猫は痛みを隠す生き物です。何か調子が悪い時、猫は人間のように特別飼い主さんに訴えたり、騒いでアピールしたりといったことはあまりありません。
野生時代、痛みを感じているのが周囲にわかるということは、猫にとって自分が弱っている状態を敵に教えてしまうということでした。そのため猫は生き残るために、本能的に自分の痛みを隠そうとします。
もし、飼い主さんから見ても猫がお腹の方を痛がる様子が明らかだという場合、それは猫にとってかなりの痛みを感じている状態です。速やかに動物病院へ連れて行ってあげましょう。
猫がお腹などを痛がる時のしぐさや原因、対処法などをご紹介します。
猫がお腹などを痛がる時のしぐさ
猫のお腹には多数の臓器が詰まっており、様々な病気で痛みを感じることがあります。
頭や背中が痛いのであれば頭を抱えたり、背中を気にしたりといった様子が見られますが、特にそうでない場合、猫はお腹の方に痛みを感じていると思われます。
そこで、猫がお腹を痛がる時のしぐさをまずご紹介していきます。当てはまることがないかチェックしてみて下さい。
顔をしかめる
猫は強い痛みを感じた時、よほどでなければ鳴きません。代わりに痛みを隠そうとして、表情が険しくなることがあります。また、
- 目を吊り上げる
- 耳の先がぴたりとして後ろに回っている
- まばたき1つせず、カッと目を見開いている
というようなこともあります。いずれにしろ、飼い主さんに甘えるような余裕もなく顔をしかめているので、飼い主さんは比較的気がつきやすいでしょう。
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うずくまる
猫がお腹を痛がる時、動くと痛みが強くなるため、猫はできるだけ動かなくなります。その場に何時間も静かにうずくまっているような時は、猫が痛みを感じている可能性が高いでしょう。
痛みが治まるまでひたすらじっとして、猫は体力を温存し続けているのです。
だらけようとしない
猫がお腹を痛がっている時は、普段飼い主さんに甘える時のように、コロンと寝ころがってお腹を見せるなどのような、気の緩んだ体勢を見せません。
痛みが強くてリラックスできないということもありますが、体が弱っている時は敵に襲われないように周囲を警戒しなくてはならないため、気を緩ませることが出来ないのです。
伸びをしない
特に、火傷や怪我など物理的な理由でお腹に痛みを感じている時、猫は体を伸ばそうとしません。伸びをすると患部も伸びて痛みを感じるため、猫は体を縮こまらせてじっとしていることが多くなります。
遊びに誘っても動かない
お腹を痛がっている時、猫はできるだけ動こうとしません。普段猫じゃらしが大好きな猫でも、目の前に猫じゃらしを垂らしても眺めるだけ、あるいは全くの無反応ということもよくあります。
遊び好きな猫が乗ってこない時は、何か痛みを感じているかもしれないので様子を観察してみましょう。
苦しそうに唸っている、鳴く
周りに誰もいないのに、その場で静かに唸っていたり、普段聞かないような声で鳴いていたりするのも、痛がっているしぐさです。
また、嬉しいことがないのに喉をゴロゴロと鳴らしている時は、ゴロゴロという音により痛みを緩和しようとしているのかもしれません。猫が喉をゴロゴロと鳴らす音には、猫にとって治癒効果があるとされています。
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触らせてくれない
お腹を痛がっている最中、猫はむやみに触られることを好みません。普段慣れていて、大好きな飼い主さんの手であっても、近づいてくるだけで威嚇したり、逃げようと移動したりすることがあります。
震える
猫がお腹を痛がっている時、痛みのあまり、全身を小さく震わせていることもあります。あまりその場を動かず、小刻みにぶるぶるとしている時は、猫が必死に痛みに耐えようとしている可能性が大です。
部屋の狭いところや隅っこに行く
猫は体に痛みを感じている時、本能的に狭いところや隅っこなど、周囲を壁に囲まれた場所に行きたがります。壁の近くならその方向から襲われることがないので、猫にとって安全なのです。
普段行かないような部屋の隅や、家具と家具の間の狭い隙間などに無理矢理うずくまっている時は、猫の調子が悪い時です。
猫がお腹を痛がる時の3大原因
猫がお腹を痛がるというのは明らかに異常な状態で、必ず何らかの理由が隠れています。大きく分けて3つの、よくある可能性をご紹介します。
病気
猫がお腹を痛がる場合、考えられる一番の原因は病気です。胃炎や大腸炎などは比較的どんな猫にもありがちですが、中にはガンによる腫瘍など命に関わる重大な病気である可能性もあります。
お腹を痛がる可能性のある病気は非常に幅広いので、飼い主さんから見ても猫がお腹を痛がるのがわかるような場合はとにかく速やかに動物病院へ連れて行くのが一番確実です。
外傷
遊んでいる時に勢いよくジャンプしてお腹をぶつけたなど、物理的な原因で痛みを感じている場合もあります。
猫の体はとても柔らかく、また運動神経に優れていますが、その分スピードと勢いがあり、骨折や打撲などもよく見られるので注意が必要です。
毛皮に埋もれて確認しにくい場所でもあるので気をつけましょう。
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便秘
特に病気でなくてもよくありがちなのが、実は便秘です。猫は水分摂取量が少なくなりがちなので、どうしても便秘になりやすくなります。
猫の場合は48時間以上うんちが出なかったら便秘です。また、コロコロとした丸いうんちばかりしていてもやはり便秘です。
便秘がひどくなるとお腹に痛みを感じる上、最悪うんちが自力では出せなくなってしまうこともあります。早めに病院へ行きましょう。
原因の手がかりを求めて、猫のトイレをチェックしよう
猫がお腹を痛がる時、便秘や下痢の症状を伴うこともよくあります。そこで、猫が痛がる様子を見せたら、まずは猫のトイレを確認してみましょう。排泄物の様子を確認し、
- 便秘
- 下痢
- 血便
- 虫や白いかけらが見える
- おしっこがきらきらしている
などのようなことがないかチェックしましょう。また、万一何か異常があれば、動物病院に行き獣医さんに報告しましょう。排泄物を直接持っていくのも有効です。
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猫がお腹を痛がる時の自宅での対処法
猫がお腹を痛がる時、飼い主さんにできることをご紹介します。
まずは病院へ!
健康な猫であれば、何もないのに痛みを感じるということはありません。痛みを感じるには理由があります。また、お腹を痛がるような病気は非常に多くあり、しかも猫が痛みを隠せないような状態は深刻です。
素人判断が一番いけないことですので、猫がお腹を痛がる姿を見つけたら、まずはとにかく動物病院へ連れて行きましょう。
フードを変えてみる
例えば慢性的な便秘、あるいは大腸炎などでお腹を痛がるという場合、動物病院で処方される薬だけでは改善しきれないことも多々あります。
薬をあげているのにまだ痛そう、どうにかしてあげられないかとお悩みなのであれば、フードを消化しやすいものに変えてみるのもおすすめです。
特に食物繊維やオリゴ糖などを含んだものは猫の腸内環境を整え、免疫を上げるのに役立ちます。
整腸剤を与える
フードを既に病院で指定されていたり、お気に入りで変えられなかったりする場合は、サプリメントを与えてみるのもおすすめです。乳酸菌や食物繊維は胃腸を整えたり便秘を改善するのに役立ちます。
フードにふりかけるタイプやおやつタイプもあるので、お好きなものを選んでみて下さい。
▼猫の整腸剤としてビオフェルミンを与えるときの注意点をチェックしましょう
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マッサージする
慢性的な便秘などでお腹を痛がる場合は、マッサージも有効です。マッサージには排便を促すだけでなく、血流を良くしたりリラックス効果なども期待できます。
お腹にそっと手を当て、くるくると数回~数十回撫で回すようにマッサージしましょう。ただし、お腹を痛がっている真っ最中はかえって悪化させることがあるので、やめてあげた方が無難です。
また、お腹を痛がる原因が明らかでない場合も、下手にマッサージしてしまうと悪化する場合があるのでやめましょう。
▼猫の便秘解消のためのマッサージについてはこちらをどうぞ
スッキリにゃ!猫の便秘マッサージのコツ&気持ちいい~ポイント
ストレスなどを減らす
猫はストレスで便秘や下痢などを引き起こす場合があります。特に臆病で繊細な猫ほどストレスに弱いので、できるだけストレスの元となるものを取り除くようにしてあげましょう。
また、寂しがり屋な猫には飼い主さんの外出を減らしたり、できるだけ長く一緒にいてあげたりするだけでも、安心できるのでストレスを減らすのに有効です。
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猫がお腹を痛がるのは病気のサイン!すぐに病院へ行こう
飼い主さんから見ても明らかにお腹を痛がるという場合、命に関わるような重大な病気が隠れている可能性もあります。まずは必ず動物病院へ行き検査をしてもらいましょう。
猫は痛みを隠す生き物なので、飼い主さんにわかるようになった時点では既にだいぶ病気が進行してしまっている可能性が高くなります。
また、検査をしても原因不明という場合は、フードを変えてみる、マッサージしてみるなどお腹に優しい行為を心がけてあげましょう。
お腹が痛いのはとてもつらいことです。どうにかして楽になれるよう、飼い主さんは全力を尽くしましょう。
みんなのコメント
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家の3歳の猫ちゃんがお腹辺りをビジョンに痛がります。
3週間前からで病気で色んな検査をしました。MRIもCTも髄液も撮りましたが異常が見つかりません。点滴での痛み止をするとちょっと元気になりますが、内服薬の痛み止はきいてない感じです。抗生剤と痛み止を飲んでいますが最初からの痛みと変わった様子がなく歩くのも痛くゆっくひ震えながらです。
病院でももう、何の検査をしたらよいのか分からない常態です。
家の猫ちゃん助けて下さい。