猫とネズミは仲がいい、悪い?関係の歴史とネズミ駆除で働く猫たち

猫とネズミ。この組み合わせは一体何がキッカケで、いつ頃から伝えられたのでしょうか?猫のおもちゃもネズミモチーフのものが多く、アニメや漫画でも追っかけたり追いかけられたりする作品もたくさんありますね。

猫は本当に根っからのネズミ好きなのか、果たして人間の勝手な空想から生まれたものなのか、なぜ「猫とネズミ」の組み合わせが当たり前になったのか紐解いていきましょう。

猫とネズミの関係の歴史。さかのぼるは新石器時代まで

この頃、中東で農耕が広がり始め、人間は食べていくために穀物を保管するようになりました。保管を始めると大量のネズミが住み着き穀物を荒らすようになり、穀物庫の番人役として猫を配置させた事が始まりとされています。

この番人役の猫は現在のイエネコのもととされている「ヤマネコ」でした。ネズミに惹かれ自然にヤマネコが棲みついたのか、人が捕獲目的で配置したのかは定かになっていません。

ヤマネコは肉食動物。穀物は荒らさずに害獣を捕食してくれるヤマネコは人間に重宝され、どんどん繁殖、保護を繰り返し家畜化が広がって行きました。昔の人間の知恵って本当にすごいですね。

紀元前1000年頃、古代エジプトでは穀物倉庫で働く猫たちを「神聖な動物」として崇め、死後はミイラにし葬られていました。この事から、猫は生活に欠かせない立派な仕事人で、重宝されていた事がよくわかります。猫は神様、という教えが根付いているなんて猫好きにとってはすごく羨ましい時代ですね。

ちなみに猫の家畜化は遅咲き

上記の頃、犬はすでに家畜化されており大活躍していました。犬は狩猟や採取ができることから、「番犬」「猟犬」としてその能力が重宝されてきましたが、農作が始まったのはそのあと。作物の保管を始めたのも更にそのあと。ネズミの害が発生するようになってから猫は活躍するようになりました。

猫はすごいぜ!という事で世界に旅立つ

猫はこの「小害獣を駆除する能力」が認められ、中東からヨーロッパに伝わりました。当時、ローマ軍の兵隊の食料を守る事が目的だったそう。その後、中国などのアジア地域、インドに渡りました。紀元前200年頃の話です。そして、中国から日本に猫はやってきたのです。

日本は仏教の国です。仏教は猫とともに中国から海を渡ってやってきましたが、当時の経典を輸送する際にネズミにかじられないように猫も一緒に船に乗ってきたと言われています。

889年に宇多天皇が中国の王朝から黒猫をもらったと日記に書いています。宇多天皇、日記をつけるのが趣味で日課としていたようです。お茶目ですね。

船が発達した大航海時代に港から港へ、猫が世界各国にたくさん移動しました。

田舎の船着場に、現在も猫がたくさんいるのは、お魚を狙っているだけではなくこのためかもしれませんね。

こうやって「ネズミ駆除」を目的として世界各国で猫が広まっていきました。猫=ネズミ のイメージにはしっかり理由と歴史があったのです。

会いに行ける!?現在もネズミ駆除のお仕事をする猫たち

現代では農薬やネズミ駆除グッズの進歩で、猫に頼る事もすっかり少なくなってしまいましたがまだまだ活躍している立派な猫ちゃんたちもいます。

ウイスキーやビールの工場で働く猫たち

ウイスキーやビールの原料となる大麦はネズミだけでなく、鳥や虫も大好きな作物の一つです。この大切な原料を守るために古くからウイスキーキャット、ブリュワリーキャット、マウザーなどと呼ばれ、大切に飼われています。

現在も有名なウイスキーキャットとしてスコットランドにあるグレンタレッド蒸留所で働く「ピートくん」が上げられます。グレンタレッド蒸留所では代々猫を買い続けており、初期の飼い猫「タウザー」の銅像もあります。タウザーは「世界一ネズミを獲った猫」としてギネス認定されているウイスキーキャットの鏡のような猫です。

わたしの好きなハイランドパークというウイスキーの蒸留所にも代々猫がおり、このハイランドパークは猫をモチーフにした限定ラベルのウイスキーなどを度々販売しています。

ウイスキーの蒸留所などはセールスの一環で、一般客でも工場見学が出来るところがいっぱいあります。海外ではまだまだ現役でたくさんの猫が働いていおり、旅行のついでなどに見学に行ったらお仕事中の猫ちゃんの姿が見れるかもしれません。

有害生物駆除マネージャーのフェリックス

立派な肩書きを持ち、イギリスの鉄道会社に務めるフェリックス。駅のネズミを駆除し続け5年。昇進して現在も毎日駅をパトロールしています。駅構内には彼女が出入り出来る猫専用のドアが設置されたりおやつをくれる乗客もたくさんいて、利用者にとても愛されているようです。

先日亡くなった、和歌山県の「駅長 たま」のイギリス版というところでしょうか。

フランス内務省の官僚を守るエリート猫

官邸のネズミ発生に悩まされていたフランス政府は、2017年に2匹の猫を雇用しました。「雇用した」というのは正式な発表でも使われた言葉で、ユーモアたっぷりですね。

2匹の猫はノミとノエといい、ブルターニュ公国初の統治者ノミノエの名前に由来している。さまざまな罠を仕掛けたが上手く行かずに猫2匹の雇用に繋がった。世界には官邸に務めるエリート猫ちゃんがたくさんいますが、ノミとノエの写真は現在まだ公開されていません。2匹が揃った姿を是非見てみたいですね。

2016年 ローマ市内に50万匹の猫を放つ計画

ローマでは道路に捨てられたゴミなどが原因でネズミが大繁殖しています。ローマの総人口260万人に対し、ネズミの数は600万匹(2016年当時)つまり、住民の1人に対して2匹以上のネズミがいる事になります。4人家族だったら約8匹のネズミ…おそろしいです。

そこでローマ市は50万匹の猫たちを市内に一斉に放ち、ネズミを駆除してもらおうと考えたのです。おまけに猫の面倒を見てくれる市民へは補助金が出るという政策。猫を世話してお金がもらえるなんて、素敵です。

まだ検討段階で決行されていない模様ですが、街に大量の猫を離したネズミ駆除は、シカゴなどでも実施され大成功しています。シカゴでは保護猫を利用し、猫の殺処分減少に貢献したとしてとても素晴らしい結果が残りました。

日本で有名な「猫島」も、もともとは駆除目的だったそうです

愛媛県で有名な「猫島(ほんとうは戸島)」も、もともとネズミ駆除の為に大量に渡った猫が今も繁殖して今日に至っています。駆除剤と併せ、猫が来る前にアオダイジョウやイタチを島に放ちましたがアオダイジョウは獲物を食べると長期間休んでしまい、イタチは縄張り意識の強さから喧嘩で自滅し全く役に立ちませんでした。

これも面白エピソードですが、折角ネズミ駆除の為に呼んだ猫たちはぐうたらでネズミを追っかけたりは全くしなかったそうです。これは、漁業が盛んな戸島で苦労せずとも餌にありつけたから。

しかしなぜネズミはいなくなったのか? これは猫の糞尿や、顔をこすりつけるマーキングの臭い、そして猫の声などがきっかけとなり、恐ろしさを感じたネズミがどんどん逃げ出していったのではと言われています。ネズミの大群が泳ぐのを見た、という漁師さんが証言しております。

真相は謎に包まれていますが、まるでおとぎ話のようですね。

猫=ネズミの歴史は奥深い

この記事だけ読むと猫が本当に立派で、人間の生活に非常に貢献していた事がよくわかります。猫が日本に来る事になったきっかけも「ネズミ」がきっかけで切っても切れない仲だったんですね。我が家の猫たちも、働く立派な猫を見習ってほしい物です。

寝ている猫の写真
/ ぐぅ… \

狩猟本能ゼロ。寝て食べるのが日々のお仕事です。

最近の若い者はゆとり世代と先輩方は口を揃えますが、お家で大事に育てられてる現代の猫も、昔の猫ちゃんたちからすると「ゆとり世代」に見えるしれませんね。

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