納得のいく猫の看取りをするには。最期のときのケア、お別れの方法

ペットを飼えば、いつかは必ずお別れの時がやってきます。ペットが死ぬ時の様子を目にするのは非常に辛いですが、なるべく猫が安らかな最期を迎えられるよう、最善は尽くしたいです。

また、看取りの準備が必要になった時、その延長線上にはお別れがあるため、万が一必要となる葬儀や供養のことも考えておかなければなりません。

猫の看取りから葬儀、供養までのことをまとめました。猫を看取るために必要なあれこれを知っておきましょう。

終末期からお別れの瞬間まで…猫を看取るということ

死期の近い者を看病し、最期に立ち会うことを看取り(みとり)と言います。

必ずしも猫が死ぬときに立ち会えるわけではありませんが、なるべく安らかに最期がむかえられるよう、できるだけのことはしてあげたいですね。

猫が若くて元気なうちは、いずれ来るお別れの日のことを考えて過ごすことはあまりありません。

しかし猫が年齢を重ねていき、病気や体の衰えを伴うようになると、終末期(死が近い時期)やお別れの日が来るという実感がわくようになってきます。

猫は若い時にはあまり病気にかかりませんが、7歳くらいからはがん、腎臓や泌尿器の病気にかかる子が増えてきます。

猫に持病ができると、病状の一進一退を繰り返しながら長期的な治療が続き、加齢と共に病気が少しずつ進行して衰弱していくことが多くなります。

猫の死因で多いのは、腎不全、がんです。病気が進行したり11歳以上の高齢期に差し掛かったら、家庭での介護ケア、終末期の過ごし方、延命治療を受けさせるかどうかについて考えておきましょう。

看取りを希望する飼い主さんは多いです。しかし、通常の看病とは様子が違う未知の体験には、不安や怖さも伴います。そこで、いざという時に冷静な対処ができるよう、あらかじめ看取りについてイメージしておくことをおすすめします。

死が近づいている時のサインに気づいて

末期のがん、腎不全、尿毒症などで治療を受けていて容体が良くない猫は、獣医師から余命宣告を受けることがあります。また高齢の猫は、老衰や認知症によって機能の低下や衰弱が著しくなり、危篤に陥ることもあります。

闘病中の猫、高齢の猫に次のような症状がみられるようになったら、終末期のサインが出ている可能性があります。注意深く体調を観察しましょう。

終末期の猫にみられる症状
  • 食欲がなくなる。
  • じっとしていることが増える。
  • 歩く時にふらつく。
  • 動く時に息が荒くなる。
  • やせ細っていく。
  • 口臭やよだれが臭くなる。
  • 夜鳴きする、徘徊するなど異常な行動がみられる。
  • 飼い主にやたらと甘えてくる。
  • 普段と違う所で隠れるように過ごすようになる。

食べ物や水を受け付けずほとんど動かない状態が何日も続くと、猫はそう長くは生きられません。

このような状態が毎日続いたら、飼い主さんはそろそろ覚悟を決め、看取りの準備をしておいたほうがよさそうです。

死が近い猫の症状
  • 食べ物や水を受け付けなくなる。
  • ほとんど動かなくなる。
  • 呼びかけに反応しなくなる。
  • 心拍数が異様に早い、またはいつもよりゆっくり。
  • 体温が低下する。
  • 顔つきが変わる。
  • よだれを垂れ流す。
  • 失禁する。尿や便が出ない。
  • 色の濃い臭い尿が出る。

今まで動けなかったのに最後に力を振りしぼって急に起き上がる、急にたくさん鳴くようになる、など、まるで死期を悟ったかのような行動をする猫もいます。

猫の容体が悪化した時、飼い主はどう対処すればよいか

終末期は、数日から数か月続きます。場合によっては、入院、家庭での輸液、ペット用酸素ハウスのレンタルなどで延命治療をして持ち越すこともできます。

猫の容体が悪化したら、病院に連れて行ってできる限りの治療をしてもらうのか、それとも猫に不要なストレスを与えないよう、おうちで飼い主さんや家族に見守られながら最期を迎えてもらうのか飼い主さんが決断します。

後悔が残りかねない決断を強いられますが、どちらが猫や飼い主さんにとってベストかよく考え、納得できるケアをしたいです。獣医師に連絡して相談したうえで、選択してもよいでしょう。

家庭で看取りのためのケアをする時は、こまめに猫の様子を観察し、少しでも楽に過ごせるようにしてあげます。

看取りケアで猫にできること
  • 体温・呼吸・心拍数を確認する
  • 室温を快適に保つ
  • 食べやすくして給餌してやる
  • 水を飲ませてやる
  • 優しく声をかける
  • 体を撫でてやる

猫の最期に立ち会う

亡くなる時の様子は猫によってさまざまなのですが、大きく痙攣する、呼吸を荒げる、最後にひと鳴きする、といった現象の直後に息を引き取ることが多いです。

眠るように穏やかに息を引き取る猫もいますし、嘔吐や発作を伴って苦しそうに亡くなる猫もいます。

猫の様子は眠っているように見えますが、亡くなって2~3時間で死後硬直が始まるので、はっきり死を実感することができます。

闘病中の猫だと、ずっと苦しそうだったのが亡くなってからは安らかな空気が漂うこともあります。寂しいけど「よく頑張ったね。」と声をかけてあげたいですね。

看取ることができなかったとしても

しかし、残念ながら猫の最期に立ち会えるとは限りません。実際に、ペットの死に目に会える飼い主さんは、半分くらいしかいないのだそうです。

動物は夜半に容体が悪化することが多く、朝起きたら亡くなっていたということも少なくありません。入院先で亡くなる猫もいますし、仕事中、看病していて仮眠をとっている間にたまたま亡くなる猫もいます。

愛猫の最期に立ち会えなかった飼い主さんは「どうしてあの時そばにいてあげられなかったんだろう」「あの時こうしていれば」と、強く後悔して自分を責めてしまうことが多くなります。

特に、長生きした猫の飼い主さん、身を削る思いで猫の看病に尽くしていた飼い主さんほど、その気持ちは強くなり、後を引きずりがちです。

また、納得のいく看取りのできなかった後悔が飼い主さんの心を苦しめ、それがペットロス(ペットを失ったショックから起こる心身の不調のこと)の原因になってしまうこともあります。

ですが、終末期の猫に毎日24時間つきっきりでケアすること、入院先でずっと付き添ってあげることはほぼ不可能です。飼い主さんが見ていない所で猫が亡くなるのはやむを得ないことで、飼い主さんの判断が間違っているわけではありません。

それにペットの中には、最期のお別れを言いたいので飼い主の目の前で亡くなる子もいれば、愛しい人たちに迷惑をかけたり悲しんだりされたくないので自分で選んで死ぬ瞬間を隠す子もいるのだそうです。

天国の猫は、自分が亡くなったことが原因で苦しむ飼い主を見て、喜ぶはずはありません。猫は、生前にたくさん心配してもらい愛してもらったことを感謝しています。だから飼い主さんも今は心の中にいる猫のために、もう一度元気を出しましょう。

これは月並みな声かけです。しかし、とても大切なことだと思います。

ペットロスについてはペットロスを克服する方法。無理に乗り越えず、癒されていくためにをご覧ください。

猫が亡くなったらすぐ体を清めて安置しましょう

亡くなった直後の猫は、ただ眠っているだけに見えるくらい生前の美しさが残っていますが、実際には亡くなった時点から変化が始まっています。

1.排泄物や体液が漏れる
亡くなった後は筋肉が弛緩して尿や便が漏れやすくなります。また、血液やリンパ液などの体液が体外へ漏れ出すこともあります。
2.死後硬直が起こる
亡くなってから2~3時間経つと「死後硬直」という現象が始まり、筋肉や関節がこわばります。

硬直は12~18時間後にピークになり、徐々に緩んでいきます。

3.腐敗が始まる
体の機能が停止することで組織を新鮮に保つことができなくなり、亡くなった時点から体の中で腐敗が始まります。

私の経験では、夏にペットをなくした時、死後1時間で異臭を感じました。腐敗が始まれば飼い主も残念な思いをします。早く死後処置を行ないましょう。

死体の安置に必要なこと
  1. 死後処置をする
  2. 棺または代用の箱に猫を入れて安置する
  3. 死体が傷まないよう冷却する

葬儀を行うまで自宅の部屋で猫を安置するので、猫が亡くなったらすぐ適切な死後処置を行い、衛生的に安置しましょう。

猫が亡くなったら①死後処置をする

猫の体を、天国へ送るにふさわしいきれいな状態にしてあげます。

用意するもの
  • ビニールシート
  • タオル(ペット用ウェットティッシュ)
  • 脱脂綿
  • ブラシ
  • ハサミ(毛を形見にしたい場合)
  • ガーゼ(傷口のある場合)

まず、濡らしたタオルかペット用ウェットティッシュで全身をきれいに拭きます。

排泄器官からは尿や便、鼻、口からは体液が出ている時は、出なくなるまで拭き取ります。肛門、口は小さい脱脂綿を詰めておくとよいでしょう。

もし体に傷のある場合は、傷口が痛みやすいのできれいに拭いてガーゼをあてておきます。

毛並みはブラシできれいに整えます。猫も喜ぶことでしょう。死後硬直が始まるまでに、猫がリラックスして眠っているような体勢に体の向きを調整します。

まぶたは閉じさせ、体や脚が伸びている場合は棺に入る体勢になるよう、背中を少し丸めたり脚を少し折り曲げたりしておきます。

弔うまでに猫の毛を切り取り、形見に取っておくのもおすすめです。しっぽや脇の下など、毛が豊かでカットしても目立たない場所を選びましょう。

猫が亡くなったら②棺または代用の箱に猫を入れて安置する

猫は棺または代用の箱に入れて部屋に安置し、時間の許す限りとはなりますが、最後の時間を一緒に過ごします。

用意するもの
  • 段ボール箱・バスケット(またはペット用の棺)
  • ペットシーツ・新聞紙
  • バスタオルまたはタオル2~3枚
  • 冷却材・ドライアイス

猫の体を清めたら、猫を棺(ひつぎ)に入れます。

棺は火葬する場合に一緒に燃やすものです。ペット用の棺は通販やペット葬儀業者から購入できますが、ペットが亡くなってから手配するのが間に合わない場合は、棺を用意しなくても構いません。

棺の代用として段ボール箱を用意すれば十分です。木製の箱、バスケットでも代用できます。金属など不燃性の物を使ってはいけないことに注意しなければなりません。

箱は底にペットシーツや新聞紙を敷き、その上に保冷剤を置きます。頭部と腹部は水分を多く含み傷みやすいので、保冷剤をしっかりあてて冷却します。

保冷材の上にタオルを敷いて、その上に猫を寝かせます。タオルは、保冷剤で猫の体が濡れるのを防ぎ、死体からにじみ出た体液を吸い取る役割があります。猫の体をシーツやタオルで覆うと保冷効果が高まります。

猫が亡くなったら③死体が傷まないよう冷却する

猫の死後処理をしたら、部屋に棺を安置します。

死体をなるべくきれいに保つため、猫はしっかりと冷却し、涼しい部屋に安置します。冬は暖房を入れず、暑い季節はエアコンや除湿器を使って室温と湿度を低く保ちます。

保冷剤をこまめに取り換えながらペットの体を冷却した場合、夏場で2日、冬場で4日ほどの安置が可能になります。

ドライアイスの入手が可能なら、保冷剤よりも低温を保つことができ、夏場で1週間、冬場で10日ほどの保管が可能になります。ただしドライアイスは、専門店からまとまった量での取り寄せが必要になり、一般家庭での入手はやや困難です。

もしも家庭で猫が安置できない場合は、ペット専用の葬儀社に手配をお願いする、という選択肢もあります。

最後の時間をゆっくり過ごそう

猫を安置している間には、葬儀の手配を済ませ、時間の許す限りとなりますが飼い主や家族は猫と最後の時間をゆっくり過ごします。

棺の中は、花、猫の好物、思い出の品などを入れてあげます。金属、燃えにくいプラスチックやゴム製の物は入れません。

簡単な祭壇を設置して「お通夜(つや)」を行うのもよいでしょう。お通夜と言ってもペットの場合は、台の上にローソク、花、水、好物、線香をお供えするだけの簡単なもので十分に供養することができます。

少なくとも一晩は安置してあげたいです。寂しいけど、生前の楽しかった思い出を振り返りながら、猫に改めて「ありがとう」の感謝の気持ちを伝えましょう。

飼い主の気持ちが安らぐ形式で猫の葬儀・供養をしましょう

猫が亡くなったら、どのような形で弔うのか決めて、なるべく早く葬儀の手配を行わなければなりません。

ペットを弔う方法は次の3つです。

  • 火葬する
  • 一般廃棄物として自治体で処理してもらう
  • 土葬する

ペットの葬儀・供養は人の葬式のようなしきたりがないので、特に宗教や形式にこだわる必要はありません。飼い主さんの都合や見送りたい形にあわせて選びます。

ペットの弔い方:火葬する

最も一般的な方法が火葬です。火葬は、動物霊園事業(民間のペット葬儀社、自治体が指定する斎場など)が行っています。

民間のペット葬儀社やペット霊園に葬儀を依頼すると、火葬のほかニーズに応じて納骨や墓地の管理をしてもらうこともできます。

葬儀のプランには、個別に火葬をしてお骨を持ち帰る「個別葬」と、ほかの動物と一緒に火葬と納骨をしてもらう「合同葬」があります。また、人のお葬式と同じ流れで火葬・収骨・セレモニーをする「立合葬」も増えてきています。

料金は、動物が重くなるほど加算されます。また、サービスがきめ細かくなる分、合同葬<個別葬<立会葬の順で高額になります。予算や供養の仕方によってプランを選ぶとよいでしょう。

自治体によっては、斎場でペットの火葬をしてくれる所があります。民間の業者よりも料金が安く、お住いの自治体を利用すると割引料金が適用されるなどのメリットがありますが、華美なセレモニーはありません。

自治体の場合、個別葬や収骨ができる所と合同葬のみ行っている所があるなど、形式が統一されていないので、お住まいの地域の斎場に問い合わせて確認してみましょう。

ペットの弔い方:一般廃棄物として自治体に処分してもらう

ペットが亡くなったら「一般廃棄物=ごみ」として処理するという方法もあります。

ペットがごみ扱いなんてびっくりしてしまいますが、ペットの死体は自治体に一般廃棄物として処分してもらうこともできますし、ペットをごみとして処分することに抵抗のある人は、動物霊園事業で火葬してもらうことができるようになっています。

一般廃棄物として処分したい場合は、自治体の窓口に連絡し、有料で死体を引き取ってもらいます。ペットの死体は焼却された後、灰として廃棄されます。もちろん返骨や供養はありません。

ペットの弔い方:土葬

自己所有地があり、そこにペットの死体を埋めても差し支えない人は土葬をすることもできます。

土に埋められた動物は少しずつ分解されて土に還っていきます。環境にやさしいナチュラルな弔い方ともいえますね。

ただし、自己所有地以外の場所に土葬してはいけません。地域の住民に迷惑がかかりますし、そもそも動物の死体は一般廃棄物なので「ごみの違法投棄」とみなされ、法律違反になってしまうためです。

ペットの供養について

供養はさまざまな方法があります。お骨を引き取って手元で供養するのか、ペット用の納骨堂や霊園にお骨を収めて供養・管理するのか、よく考えて葬儀の手配をしましょう。

供養の仕方が間違っていて「たたられる」「猫が成仏できない」ということはないので、飼い主さんの気持ちが安らぐ方法で供養するのが良いと思います。

「お骨を手元に置いておきたい」という理由で個別葬を選ぶ人、「ほかの猫達と一緒のほうが寂しくないかも」「手元にお骨があると悲しくなるから」といった理由で共同墓地を選ぶ人など、供養の選び方も人それぞれです。

どのような形であれ、飼い主さんの気持ちが癒されると天国の猫も一番喜ぶと思います。人の場合も同じことが言えますが、大切なのは葬儀の豪華さではなく送る人の「想い」です。

また、ペットロスにおちいる飼い主さんが少なくありません。ペットロスは時間の経過で自然に解消されるものですが、中にはなかなか立ち直れず、長く心身の調子を崩してしまう人もいると言われます。

供養を通して心の中にいるペットとつながることができれば、ペットを失った喪失感を減らしペットロスを防ぐこともできるようになるはずです。

強い寂しさを感じている人は、ペットの形見である毛、骨などをアクセサリーに加工するサービスを利用し、いつも身につけるようにするのも良いかもしれません。

業者や自治体によって、火葬、供養の仕方、費用が異なるため、急に葬儀が必要になった時に慌てて決断し、あとで後悔することがあるかもしれません。

できれば、ペットの葬儀や供養に関しては予算や要望ぐらいは前もって大まかに決めておくこともおすすめします。大事なイベントなので、人の「終活」みたいに生前から考えておいても、特に縁起の悪いことでもないと思います。

最期の瞬間まで猫にしっかり向き合ってあげましょう

記事内には目にしたくない表現があったかもしれません。しかし、いざその時が来てみると、愛するペットに「怖い」「不快」という気持ちは起こらないものだと思います。私もそうでした。

死は一生の中で最も重要なイベントです。猫が幸せな一生だったと思えるよう、おうちに迎えた時から最後の瞬間まで、しっかり猫に向き合ってあげてくださいね。

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