猫が耳を痒がるときに考えられる病気とその他の原因。NG対処法も!

どんなポーズを取っていても猫は可愛いものです。たとえばお座りして、小首をちょっとかしげて、尻尾はだらっと伸ばしたままで、後ろ足だけ器用に持ち上げて耳のうしろをケリケリ&カキカキしている様子なんてすごくすごく猫らしくてぐっと来ますよね。

カキカキしているほうの耳をかるく伏せて、目もウインクしているみたいにそちらだけ細めたりして、なんとも気持ちよさそうにかいていますが、あれ?いつまでかいてるの?ちょっと掻きすぎじゃない?

いくら可愛いしぐさとはいえ、掻きすぎる時は要注意。猫が耳を痒がる、痒がりすぎるのは病気やトラブルの兆候かもしれません。

猫が耳を痒がる主な原因

猫が耳を痒がる時に考えられる原因には、

  • 病気
  • 異物が入った
  • アレルギー
  • ストレス

があります。もちろん単に「ちょっと耳が痒いよ」という時はだれにでもありますし、思う存分に掻いてもらって構わないのですが、飼い主さんの目から見て異常なほどに、

  • 時には血が出るほど強く掻きむしる
  • 何かの角にひたすら頭(耳の付け根)をこすり付ける
  • 耳や頭を激しく振る

これらが頻繁に起こるようでしたら注意が必要です。詳しくご説明していきます。

猫が耳を痒がる代表的な病気

猫が耳を痒がるときに考えられる主な病気は四つあります。

耳血腫

耳をかいたりこすりつけすぎて血管が破れた、喧嘩などで受けた傷が炎症を起こした、外耳炎を患っているところへ頭をふりすぎた、免疫の異常、などの原因で耳介に血液や漿液が溜まってぱんぱんに腫れた状態をいいます。

そのまま放置すると耳介の軟骨が変形し、腫れが治まったとしても耳はくしゃっとひしゃげたまま形が戻らなくなります。湿気や熱が篭って雑菌が繁殖しやすくなり、炎症を起こしやすくなる悪循環に陥りますので、早急な治療が必要です。

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耳ダニ症(耳疥癬)

ミミヒゼンダニによる急性、あるいは慢性の外耳炎で、黒褐色の乾いた大量の耳垢(ダニの死骸や糞)がでる事が特徴的です。このダニは0.3mm0.5mmのサイズの寄生虫で、自然界のどこにでもいます。

犬や猫の耳垢や血を栄養に繁殖するため、ひとたび耳の中に巣食ったらそこでどんどん卵を産んで増えていきます。この時に痒みを伴うため、寄生された猫は激しく耳を掻き、それによって卵が飛び散ってしまうので、多頭飼いの場合は他の猫にも感染していきます。

ダニは卵から3日ほどで孵り、三週間で繁殖可能な成虫になり、その後二ヶ月ほど生きます。殺ダニ剤を用いての治療となりますが、この薬剤は卵には効かないため、全世代のダニを根絶するためには時間と根気が必要です。

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外耳炎

耳ダニや異物、外傷で外耳道に負った傷が起こす炎症全般を指します。

多い事例としてはシャンプーなどで、普通にしていたら水が入らないはずの奥まで水が入り込んで湿ったままになり、黄色ブドウ球菌や真菌の温床となるケースですので、愛猫のお風呂タイムには注意したいところです。

赤く腫れ、甘酸っぱい悪臭を放つ粘りのあるミミダレを伴い、激しく痒がることが特徴的です。

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中耳炎

細菌感染や腫瘍や外耳炎の悪化などにより起こる中耳域での炎症であり、痒みよりも痛みが強く現れます。痒がったあと、頭を傾けて回転するように歩くようなそぶりが見えたら炎症によって平衡感覚を失っている可能性があります。

痒がるのみならず、頭を触られるのを嫌がる、口を開けるのを嫌がるなどの症状も見られ、一旦進行してしまうと完治しても後遺症が残ることがあります。

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ほかにも考えられる病気

上記四つの病気以外にも、例えば扁平上皮癌の初期も痒みによって顕れます。紫外線が発症要因となるため、被毛の色素の薄い子の場合は可能性を頭の片隅に置いておいても良いでしょう。

また、痒がる耳に粟粒状の赤い発疹が見られたらカビの一種による皮膚糸状菌症が考えられます。こちらは人間にも感染しますので更なる注意が必要です。

病気以外に考えられる原因

目立った腫れや外傷、炎症が見受けられない場合に考えられる原因を挙げました。

異物が入った

猫の耳介(耳たぶ)の内側には、皆様ご存知のとおりモフモフに毛が生えており、猫耳の可愛さを演出しつつも内側に余計なものが入らないようにガードしています。

しかし、猫が茂みや草むらを潜り抜ける際に小さな虫や草の実などの異物が侵入してしまったとき、このモフモフのために異物が外に出にくくなってしまうことがあるんです。

そうなると猫は耳の中の違和感のために、頭を強くふったり耳をこすりつけたりと痒がるそぶりをみせます。

この時、たとえ異物が見えていても、ピンセットや綿棒で取り出そうとするのは禁物。大抵は奥へと押し込む結果となり、深追いすれば内耳や鼓膜を傷つけかねません。手を付けず、獣医さんで取ってもらいましょう。

ちなみに私も室内にいて耳に虫が入ったことがありますが、耳の中で虫が動き回る不快感と掻痒感は言いようもなく、この経験からも「室内飼い猫にもありえるし、相当ストレスなので早急に対処して頂きたい」ということを飼い主さんに強くお伝えしたい所存です。

アレルギー

アトピー性、あるいはアレルギー性の要因を持つ猫がアレルゲンに触れることで皮膚炎を起こして痒がることがあります。アレルゲンは特定の食品、ハウスダスト、花粉など多岐に渡りますので痒みの発動条件から原因を探る必要が出てきます。

例えば蚊やノミに刺されて痒い、というのもそれらの虫の唾液に対するアレルギー反応です。ただし、ノミの場合は痒みを伴うアレルギーを起こさない固体もいるため、痒がらないまま増殖してしまうこともあるのでそれはそれで目視によるチェックが重要です。

▼猫のアレルギー症状については、こちらをご覧ください
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ストレス

猫は心因的な理由から特定の部位をかきつづけることがあります。人間でもストレスがたまると自律神経の乱れから蕁麻疹が出たりしますよね。

痒がるので獣医さんへ連れて行ったのに病気も異物もアレルギーも見あたらない、そんなときは最近猫を不安にさせるような「何か」が無かったか、思い起こしてみて下さい。

▼猫がストレスによって痒みが出たりはげたりすることがあるので、日頃と変わったことがないかよく考えてみましょう
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汚れている

埃やシャンプーのすすぎ不足で汚れていたり、雨続きの湿気で耳がすっきりしない、そんな時にも耳を気にする、痒がるそぶりを見せます。

耳を清潔に保つに越したことはありませんが、綿棒を使っての耳掃除は逆に猫の耳を傷つけてしまいかねません。おうちでのケアは見えている部分を優しく拭くだけにとどめ、奥の方は獣医さんにお任せしましょう。

猫の耳はとっても大事な部分

高いところへジャンプして飛び移ったり、狭くて不安定な足場を難なくキャットウォークしたり、バランス感覚を司る耳は猫が猫らしく行動するためにとても大切な器官です。

あまりに痒がるのはやはり心配なもの、日ごろからこまめにチェックして、異常があればすぐに獣医さんに診てもらいましょう。

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