「パンドラ症候群」は猫の突発性膀胱炎のことで、完全室内飼いの猫ちゃんがかかりやすい疾病です。
原因は特定されていませんが、近年ではパンドラ症候群の発症原因はストレスではないかと指摘されています。
人間の生活空間は、実は猫ちゃんにはストレスが多いのかもしれません。
あなたの猫ちゃんをストレスから守る、「パンドラ症候群にさせないお部屋作り」を5つのポイントからわかりやすく解説いたします。
原因はストレス?「パンドラ症候群」とはこんな病気です
- パンドラ症候群
- 原因不明の「ネコ突発性膀胱炎」のこと。決定的な原因は特定できないが、傾向としてオス猫、純血種、肥満体形に多いと言われている。
まるで「パンドラの箱」を開けたように次々に新しい病気が見つかりやすいことから、このように呼ばれるようになりました。
膀胱炎以外に胃腸や皮膚、神経機能などの疾病につながることが多いですが、この疾病自体は致命的なものではありません。
パンドラ症候群の症状
- 排尿時に痛がる
- 血尿が出る
- 粗相する
- 排尿に1分以上かかる
- 陰部をしきりになめる
など
こんな症状が出ていたら、猫ちゃんにストレスがかかっているかも?
パンドラ症候群、原因は住環境のストレス説
バフィントン獣医師がパンドラ症候群のネコたちに安定した環境を用意したところ、ほとんどの猫の症状が改善してしまったといいます。
症状の改善には、安定したストレスの少ない住環境を猫たちに提供することが大切であるとバフィントン獣医師は主張しています。
現在、完全室内飼いの猫ちゃんが増えています。
本来自然の中で暮らしていた猫にとって、人間と一緒の生活は快適なのでしょうか?
猫は人間の何倍も音が聞こえたり、匂いをかぎ分けたりします。
もしかしたら、飼い主さんにはわからないストレスを猫ちゃんは日ごろ感じているかもしれません。
あなたの大切な猫ちゃんをパンドラ症候群にさせない、お部屋作りのポイント5つを具体的にご紹介いたします。
パンドラ症候群にさせないお部屋作り5つのポイント
大切な猫ちゃんに快適に過ごしてほしい!
そんなお部屋作りのポイントは5つ。具体的に解説いたします。
猫が敏感に感じ取る「音」
猫ちゃんの可聴域(音の聞こえる範囲)は人間より幅広くなっています。
- 人間は20~20,000ヘルツ
- 犬は40~65,000ヘルツ
- 猫は25~75,000ヘルツ
猫ちゃんの可聴域は広く、特に高音域に対する感度が優れています。
人間が気にならない音もねこちゃんにはストレスになっているかもしれません。
特にドライヤーや掃除機が苦手な猫ちゃんは多いものです。
我が家ではドライヤーは使わず、お掃除は拭き掃除で対応しています。
きらいなにおいどころか、毒になっているかも!「香り」
生活にアロマが普及して、もしかしたら、毎日香りを楽しんでらっしゃる飼い主さんも多いかもしれませんね。
ただ、ねこちゃんの嗅覚は人間の数万倍から数十万倍と言われています。
飼い主さんのお気に入りの香りが、もしかしたら猫ちゃんにはきつすぎるかもしれません。
また、猫特有の解毒の問題もあります。
猫の肝臓には解毒機構のグルクロン酸抱合がなく、本来分解されるべき精油の成分が解毒できない場合があります。
アロマオイルは100%天然ですが、製造過程でその濃度が極度に濃縮されています。
人間にとってはリラックスできる香りでも、猫ちゃんには毒かもしれません。
- 特に避けるべき製油
-
- ティートゥリー
- レモンやオレンジ、グレープフルーツなどの柑橘類
猫が落ち着けない「空間」はつらい!
飼い主さんに快適な空間でも、猫ちゃんにはちょっと落ち着かない場合もあります。
トイレは清潔で安心できる場所に設置していますか?
また、トイレの数は猫ちゃんの頭数プラス1です。粗相を良くしてしまう場合は、トイレを増やすことも考えてみてくださいね。
おうちの中に、猫ちゃんがくつろげる場所はありますか?猫ちゃんだって、人づきあいで疲れることもあるはず。
静かで暗く、落ち着ける猫ちゃんだけのスペースを作ってあげましょう。
実は餌に問題があるかも?「食」の見直し
キャットフードはどんなものをあげていますか?
水分をより多く摂取してもらうために、キャットフードをドライからウェットに変えてみるのもいいかもしれません。
また、水はいつも清潔でたっぷり用意されていますか?水飲み場を増やすことも検討してみてください。
多頭飼いは注意したい、猫同士の「関係性」
多頭飼いの場合、他の動物と猫ちゃんの関係は良好ですか?
また、飼い主さんとの関係はいかがでしょうか?猫ちゃんのストレス発散とコミュニケーションを兼ねて、日ごろから猫ちゃんと遊ぶ時間を持ちましょう。
猫ちゃんの反応を見て、いやがることうれしがることを今一度確認してみましょう。
飼い主さんの目線から、ちょっとだけ猫ちゃんの目線になって確認してみましょう。
猫ちゃんにやさしい「MEMOセラビー」で過ごしやすい空間を作りましょう
特発性膀胱炎の改善には、以上の様に多面的な角度から猫ちゃんの住環境を確認することが大切です。
この様な対応は「多面的な環境調整」(multimodal environmental modification)の頭文字を取って「MEMOセラピー」と呼ばれています。
猫ちゃんになったつもりで安心できるお部屋作りをしましょう
近年、生活環境と猫のストレスの関係を示唆する研究が発表されています。
2013年の日本ヒルズコルゲートの「愛猫のストレスと病気に関する意識調査」では、敏感な猫ちゃんの方が普通の猫ちゃんの1.6倍パンドラ症候群にかかりやすいとの調査結果が出ています。
2.
2012~2016年のイギリスと香港チームの研究では、屋内環境の比較で、非凝固型の猫砂は2.62倍、多頭買いは3.16倍、高い場所がない場合は4.64倍、パンドラ症候群の発症リスクが高まるとの結果が出ています。
飼い主さんには気にならない音や香りが、猫ちゃんにとって大きなストレスかもしれません。
冷蔵庫や洗濯機の音、もしかしたらパソコンやスマホから猫ちゃんの苦手な周波数が出ているかもしれませんね。
また、飼い主さんのお友だちでも猫ちゃんには知らない来訪者で、びっくりしているかもしれません。
うちの猫も、玄関のチャイムが鳴るたびにびっくりしています。
猫ちゃんになったつもりで、生活環境をいまいちど見直してみましょう。
猫ちゃんだったら、どんなお部屋が安心するでしょうか?
ご紹介した5つのポイントをもとに、「パンドラ症候群にさせない!」猫ちゃんが安心できる環境作りを心がけてあげてくださいね。