猫のベスト室温は子猫と老猫で違う。夏と冬の快適な空間のつくり方

犬は喜び庭駆け回り 猫はこたつで丸くなる――――

誰もが知っている歌の通り、冬の猫は暖かいところで丸まっている印象がありますよね。その一方で夏はひんやりした風呂場や日陰でだら~んと伸びていたり。

「だったら、猫にとってのベストな室温って何度?どうすればいいの?」

そんな疑問に具体的にお答えします。

そもそも猫って暑がり?寒がり?実は暖かいところで生きるのが普通なんです

現在、一般的に「猫」と呼ばれているのは哺乳綱 食肉目(ネコ目) ネコ科 の「イエネコ(domestic cat)」と呼ばれる種類になります。

その起源は中東から北アフリカに生息するリビアヤマネコとされています。

約6000年前、古代エジプトで飼いならされて家畜化したというのが通説ですが、それよりも昔、メソポタミアの穀倉地帯でネズミを追って猫が自ら人間達の住む場所へと近づいて「家畜化」したなんて説も。

日本にいる二種類のヤマネコも、その生息地は長崎県の対馬と沖縄県の西表島。

つまり、もともと猫は暖かいところに住む生き物である。これを大前提として覚えておきましょう。

ということは当然、暑がりか寒がりかというと寒がり、に軍配が上がりますよね。

とはいっても、同じ温度設定でも「暑い」と服を脱ぐ人もいれば「寒い」と羽織る人もいるように、猫にもそれぞれ個体差があるのです。

身も蓋もない言い方かも知れませんが、この温度ならどんな猫でも絶対OK!という正解はありません。

次からは冬と夏、それぞれの季節に「うちの猫」が快適に過ごせる室温の見つけ方と作り方をご紹介します。

冬の猫の快適温度と、猫が暖まることができる場所の作り方

冬の猫、と聞いて皆さんはどんなイメージを思い浮かべますか?

  • 窓辺や縁側の陽だまりで丸くなる
  • 毛布や毛足の長いカーペットの上や隙間にもぐりこむ
  • 人の膝の上に乗ったり猫同士でくっつき合う
  • ストーブの前で寝そべる

などなど、色々挙がるでしょう。

  • 丸くなる
  • もぐりこむ
  • くっつく

は猫の「寒いよ」のサインです。

飼い主さんにべったりくっついて離れないのは親愛の情でもありますが、甘えているときは喉をゴロゴロと鳴らしていたり前足でモミモミしています。寒いのか甘えているのかは、表情やしぐさを読んであげてください。

さて、基本的には、人間が快適に過ごせる温度であれば、猫にとっても大きな問題はありません。

また、真冬日でもない限り、猫にお留守番させるときには、暖房をつけっぱなしにして部屋全体を暖める必要もないのです。

(そのためにあの立派な毛皮があるのですから!)

エアコンを使う場合の設定温度は人間と同じ20℃~23℃を目安に、それよりも少し寒い所、少し暖かい所を猫が自分で選べるようにしてあげるのが理想的です。

では、もしも寒いと思ったときに、猫が暖を取れるようにするためには、何を用意すればいいのでしょう?

  • 毛布や布団
  • 湯たんぽまたはカイロ
  • コタツ
  • ペットヒーターまたはホットカーペット

このどれかがあれば大丈夫。

ストーブや立てて使うヒーターは、猫が上に乗って倒してしまったり、やけどをする危険があるので、特に活動的な猫がいる場合はお勧めできません。

毛布や布団

猫が自分から押入れの中に入って、毛布や布団の隙間にもぐり込んでいたことはありませんか?

毛布や布団は保温性が高いので、猫ベッドや床に敷くだけで充分暖かく過ごせます。ただし冷気が伝わりやすい窓際に猫ベッドを置くことは避けましょう。

猫ベッドの下にも、断熱材としてダンボールやマットを敷いてあげると一層快適に。

湯たんぽ、カイロ

湯たんぽは、お湯を入れるタイプで2~4時間、充電式のものであれば6~8時間暖かさが持続します。

カイロは使い捨てのもので8~20時間持続しますが、湿気に反応して発熱するので、汗をかかない猫の場合は人間が使うときほど温度は上がりません。

どちらの場合も、単独で使うより毛布や布団の中に入れてあげると効果的です。低温やけど防止のためにも、猫の肌に直接触れないよう工夫しましょう。

コタツ

コタツは、筆者の猫も長年愛用して来たお気に入りです。寒くなったらコタツの中にもぐり込み、暑くなったら布団の隙間から顔や上半身だけ出して人間のような姿で寝ていたりと、好きなように過ごしていました。

外出するときには電源を切っていましたが、布団に残ったぬくもりプラス猫の体温で快適なようです。

コタツを使う上で気をつけておきたいデメリットは

  • 酸欠
  • 低温やけど

の二つですが、これは

  • 時々布団をめくって空気を入れること(人間が出入りするだけでも大分違います)
  • 温度設定を低めにすること

で予防できます。

ホットカーペット、ペットヒーター

さて、猫とは関係ない所ですが「人間がうたた寝して風邪を引いてしまう」というのがコタツによくある所。このためにコタツの導入をためらう方もかなりいらっしゃると思います。筆者の友人知人の中にも相当います。

そんな方には、ホットカーペットやペットヒーターの上に毛布やタオルを敷くのもお勧めです。

これならば酸欠の恐れはありませんので、猫の体温(約38~39℃)よりも高くなりすぎないように温度設定に気をつければOKです。

(残念なことに筆者宅の猫はカーペットで爪とぎをするのが大好きでしたので、危険防止のためあきらめてコタツを選びました)

コタツやホットカーペットを使用する際には、コードをかじられないよう、配線にはくれぐれも気をつけておきましょう。

最後に一つ、冬の室内飼いの猫のために見落としがちな大切なことを。

特にマンションのような機密性の高い部屋の場合、どうしても窓に結露が発生しやすくなります。

その露を猫が舐めることがあるので、冬の窓掃除には洗剤やガラスクリーナーを使わないで乾拭きか水拭きで。

夏の猫の快適温度と、猫が涼める場所の作り方

一方、夏の猫はどうでしょう。

  • お風呂場や玄関のタイルにお腹をくっつけて伸びている
  • 日陰で伸びている
  • 風の通り道で伸びている

と、見事に「伸びている」印象しかありません。

とはいえ、エアコンをつけたら寒そうに猫団子を作った、風邪を引いたという話もよく聞きます。

最初に述べたとおり猫は暑いところの生き物なので、寒さよりは暑さに強いと言えます。

しかし、日本の夏の平均気温は確実に上がってきていますし、真夏日も増えています。あまりに暑い所で長時間過ごすと、猫だって熱中症にかかる危険もあるのです。

では、猫にとって快適な夏の室温はどのくらいなのでしょう?

室温は、冬と同じく夏の場合も人間と変わりないと考えて大丈夫。

エアコンの設定温度は28℃くらい、ただし湿度を嫌うのでドライ運転がお勧めです。

28℃でエアコンをつけているとき、猫が丸まっている場合は温度を上げ、逆に暑そうに伸びてだらんとしている場合は温度を下げて微調整をしましょう。

エアコン以外にも、冬と同じく、猫が自分で快適な場所を選べるように、涼しいところをいくつか用意してあげると良いですね。

その時に大切なポイントは次の3つです。

  • 風通し
  • 日陰
  • 水分補給

風通し

実は風通しの良さは体感温度を左右する重要なポイントです。

もし窓を開けておいても防犯上大丈夫な環境なら、直射日光が入らないことを大前提として、窓を網戸にして自然の風を通すのが、一番猫の身体には優しいでしょう。(ただし、網戸を破らない大人しい猫の場合に限ります)

筆者がマンションの上階に住んでいた時には、東向きの掃き出し窓の網戸にロックをつけて、猫が開けられないようにした上で窓を開け放していました。

午後になって陽が当たらなくなると、網戸にお腹を密着させて、フローリングの床で横向きにびろ~んと伸びた状態でよく昼寝していました。

また、玄関や風呂場、フローリングの部屋は猫が好む避暑地ですので、ドアを開けて出入り自由にしてあげると良いでしょう。浴槽のお湯を抜いておくことと、ドアが勝手に閉まって閉じこめられないよう、対策を忘れずに。

風といえば扇風機ですが、やんちゃざかりの子猫や活発な猫の場合、じゃれついて尻尾が巻き込まれたり倒してしまったりといった事故の原因になります。

上手に使えばエアコンの電気代の節約にもなりますので、網目状のカバーを取り付けて巻き込みを防いだり、コードで悪戯されたり倒れたりしないよう工夫して使いましょう。

さて、部屋の風通し対策を考えたら、それをより効果的にするために猫自身の風通しも考えてあげましょう。

人間と違って猫は汗をかかない上に、みっちりと毛皮を着込んでいます。

室内飼いの猫の場合、寒暖差が少ない環境で年中過ごしていると、冬毛が抜け切らないまま夏を迎えてしまう場合も。

梅雨時をめどにシャンプーをし、こまめにブラッシングして、少しでも衣替えをさせてあげましょう。

日陰

例えば海水浴に行ったとき。パラソルの陰に入るのと直射日光を浴びているのとで、全く暑さが違いますよね。

夏の日差しをさえぎるだけで、体感温度も冷房効率も大分変わります。

上記のように網戸を使う場合は、昔ながらのすだれやよしずで日差しを遮る方法が、風を通す上に安価で手軽です。

しかし窓を締め切る場合、一番効率がいいのは、ずばり、遮光カーテンです。冷房効率も格段にアップしますので、エアコンを使う部屋には遮光カーテンをお勧めします。

水分補給

エアコンを使う使わないに関わらず、夏の猫にはたっぷりの水分が必要です。

脱水症状を起こさせないためにも、猫の好みそうな涼しい場所には水を置いておきましょう。夏場は水の腐敗も心配ですから、できるだけこまめに水を取り替えてください。

注意!

猫にミネラルウォーター、特に外国産に多い硬水は禁物です。硬水に多いマグネシウムは尿路結石の原因の一つとなります。

日本の水道水は軟水なので、猫のためには水道水で充分です。カルキ臭が気になる場合は一度沸騰したものを冷ましましょう。ただし腐敗が早くなるのでこまめに交換を。

どうしてもミネラルウォーターを飲ませたい場合は国産のもの、またはエビアンやクリスタルガイザーなど硬度の低いものを。

ただし、ナトリウムなど他の成分も、猫の体質によっては結石の引き金となる場合があるので、事前にかかりつけの獣医さんに相談を忘れずに。

その他の便利グッズも活用しましょう

最近は冷却マットなど色々なグッズも売られているので、涼しい場所を用意してあげるのが難しい場合はそういったものを使う事も考えましょう。

猫によって好みがあるので、買ったからといってありがたがって使ってくれるとは限らないのが辛いところですが……

ちなみに筆者の猫の場合、結構思い切って買った大理石マットには見向きもせず、筆者が自分用に買った枕用のジェルマットを占領してしまいました。

子猫と老猫の快適温度と、安らげる場所の作り方

さて、今まで猫のための気持ちいい室温について述べて来ましたが、実は子猫と老猫にとっては少々事情が変わってきます。

子猫の適温は約30℃前後。室温ではなく湯たんぽで調節して

子猫(この場合は立って動き回れるようになるまで)の場合は、まだ自力で充分な体温調節が出来ないため、成猫よりも室温を高めの約30℃前後にしてあげる必要があります。

といっても、この時期は寝床を中心とした狭い範囲でしか移動しないので、室内全体の温度を上げる必要はありません。

保温性の高いダンボールなどにタオルを敷き、40℃くらいのお湯を入れた湯たんぽをタオルでくるんで入れてあげましょう。

母猫の体温が38℃~39℃位なので、それに近い温度にしておくと、低温やけども防げますし子猫も安心します。

老猫の適温は夏は28℃、冬も25~28℃

子猫と同じく、老猫も自力での体温調節が難しくなってきます。個体差があるので何歳になったら老猫!という明確な線引きは難しいのですが、

  • 動きが鈍くなる
  • 高いところへ飛び上がれなくなる
  • 毛艶がなくなってきた
  • 寝る時間が長くなる
  • 物音に対する反応が鈍くなる

こんな兆候が見られたら老猫になってきたと思っても良いでしょう。

動きが鈍くなると筋肉を動かして熱を作り出すことが出来なくなってくるので、急激な温度変化に対応しづらくなります。

出来るだけ季節による温度変化が少ないように、夏は28℃、冬も25~28℃を目安に室温を調節してください。

暖かいところ・涼しいところは猫に聞こう

昔からそう言われるように、猫は自分にとって気持ちいい場所を探す天才です。

となると、猫が気持ちいい場所をできるだけたくさん作ってあげるのが、飼い主の腕の見せ所です。

色々と工夫して、それぞれの猫に合った室温を作り出して、快適に過ごさせてあげたいものですね。

みんなのコメント

  • 匿名 より:

    冷房いれなくても丁度いい日でも老猫にとっては何度がベストなの?

  • ニャン より:

    冷房いれなくても丁度いい日でも老猫にとっては何度がベストなの?

  • とらお より:

    去年まであれだけ冷房が嫌いだったウチの猫が、今年は冷房の風がもろに当たる寝室のベッドの上で気持ちよさそうに寝ています。もう7歳、老猫になってきたせいでしょうか?

ニャン へ返信する コメントをキャンセル

ページトップへ