飼い主さんが新聞を読んでいると邪魔しにきたり、猫に構っていると一緒に暮らしている他の猫が慌ててかけ寄ってきたり、場合によっては、飼い主さんが構っている相手を攻撃してしまったり……。
実はこれ、嫉妬によるものなのです。
猫も人間のように嫉妬する動物です。飼い主さんの愛情を敏感に察知して、飼い主さんの愛情が自分以外に向くのを阻止します。
それだけ飼い主さんが好きだという証拠でもありますが、あまり攻撃的な態度が過ぎると困ってしまいますよね。猫が嫉妬する時はどういう時なのか、またどうやったら嫉妬しないでもらえるのかをご紹介します。
まさかそんなことで!?猫が嫉妬する原因
猫が嫉妬するのは主に飼い主さんに自分より優先するものがある時です。しかし、中には「えっ、それにも嫉妬するの?」というようなものが対象になる場合があります。わかりやすいものから意外なものまで、猫の嫉妬原因を挙げてみます。
飼い主さんが自分より他の猫に構っている時間が長い
多頭飼いしている場合によくあるのが、他の猫との不平等を感じて嫉妬する場合です。
- 自分には頭を撫でただけなのに他の猫は抱っこした
- 自分の前を通りすぎて他の猫のところへ行った
- 遊んでくれる時間が他の猫より短い
- 自分の名前を他の猫の後に呼ばれる
など、他の猫の方が優遇されていると感じると猫は他の猫に嫉妬するようになります。猫の扱いは平等にしましょう。
構ってほしい時に飼い主さんが他のものに夢中になっている
猫は構ってほしい時に構ってもらえるのが好きです。しかし、構ってほしい時に飼い主さんが他のものにかかりきりだと、飼い主さんの意識が向いているものが気に入らないと感じてしまいます。
一緒に飼っている他の猫はもちろん、ティッシュ箱や新聞、スマホなどにも嫉妬は向かいます。猫が鳴いたら作業を一時中断してちょこちょこっと構ってあげるとよいでしょう。
新しい猫が増えた、赤ちゃんが生まれた
2匹目以降の猫を新たに飼い始めた場合や、赤ちゃんが生まれて家族が1人増えた時も猫は嫉妬することがあります。
猫に使っていた時間を新しい家族のために割いたり、家族が新しい家族にかかりきりになると、先住猫としてはもちろん気分がよくありません。
新しい家族を先住猫に受け入れてもらうためには、先住猫に構う時間をそれまでよりむしろ増やしてあげるとよいでしょう。
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飼い主さんの恋人を連れてきた
意外にも、猫は人間の性別の違いも敏感に察知します。飼い主さんが家に恋人を連れてきて、恋人にばかり構っていても、猫は嫉妬することがあります。番(つがい)として恋人に飼い主さんを奪われるかもしれないと感じるのです。
将来的に結婚して一緒に暮らすことになった場合、嫉妬したままだと大変です。2人で積極的に猫に構ってあげて、猫に「飼い主さんの恋人は自分と遊んでくれる良い人」認定されるようにしましょう。
それも嫉妬のせいなの!?嫉妬した猫の行動いろいろ
嫉妬した猫の行動は意外とバリエーションが豊富です。愛猫の謎行動も実は嫉妬が原因かもしれません。猫が嫉妬した時の行動パターンには次のようなものがあります。
攻撃する
猫は嫉妬すると、新入り猫や赤ちゃん、飼い主さんの恋人など、嫉妬の対象に攻撃することがあります。頻度は猫によって差があり、攻撃方法も自分の近くに来た時だけ噛みついたり、自分から飛びかかったり、引っかいたりと様々です。
あまり激しい場合は怪我をしないようにあらかじめ猫の爪を切っておいたり、嫉妬の対象に猫を寄らせないよう工夫しましょう。
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隠す
ティッシュや新聞、携帯電話など物に対する嫉妬の場合、飼い主さんが手を出せないように自分の体で物を隠してしまったり、あるいは口で運んで持ち去ってしまったりすることがあります。自分だけに構ってくれなきゃ嫌なのです。
追い出す
自分の縄張りに嫉妬の対象が入ってくると、気に入らず相手を攻撃して追い出そうとすることがあります。
鳴いてアピールする
「こっちを見て!」とばかり、猫は嫉妬すると激しく鳴いて飼い主さんの注意を引こうとすることがあります。
それで実際に興味を引くことができた場合、猫は鳴くことで飼い主さんを取り戻せると学習してしまうため、余計に鳴くようになります。
だからといって無視してしまうと嫉妬している猫は満たされずにストレスを抱えてしまうので、できる限り、そもそも猫を嫉妬させないように早めに構ってあげるのがよいでしょう。
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粗相する
嫉妬のあまりストレスをためてしまうと、猫はその不満を粗相というかたちで表現することがあります。また、ストレス以外でも、嫉妬対象に対する牽制やマーキングの意味を込めて飼い主さんの布団などに粗相することもあります。
一度においがつくと何度でも同じところでやろうとしてしまうので、飼い主さんは粗相された箇所ににおいを残さないよう厳重に掃除が必要です。
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いたずらする
ティッシュを引き出して食いちぎってみたり、ゴミ箱を漁ってみたり、飼い主さんの洋服をかじってボロボロにしてみたりなど、嫉妬するといたずらが増えることがあります。
もともと猫は好奇心旺盛でいたずらしがちな生き物ではありますが、突然問題行動が増えたようであれば嫉妬が原因かもしれません。
「嫉妬してストレスをためています!もっと構って!」というアピールなので、飼い主さんは猫がいたずらする前に猫を構ってあげましょう。ただし、いたずらした直後に構うと「いたずらすれば構ってくれる」と覚えてしまうので気をつけて。
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割り込む
自分より優先されている猫や人間がいた場合、飼い主さんとの間に割り込んで「そっちじゃなくて自分を構って!」とアピールすることがあります。
中には飼い主さんが他の猫と一緒にいることに物音で気がついて、姿も見えない遠くから慌ててすっとんでくる猫も……。
先に先住猫をしっかり構っておくことである程度防ぐことができるでしょう。また、あまり猫の目の前で他の相手を構い過ぎないことも重要です。
脱毛する
甘えん坊の猫の場合、嫉妬のあまりストレスを抱えて全身を舐めまくり、ついには舐めすぎて脱毛してしまうことも……。深刻に飼い主さんの愛情に飢えているかもしれません。できるだけ構う時間を増やして、ストレスの軽減に努めましょう。
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愛情たっぷりに接してあげよう!猫が嫉妬する時の対処法
猫は嫌なことはよく覚えているので、嫉妬している場合はおやつをいっぱいあげたり、おもちゃで釣ってみたりしてもごまかされてくれません。猫の嫉妬を軽減するためには、以下のようにあくまで猫の不満を直接解消してあげることが大事です。
できるだけ猫を優先する
他に構う先ができた場合、突然飼い主さんの行動が変わり、猫が後回しになってしまうと猫は「今までは私のことが最優先だったのに、どうして?」と不満に感じるようになります。
飼い主さんはできるだけ、まず少しだけでも猫を構ってから自分の用事を済ませましょう。すると「ちゃんとあなたの存在を覚えているよ、意識しているよ」と猫にも伝わるため、猫は安心することができます。
そして用事を済ませたらまた猫に構いましょう。用事は二の次で猫が優先です、という姿勢を見せ続けることで猫は満足してくれます。
構ってあげる時間を増やす
甘えたがりの猫の場合、飼い主さんが構ってあげる時間が少なくて物足りないのかもしれません。1回の時間は短くても構わないので、何度もこまめに構ってあげるようにしましょう。
遊ぶだけでなく、なんとなくくっついてみたり、膝に載せてみたりするだけでも効果があります。猫の存在を意識した行動をとることで、猫は自分が忘れられていないことに満足し、嫉妬を見せなくなります。
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名前を先に呼ぶ(序列を守る)
多頭飼いの時、先住猫の順位を守ることはとても重要です。例えば「たま」ちゃんという名前の猫を飼っている家に、新しく「ミー」ちゃんがやってきたとします。
その場合、「たまちゃん、ミーちゃんごはんだよ~」というように、飼い主さんは必ずなにかにつけて、先住猫の名前を先に呼ばなければなりません。
もしここで「ミーちゃん、たまちゃん、ごはんだよ~」とやろうものなら、たまちゃんは自分より先に呼ばれた=優先されたミーちゃんに嫉妬してしまいます。
名前だけでなく、撫でたり抱っこしたり、おやつをあげたりする時なども、常に先住猫を優先し順番を決して崩さないようにしましょう。
また、この方法は猫同士以外にも有効です。人間の赤ちゃんが生まれて猫に構う時間が減ってしまったような場合も、猫のお世話をしてから赤ちゃんのお世話をすることで嫉妬を軽減することができます。
多頭飼いの時は別の部屋にする
多頭飼いしていてどうしても先住猫の嫉妬や攻撃が止まらない場合、最悪は部屋を分けて別々に暮らすというのもひとつの方法です。
家の中を自由に歩かせているという飼い主さんも多いのでケースバイケースではありますが、他の猫の姿を見せないようにすることで、先住猫はある程度安心することができます。
ただ、他の猫のにおいがぷんぷんしたり、構って遊んでいる声が先住猫の方まで聞こえたりしてはあまり意味がありません。生活環境を完全に分け、あたかも先住猫しか構っていないかのように振る舞うことが重要となります。
また、途中で他の猫に構っていることがバレてしまうと、「知らないところで他の猫に構っているかもしれない」と余計に嫉妬深くなってしまうこともあるので注意しましょう。
嫉妬は愛情と信頼の裏返し。猫と過ごす時間をたっぷりとろう!
嫉妬するほど猫に好いてもらえるなんて、飼い主冥利に尽きるというもの。
とはいえ、相手を攻撃するのは困りものですし、どうしても猫に邪魔されたくない場面もありますよね。猫との時間をたっぷりとり、猫が不満を感じないような平等な接し方をしましょう。
猫は割と嫌なことはよく覚えている方なので、一度嫉妬を感じてしまうとなかなか態度が戻りません。甘えん坊な猫ほど注意して接し、最初から猫が嫉妬しないような行動をとることが重要です。