最近よく鳴くようになった猫。7歳くらいの高齢猫ちゃんであれば、これは認知症のサインかもしれません。
猫にも認知症ってあるの?と疑問に思った方、認知症は人間だけではなく猫や犬にも発症します。
最近愛猫の様子がおかしいような気がする方、愛猫に人間の認知症のような症状がでている方、これから先愛猫が認知症になるかもしれないと心配な方。
猫に現れる認知症の主な症状と対策、治療法まで今回は詳しくご紹介していきます。愛猫の認知症の症状にお悩みの方も、今は愛猫が元気な方も、認知症について知っておきましょう。
この記事の目次
7歳程の高齢猫に見られはじめる猫の認知症の症状
近年、猫の認知症の症状に悩まされる飼い主様が増えてきています。認知症になる猫が増えた理由として猫の平均寿命が延びたことがあげられます。
少し前までは室内飼いの猫でも平均寿命は10年でしたが、ここ最近は平均寿命が16年まで伸びています。寿命が延びた理由はやはり医療の発達、食事の変化です。
愛猫家としてはうれしい限りですが、それと同時に認知症も増えてきています。認知症の症状が出てくるのがだいたい7歳程の高齢猫に見られ始めます。
- 粗相をするようになった
- トイレを失敗するようになった
- 意味もなくよく鳴くようになった
- ご飯をあげたのに催促する
- 家の中で迷子になる
- 飼い主への愛嬌がなくなる
- おもちゃに興味を失う
- 食欲不振
- 名前を呼んでも反応しない
- 障害物をよけることができなくなる
- よく知っている人を認識できない
- 攻撃的になる
- ぐるぐると同じところを徘徊する
例をあげだしたらキリがありませんが、この中で心当たりがあるならばもしかしたら認知症の可能性があります。
とは言ってもこの症状があるからと言って認知症と決めつけるのは危険です。もしかしたら他の重篤な病気が隠れている可能性もあります。
特に粗相をするようになった、トイレを失敗するようになった場合は結石や腎不全などの病気の症状がでている可能性もあります。高齢猫の場合は、トイレの段差まで足が上がらなくなったということもありえます。
名前を呼んでも反応しなくなった場合は、耳が聞こえにくくなっている場合もありますし、障害物を避けられない、人を認識できないという場合は目が悪くなっている可能性もあります。
自己判断はせず、気になる症状がでれば獣医さんに相談しアドバイスをもらうようにしましょう。
認知症になりやすい年齢
前述したように認知症は高齢猫に主に見られます。高齢猫とは公式では7歳以上と言われています。実際にキャットフードなどを見ても高齢猫用のご飯の横に7歳~猫用と記載されている商品をよく見ます。
7歳頃の猫ちゃんから、認知症の猫ちゃんが見られるようになります。認知症を発症している猫ちゃんは主に15歳以上ですが、7歳以上の猫ちゃんからも見られるため注意は必要です。
しかし高齢猫になったからといって必ず認知症になるというわけではなく、あくまでも認知症になる確率が高いだけです。認知症の他にも高齢猫となると体の様々な器官が弱り病気にもかかりやすくなります。
7歳を過ぎたらより一層健康に気を使ってあげるようにしましょう。
猫の認知症対策。飼い主ができることは?
猫の認知症は人間のアルツハイマー型認知症と同じ脳内病変が見られたという報告もあります。アルツハイマーは脳に特殊なたんぱく質が溜まり、神経細胞が壊れて死んでしまうことにより認知能力が低下してしまいます。
さらに脳全体が委縮していき、身体の身体機能も少しずつ失われていきます。認知症を完全に防ぐことは不可能かもしれませんが、予防することで確率を減らすことができます。認知症の原因と考えられていることを排除し愛猫が健康に暮らせるようにしてあげましょう。
加齢は止められない!早期発見が何より大事
人間でも猫でも犬でも他の動物でも加齢を止めることはできません。歳を重ねると、体の様々な器官が弱るのと同時に、脳も経年劣化をしていきます。
経年劣化していった脳は再生することはないので一度死んでしまった脳細胞は増えることはなく減る一方となります。認知症の症状が出た場合、早期発見することで進行を緩やかにすることも可能です。
7歳を過ぎたら様々な病気に気を付けるのと同時に認知症の症状が出ていないか注意してあげましょう。
ストレスに弱い猫だからこそ、環境を整えてあげる
ストレスは万病の元という言葉がありますが、認知症もストレスが関係しているといわれています。ストレスを感じると脳内の酸化物質の蓄積を促進し、認知症の症状を進行させてしまうといわれています。
ストレスは認知症だけではなく、腎不全や結石などの重篤な症状の原因になることもあります。
猫にとってストレスを感じる主な原因は、騒がしい生活環境に置かれている、部屋やトイレや食事をするところが汚い、飼い主がかまってくれない、生活環境の急な変化、引っ越し、自分以外の新たな猫が増えた、など環境の急激な変化が多いです。
元々ストレスに弱い動物である猫ちゃん、認知症のリスクを減らすためにも是非ストレスのない生活環境を心がけてください。
刺激のない生活はダメ!刺激を与えてあげましょう
毎日同じことばかりを繰り返す生活送っている人は認知症になりやすいという研究結果をご存じですか?
実はその定説は猫にも当てはまります。飼い主に遊んでもらうこともなく、何か刺激があるわけでもなく淡々と毎日が過ぎていくだけの生活を送る猫は認知症になりやすいという研究結果があります。
刺激的な日々をと言ってもそんな激しいことは求めていません。窓から外を見せてあげたり新しいおもちゃで遊んであげたり。
運動が好きな猫ちゃんなら飼い主様も一緒に動いて遊んであげたりするだけで、猫ちゃんにとっては十分刺激的な生活となります。
スキンシップが少ないのも認知症の原因になる
飼い主とのスキンシップが少ない猫ちゃんは認知症になりやすいという研究結果もあります。
毎日抱っこをしてあげたり、ブラッシングしてあげたり、撫でてあげたり、遊んであげたりするだけでも結構です。
大切な愛猫ですから毎日なんらかの方法でスキンシップはとってあげましょう。
猫の認知症の治療法
高齢猫に認知症のような症状がみられた場合、動物病院ではまず同じような症状が見られる病気ではないか調べられます。
同じような症状を伴う病気、甲状腺や腎臓などの病気ではないと判断されてから始めて認知症と診断されます。
ですが認知症は人間の認知症と同じく特効薬というものは存在しません。その猫ちゃんによって出てきた症状に合わせて対処療法が取られます。それと同時に室内で生活するうえでの見直しも必要となってきます。
- 粗相をする場合はオムツをさせる
- 障害物を極力無くしぶつからないようにする。
- 変な場所に入り込み迷子にならないように注意する
など、大切な愛猫の為にできることをしてあげましょう。
猫の認知症と間違えやすい病気
トイレを失敗する、意味もなくよく鳴くようになる、食欲不振、元気がなくなるといった症状は認知症の症状ではありますが同時に猫がかかりやすい病気の症状にも酷似しています。
言葉を話すことができない猫、認知症と間違いやすい病気の例をあげておきますので愛猫に現れているその症状は本当に認知症が原因なのかチェックしてみて下さい。
膀胱炎
膀胱に炎症がおきる病気です。排尿の回数が多い、排尿しようとするのに出ない、排尿時に大きな声で鳴くといった症状があります。血尿も伴いますので猫のトイレは交換時に注意してみるようにしましょう。
尿結石
尿道に結石が溜まる病気で、猫の中でも発症する確率が非常に高い病気です。排尿するときに大きな声で鳴いたり呻いたりする症状の他に、トイレ以外でも粗相をするようになります。
放っておくと最悪死に至る病気でもありますので、症状が出た場合は動物病院に駆け込みましょう。
腎不全
癌に続き猫の死因第2位の腎不全は、急性腎不全と慢性腎不全があります。どちらも緊急性を要し死に至ることもありますので、症状が出た場合は病院にて獣医師の治療を受ける必要があります。
主な症状は多飲多尿、下痢、便秘、嘔吐、脱水、貧血などが見られます。元気がない、食欲不振なども現れ体重の低下も見られます。
糖尿病
インスリンの影響により高血糖となり、身体の様々な器官に悪影響を及ぼす病気です。
水の多飲多尿、食欲不振の他に白内障といった症状も見られます。目が悪くなると障害物を避けられなかったり、人の見わけがつかなくなったりしますので、認知症と勘違いされることもあります。
甲状腺機能亢進症
甲状腺機能の異常により様々な症状を引き起こします。
一番の代表的な認知症と間違われやすい症状としては、不安感に伴うイライラにより攻撃的な性格になることもあります。 そのほかの症状に、動悸、不整脈(心房細動)、息切れ、性欲不振、吐き気、嘔吐、下痢を伴うこともあります。
認知症は全ての猫になる可能性がある
猫の認知症は人間と同じく完全なる予防法は存在しません。しかしストレスを軽減させることで認知症へのリスクを減らすことができます。
また愛猫が認知症になった場合でも、症状に合わせてお部屋を少しバリアフリーにしてあげるだけで、グッと過ごしやすくなります。
大切な家族である愛猫と最後まで幸せに暮らすためにも、飼い主である私たちに出きることをしてあげましょう。