猫の水飲みの選び方。ちょっとしたポイントで飲水量が激変!

ペットショップに行くと、猫用の多彩な食器がずらりと並んでいてついつい気になりますよね。最近では、より猫が飲食しやすいように工夫された商品もたくさん登場し、飼い主さんには大幅に選択肢が増えました。

実は、キャットフードを入れる器以上に気を遣ってあげたいのが水飲みの選び方です。意外なことに、水飲み1つで猫が水を飲む回数が大幅に増えることがあります。

普段、あまり水を飲まない愛猫のためにも、できるだけ使いやすい水飲みを選んであげましょう。猫の水飲みを購入する際のチェックポイントについてまとめました。

猫は水にこだわりを持つ生き物である

猫は普段、あまり水を飲まない一方で、水の新鮮さ、美味しさには非常に敏感です。古い水と新鮮な水があれば、必ず新鮮な方をかぎ分けて飲みますし、水の温度や味が気に入らなければあえて飲むのを我慢することさえあります。

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そのため、普段、飼い主さんがなにげなく置いている水飲みひとつとっても、猫に水を飲んでもらうためには非常に重要な要素です。

水自体の質が変わらなくても、器を変えるだけで猫にとっては飲みやすさが変わります。また、器によって新鮮な水をどれくらい維持できるかにも違いが出てきます。

猫はかつて祖先が砂漠で暮らしていたこともあり、犬などよりもはるかに少ない水分摂取量である程度活動できてしまう体の構造をしています。しかし、だからといって水をあまり飲まない状態が続くとやはり体に悪影響が出てきてしまいます。

水分をとらないことで尿が濃くなりすぎ、尿の成分が固まってしまう「尿路結石」や、徐々に腎臓の機能が衰えていくことによる腎不全など、猫は常に泌尿器系の病気のリスクと隣り合わせの生活を送っているのです。

実際、猫の死因のトップは腎不全といわれています。猫に健康に長生きしてもらうためには、少しでも水を多く飲ませ、腎臓に負担をかけない生活をしてもらうのがポイントです。

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少しでも水を多く飲ませるためにも、まず愛猫が気に入る水飲みを上手に選んでいきましょう。

実は、猫によって飲みやすい水飲みは違う!

ペットショップに行くと、たくさんの水飲みボウルが置いてありますよね。しかし実は、このような水飲みボウルを買っておけばどんな猫にも安心かというと、そういうわけではありません。

猫によって、飲みやすい水飲み、美味しいと感じる水には微妙に違いがあります。

もちろん、生きていくためには水が必要なので、適当な器に新鮮で綺麗な水を入れて置いておけば、猫はいつかはその水を飲んでくれるはずです。

しかし、合わない水飲みを使っていると猫が水を飲むのを我慢してしまい、飼い主さんも知らないうちに飲水量が減ってしまうことがあります。

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猫が水をよく飲む時は病気の可能性も!体のサインを見逃さないで

そこで、より愛猫に最適な水飲みを選ぶためには、愛猫の普段の様子をよく観察し、どんな水飲みがより飲みやすいのか、どんな水を好むのかをよく知っておく必要があります。

愛猫をよく観察しよう!猫の水飲みの選び方

では、水飲みの選ぶ上での、具体的なポイントをご紹介していきます。いろんな器に水を入れて設置し、これらのポイントを参考に、愛猫の好みをよく観察してみるとよいでしょう。

高さ

猫の水飲みを選ぶ上で、まず重要なのが高さです。

  • 猫が4本の足で立ったまま、水を飲むことができる高さの水飲み
  • 床に伏せた状態でも飲めるくらい、高さの低い水飲み

というように、あらゆる高さの器を試しましょう。猫の体の構造から、多くの猫が飲食しやすい高さに設計された食器も売られています。しかし、猫によって体の大きさにも個体差があるので、万能ではありません。

  • 高い位置から水を飲めるよう、足付きになった水飲みを使う
  • 水飲みではなく餌入れを、水飲みとして使ってみる
  • 人間用の小皿を流用する

など様々な方法で、最も愛猫が好む高さを調べるとよいでしょう。100円均一で適当な食器を購入し、いろいろ置いてみて、どこから猫が積極的に水を飲むか実験してみるのもおすすめです。

深さ

猫によって、「浅いところにたまった水を、舐めるように飲むのが好き」という場合もあれば、「深い器にたっぷりと入った水をごくごく飲むのが好き」という場合もあります。

また、「浅い水飲みになみなみと入ったものがいい」という場合もあれば「深い器に薄く水を張ったものがいい」という場合もあります。

水飲みの高さを調べると同時に、その水飲みに入れる水の量も調整してみるとよいでしょう。

安定感

猫は激しく床を走り回ることもあるので、たまに水飲みにぶつかって、水をこぼしてしまうこともあります。そのため、軽い器は水飲みには向きません。

あくまで飼い主さん側の使い勝手の話になりますが、安定感のある水飲みの方が何かとよいでしょう。水飲みそのものを陶器製にするなどして重くするのがおすすめです。

あるいは、多くの水飲みは餌入れに比べると大きくできているので、水をたっぷり入れればある程度の重さができ、安定感を出すことができます。

ひげが当たらないこと

猫によっては、水を飲む時に、水飲みのふちなどにひげが当たるのを嫌がる場合もあります。ひげは猫にとって大事な器官なので、実はとても敏感です。猫用の食器の中には、ひげが当たってしまうサイズのものも売られています。

愛猫が気にしているようなら、できるだけ口が広い大きめの水飲みに変えてあげた方がよいでしょう。もしくは、器の中に入れる水の量を調整すれば、ひげが当たらない角度にすることができます。

材質

水飲みの材質にもこだわるとよいでしょう。猫の水飲みの代表的な材質としては、ステンレスや陶器、プラスチック、あるいはガラスなどがあります。

実は、この中で最もやめた方がよいののがプラスチックです。プラスチック製は傷がつくと雑菌が繁殖する原因になります。また、においがつきやすく、落ちません。

長く使うのであれば傷がつきにくく、割れることのないステンレスがおすすめです。しかし、高さや深さを検討した結果、ステンレスの水飲みでは合わないとなった場合は陶器製がよいでしょう。

また、中に入れた水をまろやかにする「ヘルスウォーターボウル」のような商品もあるので、このような水飲みを使うのもおすすめです。

いずれにしろ、陶器やガラスは、少し傷がついただけでも全体に影響して割れやすくなることがあるので、取り扱いには十分気をつけましょう。

花瓶や水槽、バケツもアリ!?

異色ではありますが、実は猫の水飲みに、日常生活で使っている様々なものを流用してしまうという方法があります。例えば猫の中には、

  • 花瓶の水が大好きで、切り花が入っている花瓶の水をわざわざ探し当てて飲む
  • 水槽の中に首を突っ込み、飲みにくい体勢でも無理やり水を飲む
  • 大きなバケツにたっぷりの水を注いておくと、そこから水を飲む

というような、面白いことをする猫もいます。

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このような猫の場合には、あえて水飲み以外に猫が好む花瓶や水槽、バケツなどを用意してあげるという方法もあります。

ただし、基本的には飲みにくい場所から水を飲むことになるので、気が乗らない時でも普通に水を飲めるよう、ごく一般的な猫の水飲みも置いてあげるべきです。

また、変なところから水を飲んでもらう癖をつけてしまうと、いたずらで困ったり、病気で体が動けない時に水を飲みにくくなったりする心配もあります。ケースバイケースで、いつもの水飲みの「+α」として検討してみるのがよいでしょう。

ちなみに、お風呂場だけは猫がおぼれる可能性があるので、お風呂場の水を飲む癖はつけさせないようにした方が安心です。

いつでも新鮮な水が飲める!給水器の選び方

もし、よりたくさんの水を猫に飲んでもらいたいと考えるなら、給水器の利用もおすすめです。様々な給水器が市販されており、最近では価格もずいぶん下がってきて入手が容易になっています。

水がたまるタイプ、水が流れるタイプ

給水器には、

  • 電源つきのポンプによって水が吹き出し、常に循環しているタイプ
  • 電源不要で、常に一定水位の水がたまっており、水が減るとその分タンクから補給されるタイプ

の2種類があります。流れている水か、たまり水か、愛猫の好みや用途で選ぶとよいでしょう。一般的には、循環している水の方が空気を含み、冷たさが維持されるので美味しい水になります。

しかし、電動ではないタイプの給水器にも、モーター音が一切せず維持費がかからないというメリットがあります。また、たまり水が好きな猫は、水が流れているとかえって興味を示さないことがあります。

音が平気なら電動タイプを、少しでも音がすると怖くて近づかないという猫には電源不要のタンクタイプの給水器を置いてみるとよいでしょう。

上から勢いよく落ちるタイプ、静かに流れてくるタイプ

電動式の給水器には、

  • 蛇口や噴水の水のように「じょぼじょぼ……」と大きな音を立てて水が流れるタイプ
  • ほとんど音を立てず、給水器の表面を水が伝って静かに流れていくタイプ

があります。水の音に興味を引かれて近づいてくるような、好奇心旺盛な猫には水音が大きいタイプの方がよいでしょう。一方、臆病な猫や、穏やかであまり自分から興味を持って近づいてこない猫には静かな方がおすすめです。

たまる部分が広いか、狭いか

給水器の中には水が吹き出す部分と、その水がたまる部分があります。例えば蛇口から水を飲むのが好きな猫の場合は、たまる部分からはあまり水を飲みたがらないかもしれません。

一方で、じょぼじょぼと流れ落ちる水に興味がない猫の場合は、たまる部分が広い方が、水を飲みやすいと感じるでしょう。

ここが猫の好みから外れてしまうと、「上から流れてくる水を飲んでほしいのに、下の狭いところから水を飲んでばかりで使いにくそう……」というような事態にもなりますので注意しましょう。

たまる部分に高さの変化があるか

給水器の中には、ポンプから吹き出した水がたまる部分に、深さを調節するための凹凸や傾斜がついていることがあります。浅いところから飲むのが好きか、深いところから飲むのが好きかは猫によって異なります。

そのため、このように段差がある給水器を使うとどんな猫でも比較的飲みやすいでしょう。

▼猫の給水器については、こちらも参考にしてみてください
猫の自動給水器で悩んだら!メリットとデメリット、おすすめ商品

猫の水飲みを置くときの注意点

猫に積極的に水を飲んでもらいたいと考えるなら、どんな水飲みを使うかだけでなく、水飲みを置く場所にも注意しましょう。水飲みをどこに置くかによって、新鮮な水をどのくらい維持できるかに違いが出てきます。

いつでも新鮮で安全な水を飲んでもらうためにも、以下のようなことに気をつけてみて下さい。

複数の場所に置こう

水飲みは、人通りが少なく猫が落ち着いて飲める位置を狙って、必ず複数の場所に置きましょう。

猫にとって水は唯一の飲み物であり、命と健康を維持する重要な要素です。水飲みがたった1つしかないと、いざその水にごみが入ったり、暴れて水をこぼしてしまったりした時に水を飲むことができません。

保険として、必ず最低でも2~3カ所は水飲みを置いておきましょう。

また、このとき「3カ所あるのに、何故か1か所からしか水を飲まない」というような場合は、よほど特定の水飲みあるいは特定の場所が気に入っているか、あるいはほかの場所の水飲みに問題がある可能性があります。

同じ場所でも、器を取り替えた時飲むかどうかを確認するとよいでしょう。また、もし気に入った場所があるようであれば、その場所にいつも水飲みを設置してあげましょう。

トイレの近くはやめよう

猫は排泄する場所の近くでは、飲食をしたがりません。そのため、トイレの近くに水飲みを置くのはやめましょう。

また、トイレの近くだと砂かけをした時に水飲みをひっかいて水をこぼしてしまう可能性もあります。また、トイレ砂が水の中に混入する可能性もあります。トイレと食事の場所は別々にした方が安心です。

もしくは、トイレの近く以外にもきちんといくつか水飲みを置いてあげましょう。

日当たりに注意!

水飲みは直射日光の当たらない場所に置きましょう。特に夏場は日光で水が温まってしまい、熱湯並になることがあります。また、中途半端に温かくなると雑菌が繁殖する適温となってしまいます。

いつでも常温を保てる、やや日陰の場所に置きましょう。

頻繁に水飲みの水は取り替えよう

水飲みから1回でも水を飲めば、唾液から水の中に雑菌が移ってしまいます。時間が経つにつれ雑菌が繁殖していきますので、頻繁に、できれば 1日に3~4回は水飲みの水を取り替えてあげましょう。

仕事で家にいないという場合でも、仕事に出かける前と帰ってきた後、最低でも1日2回は取り替えるのが基本です。

まれに、1日1回しか取り替えないという人がいますが、1回だけだとゴミが入りやすく、見た目にはわからなくとも雑菌が繁殖しています。

水飲みを複数の場所に設置し、さらにその水を頻繁に取り替えてこそ、水の味に敏感な猫が飲みやすい水を維持できます。面倒でも必要なお世話なので頑張りましょう。

また、猫の中には「水道水から出し立ての水はカルキ臭がして好きではない」というケースもあります。

▼猫に水道水をあげることについては、こちらの記事をご覧ください
愛猫の飲み水、水道水でも本当に大丈夫?水道水の安全性について

頻繁に取り替えることでかえって飲まなくなってしまうという場合は、後述するような方法で水そのものの味に気をつかってあげる必要があります。

中に入れる水にもこだわろう

水飲みだけではなく、中に入れる水にもこだわりましょう。猫は新鮮な水を好みますから、水が古くなると飲んでくれません。猫はただでさえ自分からあまり水を飲まないので、できるだけ猫が好むような美味しい水を用意してあげましょう。

多くの場合は水道水を使っているかと思います。しかし、実は水道水は地域によって味にかなりの違いがありますので、注意してあげたいところです。浄水器を通すだけで、味はかなり改善されます。

また、それでもカルキ臭が気になるのであれば、

  • いったん沸かしてから冷ました水
  • ミネラルウォーター(軟水のもの。硬水は尿路結石など病気の原因になるのでNG)
  • 活性炭フィルターを通して濾過した水
  • ペット専用飲料水(ペットショップで販売)

などの利用もおすすめです。いろいろ置いてみると、「特定の水しか飲まない」あるいは「特定の水だけ、出された瞬間から飲みはじめる」という現象もよく見られます。飼い主さんとしても非常に興味深い結果が得られるのではないでしょうか。

▼あまり水を飲んでくれない猫に対する工夫についてはこちらをどうぞ
猫が水を飲まなくなった時の原因と対策。猫が飲みたくなる水とは?

水飲みもきちんと洗おう

水しか入れていない以上、水飲みを洗うのは、さっとでよいと考える飼い主さんもいるかもしれません。しかし、実際には猫が直接口をつけて飲むものなので、どうしても雑菌が繁殖します。

「適当に水を捨て、さっとゆすいで新たな水を入れる」というような形を続けていると、次第に水垢やぬめりが発生してしまいます。毎回でなくても、せめて1日に1度はしっかりと水飲みを洗いましょう。

洗剤をつける必要は一切ありませんが、毎回水飲みの表面を、人間の食器と同じように、きちんとこすって洗うことが大切です。ほんのひと手間かけることで、猫にいつでもおいしく安全な水を飲んでもらうことができます。

たかが水飲み、されど水飲み。猫に合わせて水飲みを選ぼう!

「今ある水飲みでも、水を飲んでいるから大丈夫」と考える飼い主さんもいるかもしれません。しかし、生きていくのに水が必要である以上、多少を好みでない器からも猫は仕方なく水を飲みます。

もし猫が気に入らない器を使い続けた場合、最低限しか水分を摂ってくれないため、病気の原因になることもあります。

通常、猫は水しか飲むことがありません。唯一の飲み物だからこそ、より猫が使いやすい水飲み、より美味しい水を用意して、猫が水を飲みやすい環境を整えてあげましょう。

水飲み1つで猫の飲水量は激変します。ご紹介したようなポイントを参考に様々な水飲みを試して、愛猫が最も好む器を見つけてあげて下さい。

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