猫が街中で散歩をしている光景に出くわしたことがある人もおられるかもしれません。
外で飼われている犬ならば、毎日朝と夕方散歩するのが一般的ですよね。しかし猫となると、条件が大分違ってきます。室内で飼われている猫にも散歩は必要なんでしょうか。
そもそも、猫が散歩をするということ自体が猫にとって負担になったりすることはないのかも気になりますよね。
猫によって外への興味の度合いが違う
一言で猫と言っても、それぞれに個体差がありますよね。
もちろん性格だって細かく違いがありますし、それと同じように外への興味をどのくらい持っているか……ということも猫によってそれぞれなんです。
生まれてすぐ位から飼われている場合
基本的に、ペットショップやブリーダーさん、または知り合いから譲り受けた猫は、小さい頃から外を知りません。だから「外に行きたい」という願望も特にないんです。
うちの愛猫の先生はチンチラで、ペットショップで出会ったこともあり、基本的に外に出たがることはありません。
逆に「外は知らないところだから怖い」と思っているフシもあると思います(先生の場合、1度だけ出た時に外で野犬に襲われたことがあるのでトラウマがあるかもしれませんが)。
さらに、最初は外を知らなくても成長していくうちに外に興味を持ち始め、脱走してしまった猫となるとちょっと違ってきます。
うちの愛猫のニセ蔵(キジトラ)はこのタイプですね。
やんちゃな性格な猫だったので、若い頃は脱走を何度もしてしまい……その度にヒヤヒヤさせられました。
このように1度外の味を知ってしまうと、「とにかく外に出たい」となってしまう猫もいます。外への欲求は若い猫の方がやはり強く、少しでもチャンスがあれば外に出ていってしまうようになるかもしれませんね。
元々野良猫で、途中から飼い猫になった場合
元々野良猫として外の世界で生活していた場合は、外の環境を知り尽くしていたことになります。
これもやはり猫によりますが、イエネコになって家にすっぽりと落ち着くパターンと、逆に「やっぱり外の味が忘れられない」というパターンに分かれるでしょう。
外に出ないといけないタイプになると、元々野良猫だった分その欲求も強く、よりワイルドに脱出劇を繰り広げることになります。
さらに外に出たいという欲求から、激しい夜鳴きや困ったイタズラをしてしまうかもしれません。
猫の散歩にはたくさんの危険が伴いがち
家で飼われていて完全室内飼いの猫に比べて、外に出る猫の平均寿命は5年程度短いと言われています。
この数字が示しているように、外の世界は猫にとって危険なことだらけなんです。
- 迷子になる
- 車に牽かれてしまう
- 猫同士の喧嘩による怪我
- 草についている有害物質にふれてしまう
- 猫の感染症が移ってしまう
などの恐れが常に付いて回ることになるんです。この事から、猫を家の外に出すということ自体に悪いイメージを持っている人も多いのも仕方のないことだと言えるでしょう。
猫の欲求になるべく応えてあげたいなら、事前の準備が欠かせない
猫自身の外に出たい欲求がとても強く、どうにかしてあげたいと思うなら、猫に散歩をさせてあげましょう。ただし、飼い主さんと一緒に散歩させてあげることが大前提になります。
猫だけで行かせてしまうと、すぐに迷子になってしまって帰ってこれなくなってしまい、最悪帰ってこられないことになるかもしれません。
その他にも上項目で挙げたことがあるので、飼い主さんは必ず付いて行ってあげてくださいね。
事前に済ましておきたい、予防接種とハーネスのこと
そして、その場合は事前にしっかりとした準備をすることも忘れないでおきましょう。
まず、事前に猫に予防接種を受けさせておきます。必要なのは
- 猫カリスウィルス
- 猫パルボウィルス
- 猫ヘルペスウィルス
の三種のワクチンです。
「猫白血病ウィルス」も他の猫に噛まれた時に役立つので、病院で相談してみることをオススメします。
これと共にフィラリアやノミやダニが寄ってこないように、しっかりと対策をしておきましょう。
そして、猫に首輪を付けてもスルリと抜けてしまうことがあるので、首輪ではなくて身体に取り付けるハーネスを選ぶようにしてくださいね。
準備ができたからといきなり散歩に行くのもだめですよ。まずは家の中でハーネスを付けてみて、猫に慣れさせましょう。いきなり外でハーネスをして……では、猫が外にパニックに陥ってしまうかもしれませんからね。そして家の中でハーネスが外れないこともきちんと確認しておいてください。
家の中で何度も練習してみて大丈夫なようなら、今度は家の庭先で試してみてください。何事も少しずつ慣らしていくのが大事ですよ。
実際に散歩に行くときの注意点
さて、それでは実際に散歩に行くことにしましょう。ここで注意したいのは猫は犬と違って運動不足のためではなくてストレス発散のために散歩に行きたいのだ、ということです。
これを解消してあげるために、毎日同じコースを回るようにしてあげると「いつもの道で安心」できますし、さらに「縄張りをちゃんと確認」できるので猫は満足しやすくなるでしょう。
散歩コースを決める時には、なるべく人通りが少ない所を選ぶようにしましょう。
車がよく通る通りでは猫がパニックになってしまいます。車が通らない静かな通りで、他の猫にもなるべく出会わない場所であると尚良いですね。
なるべく毎日決まった時間に行くようにしていれば猫も覚えてくれるので、時間になれば催促してくれるようになりますよ。
猫に危険な植物がないか、しっかりチェックしておく
人間にとっては特に害がなくても、身体の小さい猫にとっては食べなくても花粉を嗅いだだけでも有害になる植物がたくさんあるんです。
植物によって症状もさまざまで、食欲が落ちるレベルのものから死亡してしまうケースだってあるんです。ですから、決して「たかが植物」と考えてはいけません。
しかも、それは珍しい植物などではなく私たちの暮らしの中に息づいているものがとても多いというから驚きなんです。
普段家の中で暮らしている分には特に問題ないのですが、散歩をするとなると話は別ですよね。身近にあるもので、危険な植物を挙げましたのでしっかり頭に入れておいてください。
- アジサイ
- ユリやチューリップ
- オシロイバナ
- スイセン
- アサガオ
- スズラン
- ヒヤシンス
- ツツジ
- ポインセチア
- 月桂樹
- アネモネ
- ジャスミン
- ジンチョウゲ
どうでしょうか。猫に害のある植物は700種類もあるので、これはほんの一部分に過ぎませんが、どれもよく馴染みがあって私たちの身近にある植物ばかりですよね。
ちょっと道を歩けば生えている植物なので、猫がさりげなく近づいたりすることがないように、散歩をする時にはしっかりリードしてあげてください。
特にツツジは一般の方の庭や、街中でも街路樹として道に植えられていることも多いので、注意してくださいね。
散歩はちょっと……という場合には、庭先で自然を楽しんでもらおう
「猫は散歩をしたがっているようだけど、実際に外に出るのはちょっと……」という場合は、庭先に外が感じられるようなスペースを作ってあげるという方法もあります。
猫は外に出ることで季節の変わり目を感じたり、自然の風を感じたりすることができるのです。こういったものをたくさん感じられるように、庭にウッドデッキを作ってあげてもいいでしょう。
大切なのは、そのまま外に脱走してしまわないように飼い主さんが注意してあげることです。上まである柵を作ってあげたりすることで、なるべく事前に近い環境作りを心掛けます。
好きな時間にここでくつろいだりすることができるようになれば、猫のお気に入りのスペースになるでしょう。
猫の危険をしっかり取り除くことで、安心して散歩をすることができます
猫によって散歩が特に必要ないタイプと、どうしても外に出たくなるタイプに分かれます。
後者の場合は、飼い主さんの努力が必要になりますが猫のストレス解消を考えればそれも視野に入れてみるといいかもしれません。
猫を散歩させてあげる場合には、しっかりと事前準備をした上で楽しませてあげられたらいいですね。