黒猫が横切ると不吉、は嘘?黒猫は世界中で幸運の象徴とされている

道を歩いているときに、目の前を黒猫が横切ったら、ドキッとしませんか?友だちと歩いているときにそんな場面に遭遇したことがあります。

「わっ、不吉!」と怖がる彼女に、「えっ?黒猫が横切ったら、いいことがあるんじゃなかったっけ?」と言う私。いったい、どちらが正しいのでしょうか。

黒猫は、不幸の象徴だと言われたり、ところ変われば反対に幸せをもたらす生き物だとも言われます。日本国内ではどうなのか、また、海外ではどういう扱いなのかを見てみましょう。

黒猫が不吉だと言われるようになった由来

海外と日本の不吉な黒猫のイメージイラスト

古代のケルトや北欧では、黒猫は神聖な動物として扱われていました。しかし、キリスト教が広まり、それまでの宗教が否定されるようになると、旧宗教の物語で活躍していた黒猫は「邪悪な生き物」とみなされるようになります。

その後に起こる魔女狩りでは、「黒猫は魔女の使い」ということで、大量に殺害されるようになりました。このできごとが現代まで語り継がれ、いまだに黒猫は不吉だというイメージがあるのです。

日本では、黒猫は縁起の良い生き物と認識されていましたが、1843(天保14)年に発表されたエドガー・アラン・ポーの短編「黒猫」によって、不吉なイメージがついてしまったのではないかと言われています。

他にも、日本では次のようないろいろな黒猫にまつわるジンクスがあります。

  • 黒猫に出会ったら不吉。でも12歩下がってまた歩き出せばOK。
  • 黒猫に出会った後、黒以外の猫が後を付いてくるとラッキーなことがある。
  • 黒猫を呼ぶことなく黙って待っていて黒猫が近づいてきたら幸せになれる。
  • 黒猫をまたぐと不幸が起こる。
  • 13日の金曜日に黒猫を見ると不幸が起こる。
  • 黒猫が右から左に横切ったら不吉、左から右に横切ったらラッキー。

各国で意外にも幸運説が多い黒猫

海外では、黒猫は「魔女の使い」「不吉の象徴」と言われることが多いですが、反対に幸運の象徴だと思われているところもあります。

イタリア

不吉だということで毎年数万匹以上の黒猫が殺処分されていましたが、動物愛護団体の働きかけにより、その習慣はなくなりました。代わりに、その11月17日は、黒猫に対するひどい行いを改めるための「猫の日」となりました。

アイルランド

月夜に黒猫が横切ると、伝染病を患って死ぬと言われていました。暗闇の中を自由に動き回ることができるのは、魔女の使いだからだと思われていたのです。

もともとは幸運の象徴とされていた黒猫。その黒猫が自分に興味を持たずに素通りしたということは、つまり幸運が遮断されたという解釈をした、という説もあります。

黒猫を幸運の象徴とする国は、実はたくさんあります。

日本

黒猫のことを「福猫」「餡子猫」と呼んでいます。猫は暗い中でも目がきくことから、「見通しがきく」縁起の良い存在で、魔除けや厄除け、幸運の象徴とされてきました。

日本には招き猫がありますが、その中でも黒猫は特に縁起が良いとされています。江戸時代には、左向きのかぎしっぽの黒猫はお金をかき集めてくれるという噂が広がりました。そのため、商人たちはお金を出してまで探させたということです。

江戸時代に幸運の象徴とされていた黒猫のイラスト

京都にある壇王法林寺には、主夜神(しゅやじん)尊という神様がまつられていますが、その使いであった黒猫が、現代の招き猫のモデルだと言われています。寺社関連の招き猫としては最古のものだということです。

江戸時代に、労咳(結核)という病気が大流行したときがありました。当時は不治の病とされ死亡率の高い病気でした。しかし、結核を患った一人の娘を救った黒猫の話から、黒い猫には結核を治す力があると信じられるようになりました。

新選組の沖田総司も厄除けや病気治しのために黒い猫を飼っていました。また、夏目漱石は、妻鏡子が「福猫」として黒い猫を飼っていました。

イギリス

結婚するときに黒猫が横切ると幸せになるとか、教会に行く途中で花嫁の前を黒猫が横切ると幸せな結婚ができるとか言われている地域があります。

またある地域では、黒猫のことを「ラッキーキャット」と呼び、苦労したときには黒猫を飼うと良いという話もあります。

イングランド

黒猫が道を渡ったり自宅に入ってきたりしたら、縁起が良いと言われています。さらに黒猫が棲みつくと、その家には幸運が訪れるとも。

結婚祝いに黒猫を新婦に贈ると幸せになると言われ、新郎新婦に黒猫のモチーフのものをプレゼントする風習があります。

スコットランド

黒猫は妖精の化身で幸福をもたらしてくれるとされ、黒猫が目の前を横切ると幸せが訪れると言われています。黒猫は予言能力を持ち、玄関周りに訪れるとその家は栄えるというジンクスも。

ベルギー

イーペルという町では、時計台から黒猫を投げる「猫の水曜日」という行事が19世紀初頭まで行われていましたが、動物愛護団体が異議をとなえたことで、「猫祭り」という行事に変わりました。

時計台から黒猫の人形を投げ落とし、キャッチした人は幸せになるというお祭りです。

南フランス

黒猫は「魔法の猫」と呼ばれ、エサを与えて敬意をもって接する飼い主には富をもたらしてくれると言われています。

アメリカ

いつのまにか黒猫が棲みついていたら、その家に幸運が舞い込むと言われています。National Hug Your Cat Day(あなたの飼い猫を抱きしめる日)が6月4日に制定されています。

エジプト

古代神話の中には、頭が黒猫になっている女神が登場していて、壁画も残されています。黒猫は尊いものとして、王様を始め人々が崇拝していて貴重なものだったので、黒猫輸出禁止令があったほどです。

ペルシャ

黒猫を虐待したり危害を加えたりすると、自分を守護する霊やドッペルゲンガーと呼ばれるもう一人の自分を痛めつけることと同じ意味をもつとされています。

ミステリアスな見た目がもたらしたもの

真っ黒な体と、暗闇の中で宝石のように輝く瞳。神秘的な黒猫は、いつの時代でも、どこの国においても、特別な雰囲気を放っていたのでしょう。それゆえに、縁起の良し悪しの対象とされてきたのですね。

わかる気もしますが、私は逆にそのミステリアスな雰囲気が神聖なものにも感じたりします。

ジンクスを信じるか信じないかは人それぞれですが、私は黒猫さんに遭遇すると「わーい」と気持ちが嬉しくなるものです。

猫が幸運を運んできてくれる、そんな素敵な出来事があるかも、と思っています。

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