野良猫に噛まれた女性がマダニが媒介する感染症「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」により死亡したというニュースにショックを受けた猫好きさんも多いのではないでしょうか?
猫にとっても人にとってもマダニはとても厄介な存在で、感染症を引き起こす他貧血を引き起こす可能性もあります。
今回は猫を飼っている人にも、猫と触れ合う機会が多い猫好きさんにも他人ごとではないマダニについてご紹介します。マダニの被害から愛猫を守る方法もご紹介しますので是非チェックしておきましょう。
猫に被害をもたらすマダニの生態
マダニとは外部寄生虫で動物の皮膚に寄生し吸血をします。外に出る猫だけではなく、飼い主に寄生したマダニが飼い猫に寄生した例もあります。
愛猫は完全室内飼いだからと油断せずに、まずはマダニとはどのような寄生虫なのか見ていきましょう。
マダニの食糧源は動物の血液です。
草むらの中で寄生するべき動物が通るのをジッと待ち受け、ターゲットが通った瞬間飛び移って皮膚に寄生し直ちに吸血を開始します。
マダニは対象の動物に寄生すると吸血と唾液の分泌を繰り返し、様々な病気を引き起こすのです。マダニの大きさはほんの数ミリほどで目でやっと認識できるくらいですが、吸血後は100~200倍にもなるそうです。
吸血後の身体も吸血前に比べて大きくなるため、小粒程度のマダニが猫の顔や耳にぶら下がっているのを確認するこもできるようになります。
マダニの口の構造
マダニの恐ろしい所と言えばその口でしょう。マダニはくちばしを突き刺して吸血をするのですが、その口は皮膚と皮下組織を切断する「鋏角(きょうかく)」と、切断面に差し込むためのギザギザの歯「口下片(こうかへん)」で構成されています。
猫に寄生したマダニはまず鋏角で皮膚を切開し、口下片をゆっくりと挿入します。そして、皮膚から口が離れないようにその挿入した場所にセメント状の物質で固定をするのです。
このセメント状の物質のせいで、一度吸血を開始したマダニは数日間は離れないのです。何があっても離れず、数日間吸血し続けるマダニ。考えただけで怖い寄生虫ですね。
マダニによる症状
猫がマダニに刺されると、様々な症状や感染症を引き起こします。
- 貧血
- 皮膚炎
- 猫ヘモバルトネラ症
- ライム病
- 日本紅斑熱
- 重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
中でも人に感染した例がある「ライム病」「日本紅斑熱」「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」は、感染した場合死に至る可能性もあります。
そのような感染症を防ぐためには愛猫にマダニを感染させないということがとても重要となってくるのです。
マダニと猫が原因で死亡?重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
近年ニュースとなった「野良猫に噛まれた女性がマダニ感染症により死亡した」事故に「うちの愛猫は大丈夫かな?」と不安になった飼い主も多いのではないでしょうか?
この女性が発症した病気、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)はマダニに直接噛まれることで感染すると考えられていました。
しかしこちらの事例は「衰弱した野良猫を動物病院に連れて行こうとして手をかまれ、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)発症」したのです。
この女性はマダニに噛まれた形跡がなかったことから、「猫から感染した可能性がある」とされているのです。
現在厚生労働省は、感染はまれで完全室内飼いの猫にはリスクがないとしていますが屋外の猫が体調不良の時は注意をするように呼び掛けています。
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)の初期症状は以下のようなものがありますので野良猫に噛まれた、自分がマダニに噛まれたという場合は速やかに病院を受診しましょう。
- 貧血
- 黄疸
- 発熱
- 皮膚炎
- 腫れ
このような症状が無くても、マダニに噛まれた場合は念のために医療機関に相談をするのをおすすめします。また寄生したマダニを飼い主が連れて帰り、完全室内飼いの愛猫に寄生したという例も稀にあるようです。
大切な愛猫がマダニに感染しないためにも、無暗に草むらに入らないようにする、野良猫と長時間接触しない、マダニに刺された疑いがあるなら速やかに対処すように心がけ、愛猫をマダニの被害から守るようにしましょう。
愛猫がマダニに噛まれたら!無理に取ろうとしてはダメ
マダニは
- お腹
- 顔周り
- 耳
- 脇
など、皮膚の柔らかいところに寄生します。愛猫が外に出た場合は皮膚の柔らかい所に、マダニがいないか確かめるようにしましょう。
そしてマダニに噛まれていることが判明したら可能な限り、早めに獣医さんに相談するようにしましょう。
愛猫がマダニに噛まれていたら驚いてしまいますよね。しかも吸血をしてパンパンに膨らんだマダニがぶら下がっているのを見たら卒倒してしまうかもしれません。
しかし、愛猫の顔や耳に寄生したマダニを見つけても無理にちぎってはいけません。マダニは説明したとおり、寄生した箇所にセメント状の液体を流し込み接着しています。
ちょっとやそっとの力じゃ離さないだけではなく、力尽くでちぎるとマダニの口先だけが皮膚の中に残り感染症の原因となります。さらに皮膚を傷つけてしまい余計にひどい状態になることもあります。
マダニが愛猫に噛みついている場合は、無理にちぎったり潰したりすることは避けて速やかに動物病院に行きましょう。
また動物病院にすぐ行けない場合は、専用のマダニ取りグッズを利用してもいいでしょう。
▼マダニ取り ティックツイスター
このようなマダニを取る専用グッズを用意しておくと、万が一愛猫がマダニに噛まれた時も対処できます。
ただマダニに噛まれた場合、感染症を発症する疑いもありますので可能な限り24時間以内に獣医にみせるようにしましょう。
愛猫がマダニに噛まれたら自己判断せずに相談を
たかがマダニ、たかが寄生虫と思ってしまうかもしれませんが、マダニを媒介にした感染症は非常に多く、最悪の場合死に至る可能性も否定できません。
マダニに噛まれていることに驚いてしまい、焦って無理矢理ちぎってさらに愛猫の皮膚を傷つけてしまったり、感染症を引き起こしてしまったりと、自己判断で処置をするのは大変危険です。
愛猫がマダニに噛まれたら、飼い主であるあなたがマダニに噛まれたら、自己判断はせずに然るべきところを受診するようにしましょう。