。

このために最初はペットの受け入れを許可していた避難所もクレームなどのために後から受け入れを拒否してしまった…という事例もあるんですよ。

そうなってしまっては、飼い主さんも猫も大変なことになってしまいます。

災害が起こってしまった時に備えて、ガイドラインに制定されている下記の点を日頃から守っておくことは大事なことだと言えるでしょう。

飼い主さんは猫を連れていく「同行避難」をすることを徹底しよう

災害の時にはどうしても誰しもパニックになってしまいますが、ここで猫を置いたまま避難してしまうことのないようにしてください。

東日本大震災の時にはこの「同行避難」という言葉がまだしておらず、そのためにたくさんのペットが自宅に取り残されてしまうという事態が起こってしまったのです。

避難した後にどのような状態になるかは分かりません。そのまま何日も家に帰れないというケースも充分に考えられるのです。

大切な家族である猫を置いていって大変なことにならないように、避難をする場合には必ずキャリーに入れて一緒に行動するようにしてください。

猫のしつけを行う(キャリーやケージに慣れさせておく)

災害が起こった時には即座にキャリーに入れて移動させなければなりませんし、避難所ではケージに入れておく必要があります。

いざという時に猫が嫌がって暴れてしまうと、避難どころではなくなってしまいますからね。

日頃からキャリーやケージに慣れておいてもらわないと、災害が起きた時にはさらにパニックになってしまうかもしれません。

「キャリーやケージは怖いところではなく、安心できる場所だ」と猫が理解しておくことが重要です。

さらに、ケージの中にトイレを入れた時に猫がそこで排泄ができるように、練習しておくこともできるでしょう。

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首輪やマイクロチップを装着しておく

災害が起こった時に、猫が家から脱走してしまう事例はとても多いです。こんな時にそなえて、あらかじめ猫に首輪を装着しておくのは良いことですね。

ただし、首輪を付けることを嫌がる猫もいますから、その場合にはマイクロチップの装着も検討してみてください。

マイクロチップなら首輪のように外れてしまうこともないので、もしものときにも安心できます。

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住まいの防災対策をしておく

いつもは安心できる家の中も、災害の時には危険な場所になってしまうことがあります。猫が怪我を負ってしまわないようにしっかりと対策しておきましょう。

高い家具やキャットタワーなどが倒れてしまわないよう、つっぱり棒などをしておくことができますね。

さらに寝室にはなるべく家具を置かないことも大事でしょう。家の中の家具が倒れた時に扉などをふさいでしまって出られなくならないように、置き方や家具の向きにも注意してください。

猫の備蓄品を常に準備しておくべき

災害の時に猫と避難する時に持っていくべきものはこちらです。

  • 猫がいつも食べているごはん(できれば1週間分以上の量)、常備薬があるならそれも必要
  • ガムテープ(ケージを補修したりするもの)
  • ごはんの器
  • キャリー(中にハーネスと洗濯ネットを入れておく)
  • 簡易トイレ(いつも使っている猫砂も)

災害が起こった時に猫と一緒に脱出するためのキャリーはもちろんのこと、避難してから必要になる飲み水やごはんなども多めに常備しておきましょう。

人間の食べ物に比べて猫のごはんは配給されるまでに日数がかかることがありますし、いつもの食べ慣れたごはんでないと食べてくれない可能性もあります(特に災害の時には猫もかなり神経質になっているでしょうからね)。

でも、いざというときにごはんの賞味期限が過ぎていた…なんてことにならないよう、日頃からの品質チェックは大切ですよ。

さらに、キャリーの中にハーネスと洗濯ネットは入れておくようにしましょう。

猫は洗濯ネットの中に入れてあげると落ち着きやすくなりますし、もし万が一脱走してしまった場合に捕獲するためにも洗濯ネットは必要になるからです。

簡易トイレの中にいつもの猫砂を使えるように準備しておくことも大事です。普段と違う猫砂の場合、猫が排泄を我慢してしまって体調が悪化してしまうかもしれません。

去勢・避妊手術をしておく

災害の時に猫がパニックになって逃げだしてしまった時に去勢や避妊をしていないと、そのせいで赤ちゃん猫が生まれてしまうことにも繋がります。

そうなると、家が分からなくて困っている猫がさらに増えてしまうことになってしまいます。

もし飼い主さんの元に無事に帰れたとしても、災害で生き抜くことも大変な時に生まれたばかりの子猫のお世話ができるでしょうか。

そんな事態にならないためにも、しっかりと猫の去勢・避妊手術を行っておきましょう。

避難所で生活することを考えて、ワクチンの接種や寄生虫などの予防や駆除をしておくこともやはり大切なことです。

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脱走防止のためにできること

急な災害時に猫が脱走してしまって困らないために、飼い主さんにできることは何でしょうか。

網戸から脱走しないようにしておく

地震などの災害が起こることで、網戸が開いてしまってそこから猫が脱走してしまうというケースはよくあります。

さらに、災害に驚いてパニックになった猫があり得ないほどの力を出して、網戸を破壊してしまうこともあるんです。

猫が網戸から脱走しないように、あらかじめどんな予防ができるでしょうか。

  • 市販で売られている網戸を固定できる金具を取り付ける
  • 網戸全体をフェンスで保護する
  • 網戸全体をステンレス性のものに取り替える
  • 網戸の手前につっぱり棒などを取り付ける
  • ベランダの場合はネットを張っておく

とにかく災害や猫の力で網戸が外れたりしないように、しっかりと固定できる金具やつっぱり棒を付けて強化しましょう。

網戸自体は弱い作りになっているので、まるごと強化するためにステンレスのものに取り替える…という手もあります(ただし、強すぎて猫が爪をかけると外れにくくなって危険なので気を付けてください)。

ペット用の網戸、「ペットディフェンス」というものもありますがなかなか強度がありそうです。

ペットディフェンス画像
(【網戸】ペットディフェンス | 関西張替えねっとドットコム より)

とにかく猫が網戸から脱走してしまわないように最善の注意を払うようにしてください。

さらにマンションなどの場合には、猫がパニックになって下に飛んで降りてしまうことのないようにネットを張っておくといいでしょう。

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玄関の仕切りに加え、猫がいることをアピールできるステッカーを玄関扉に貼っておく

猫が玄関に来て脱毛してしまわないために、日頃から玄関との境目に仕切りを設けている飼い主さんは多いでしょう。

この仕切りがあれば猫が玄関スペースに来ることを防止することができますね。

しかし災害はいつ何時訪れるか分かりませんから、もしも猫が玄関先に居る時に誰かが玄関を開けた時に一目散に出ていってしまう…こともないとは限りません。

ドアステッカー商品イメージ
(猫がいますステッカー ドア開閉注意  | 猫の首輪通販専門店ぽぽねこ より)

このように「猫がいるので扉の開閉に注意してください」などと表記されているステッカーを玄関扉に貼っておくことで、ダブルの脱走防止対策になり安心できるでしょう。

猫の迷子のチラシやデータをまとめたものを作成しておく

災害の時に猫が脱走して居なくなってしまった場合、災害だけでもかなりのパニックになっている飼い主さんは「どうすればいいの!?」となってしまうでしょう。

猫が行方不明になった場合には、早く捜索活動を開始させなくてはいけません。そのためには近所の人達にも協力してもらう必要がありますし、何よりも目撃証言は貴重です。

しかし災害時には猫のチラシを作る時間なんてありませんし、そもそも電気が通らなくなってしまえばパソコンやコピー機なども使えなくなってしまうでしょう。

そんな状況を想定して、あらかじめ迷子猫のチラシを作成しておくこともできます。

猫の名前や特徴、飼い主さんの情報などをしっかりと盛り込んだカラーのチラシを作っておきましょう。

さらに、災害時に避難をする場合に猫を知り合いや親族などに預けなければならないこともあるかもしれません。

そんな時にも、猫の画像入りの詳しいデータを作っておくとお世話をしてくれる側からしても助かるのではないでしょうか。

猫の性格やいつも食べているごはん、さらに注意点などがあればまとめておくようにすると安心ですね。

とにかく猫が脱走してしまわないための予防策と、万が一脱毛してしまった場合の対策を先回りして取っておくということが大事です。

近所の猫の飼い主さんとの連携を取っておく

近所に猫の飼い主さんがいるなら、なるべく日頃から連携を取れるようにしておくと何かあった時にも心強いでしょう。

お互いの猫の情報を共有しておくことで、猫が脱走した時にも発見につながる情報を教えてもらえるかもしれません。

災害が起こった時の移動の方法

それではここから、突然災害が起こってしまった時に飼い主さんがどのように対応すれば良いのかについて考えてみましょう。

火の元を確認!それから猫をキャリーに入れる

災害が起こったら、まず一番に火の元を確認して二次災害が起こらないようにしましょう。

それから猫をキャリーに入れなければいけませんが、突然のことに驚いてしまった猫は家の中のどこかに隠れてしまうかもしれません。

日頃から猫が好きな場所を把握しておくことで、少しでも早く猫を見つけられる可能性が上がります。

さらに狭い場所や入り込まれたら困るような場所があれば、あらかじめ閉鎖して入れなくしておくこともできますね。

猫は災害時にはかなり興奮してしまうことが想定されるので、猫をキャリーに入れる時に飼い主さんが怪我をしないために皮手袋(軍手ではない)などを準備しておきましょう。

猫をキャリーに入れた後は、しっかりと扉を固定して動かないようにする

なんとか猫を無事に捕まえてキャリーに入れることが出来たら、ここで気を付けておくべきことがあります。

飼い主さんが走った時の振動でキャリーが開いてしまうと元も子もありませんから、ガムテープなどでしっかりと扉部分を固定しておくようにしましょう。

災害の時にはいつ何が起こるか分かりませんから、猫の身を守るためにも徹底してください。

あらかじめ脱走するルートをちゃんと決めておく

いくら猫にキャリーの中に入ることに慣れてもらっているとはいっても、飼い主さんがキャリーを持って避難所まで移動しなければならないわけです。

なるべく短時間で早く目的地につかないと、猫はストレスがかなり溜まってしまうでしょう。

さらに飼い主さんの家族と離ればなれにならないためにも、避難場所とそこに向かうまでのルートはあらかじめ決めておく必要があります。

ご家族で話し合って、一番良いと思われるルートをきちんと決めて共有しておきましょう。

さらに、避難所に猫を連れていく場合の注意事項などは自治体によって違いがあったりするのでチェックしておくと安心できますね。

避難先での注意

避難所についたらまず心に留めておいてほしいことがあります。それは避難所にいる人達全員が被災者であるということ。

まず優先されるのは人命であるので、猫がいるからといって決して特別扱いはしてもらえないということも覚えておきましょう。

被災している人達の中には猫が嫌いな人もいるかもしれませんし、猫アレルギーの人も最近は増えてきています。

飼い主さんが、避難所で過ごすのか、それ以外の場所で過ごすのかを選択することができるでしょう。

もしも避難所で過ごす場合には猫はケージに入れて別の場所に置いておかないといけなくなる、ということも知っておきましょう。

ただ、確実に言えることは猫は知らない場所で過ごすことは大きなストレスになるということです。

知らない場所に加えて飼い主さんと離ればなれになることは、猫の体調が崩れてしまう原因にもなりかねないのです。

もしも自宅がそこまで危険でないならば、自宅で過ごすという選択肢もありますし、避難所の近くの家に猫を避難させてもらうようにお願いすることもできるかもしれません。

  • 危険がそこまでないなら自宅で猫と過ごす
  • 避難所の近くの家を猫の避難場所として貸してもらう
  • 車の中で猫と過ごす
  • 簡易テントで猫と過ごす

どの選択肢にするかは、最終的に飼い主さんが決定する必要があります。ただし、車の中で過ごす場合には気温が短時間で上昇してしまうことがあるので注意してください。

気温が上がってきたらエンジンをかけてエアコンを入れ、下げるようにして猫の熱中症を避けましょう。

さらに、飼い主さんも同じ体制でいることでエコノミー症候群にならないように気を付けてください。

ペットの災害時に備えて様々なケースを想定しておこう

災害が起きてパニックになっている時に、猫を一緒に連れて避難することはとても大変なことです。

避難所にとどまることが猫にとって最善か、それとも別の選択肢にする必要があるのかーそれを決めるのも飼い主さんにかかっているのです。

大変な時だからこそ、周りの人々に協力をお願いしてみることも大事なことですよね。ペットを災害時に守るためにも飼い主さんがしっかりしましょう。

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