猫の血統書は優秀な証ではない!血統書に隠された意味と正しい見方

血統書付きの猫と聞くと、大変優秀な由緒正しい猫ちゃんのような気がしますが、実は血統書付きだからといって特に能力や見た目が大変優れているというわけではないというのをご存知ですか?

血統書の本当の意味とはなんでしょうか?また、血統書にはどのようなことが書かれているのでしょう?血統書がない猫とある猫の違いは?そんな知ってそうであまり知らない、謎に包まれた血統書について解説しましょう。

血統書の意外な真実に驚いてしまうかもしれませんよ。

猫の血統書とはヒトでいう戸籍抄本。優秀なことの証ではない

血統書付きと聞くと「さぞ由緒正しき優秀な猫なのだろう」と、感心してしまうかもしれませんが正確には違います。

猫の血統書とは猫の血統を表した証明書、つまりヒトでいう戸籍抄本のことです。

元々はイギリスで、猫を品種認定するために始められた制度で現在はその猫が本当にその猫種であると証明するためや、繁殖元を証明するためなどに用いられるものです。

つまり血統書付きの猫は、どこでどのような親猫から生まれたかという出生元がハッキリしているだけで、その猫が優秀なため与えられるものではないということです。

ただ、どこで繁殖されどのような親猫から生まれたかというのがハッキリしているということはそれだけ安心できる証拠でもあります。

世の中には、純血種の猫だと言いながらほかの猫種と掛け合わせて繁殖された雑種猫を売りつける悪徳ブリーダーも存在しています。そのような悪徳ブリーダーは血統書を得ることは難しいのです。

また、血統書を得るためにはその猫の出生を明らかにしなければいけないため、親子や兄弟などと交配させる近親交配や、危険と言われている無茶な交配をすることはできません。

禁忌と言われている近親交配や、スコティッシュフォールドの折れ耳同士の交配などは遺伝子疾患を持ちやすく病弱で短命な猫が生まれやすいのです。そのような不正行為をするブリーダーを規制するという意味も血統書には含まれています。

つまり、血統書付きの猫はそのような悪徳ブリーダーから繁殖された猫ではないという意味では安心で優秀な猫ということはできるかもしれませんね。

血統書の見方と項目

血統書を実際に目にすることは少ないかもしれませんが、実際に証明書を見ると全てローマ字で表記され、英語や意味不明な記号が入り乱れています。

正直パッと見ただけでは何が書かれているのかわからず、英語が苦手な方なら一目見ただけで読むのを断念してしまいそうになります。

さらに猫の血統書を発行しているのは1つのキャットクラブだけではなく複数あり、それぞれのキャットクラブによって記載されている項目が若干異なってきます。ただ、血統書に書かれている大まかな内容は以下のようになっています。

キャッテリーネーム(猫舎号)

実際に繁殖を行った繁殖者の名前、もしくは繁殖を行った猫舎の名前が記載されます。猫を迎え入れた後、猫の所有者が変わるとこの名前の後ろに記載されます。

猫名

その猫の名前です。通常はキャッテリーネームの次につけられます。日本人でいうと、苗字がキャッテリー名で名前が下の名前に当たるということです。

登録日

その猫の生年月日、キャットクラブに登録された年月日などが記載されます。なおその猫を迎え入れた日ものちにこの項目に記載されることになります。

登録番号

その猫が血統書を発行するキャットクラブに登録されたときにもらうその猫だけの唯一の番号です。

キャットクラブによって番号の決め方は異なりますが、猫種別、毛色別、性別、により異なった番号と記号と登録された順番で構成されます。ヒトで言うと戸籍番号のようなものですかね。

猫種

「アメリカンショートヘア」や「マンチカン」や「スコティッシュフォールド」などの猫種が記載されます。この記載があることで、その猫が間違いなく純血種であるという証明になります。

身体的特徴

毛色、目の色、性別などの見た目の特徴が記載されます。

キャットショーのタイトル

キャットショーに参加しタイトルを獲得した場合、その記録が血統書に記載されます。

そのタイトルの記載は登録したキャットクラブにより違いがありますが、チャンピオンになった場合は「CH」と記載され、グランドチャンピオンは「GCH」と記載されます。

これらのタイトルを獲得した猫は赤字で記載されていることが多いので、もし血統書を目にすることがあればチェックをしてみましょう。

なお、これらの称号を獲得しているということはキャットショーで優秀な成績を残した猫だという証なので、まさに「優秀な猫だと証明する血統書」となります。

その猫が優秀な猫かそうではないのかを判断するならば、このタイトルの記号に注目をするようにしましょう。

家族構成

血統書は基本的に曾祖父母までの記録が記載されます。その内容な名前、登録番号、毛色のほかキャットショーで獲得した称号も記載されています。

キャットクラブによって記載方法は違いますが、祖先の記録を記載している血統書がほとんどですし他の記載内容も基本的には同じような内容となっています。

また祖先のほかにも兄弟姉妹猫の情報も記載されていますので、愛猫を兄弟姉妹に会わせてあげたいと考えた飼い主様が血統書をたどり実際に再会をさせてあげた事例もいくつかあります。

血統書を発行しているキャットクラブとは?

血統書と一口に言っても、この証明書を発行しているキャットクラブは世界中に存在しています。

小さなキャットクラブから発行される血統書もあれば、世界的に有名な血統書キャットクラブもあります。その中でも日本で主流となっている血統書を発行するキャットクラブは以下の4つがあります。

  • TICA(TICA&Asia Region)
  • CFA(CFA JAPAN REGION)
  • ICC(インターナショナルキャットクラブ)
  • ACC(アジアキャットクラブ)

この中でもアメリカに本部があるキャットクラブの「TICA」と「CFA」は世界的にも大変有名で、大きなキャットショーに参加する場合もこの団体の血統書があれば、ほとんどの場合は参加できます。

逆に日本国内のキャットクラブである「ICC」やアジアを中心に活動している「ACC」は、血統書を持っていても世界的に通用しないことも多いようです。

血統書があるからその猫が優秀、優秀じゃないというわけではありませんし、血統書がなければその猫がダメというわけではありません。

愛猫をキャットショーに参加させたいと考えている場合は、世界的に通用する血統書が必要になる場合もあります。

血統書付きの猫と血統書がない猫の違いは?

血統書というのは、その猫の出生を表す証明書ですが血統書はその猫が生まれたときにキャットクラブに申請をして取得をするため、正真正銘の純血猫であっても血統書付きではない場合も多いのです。

特にブリーダーではなく、愛猫の子供が欲しいと思い繁殖をした飼い主の場合、わざわざ血統書を取得する手続きを踏む方は少ないので、血統書を取得していない純血種も世の中にはたくさん存在しています。

また、血統書付きの猫は純血種である証明をされているわけですから、雑種猫に血統書が送られることはありません。

しかし、血統書が発行されていない猫でも大変優秀な猫はたくさんいますし、雑種猫でも芸達者で大変可愛いアイドル猫もたくさんいます。

血統書とはあくまでもキャットショーに出場するために必要な証明書、またはブリーダーやペットショップが譲渡、販売するための一つの基準です。

たかが紙切れ1つでその猫の価値は決まりませんので、血統書はあくまでも1つの目安と考えておきましょう。

血統書付きの猫じゃなくても魅力的な猫はたくさんいる!

血統書付きの猫は両親や祖先の情報、繁殖者の名前が記載されているため、悪徳ブリーダーから猫を入手確率が少なくなるという意味では大変役に立つものです。

しかしペットとして猫を飼うヒトにとっては血統書があるかどうかはそれほど重要なものではありません。

一番重要なのは、その猫ちゃんを幸せにしてあげられるかどうかです。

血統書がなくてもその猫ちゃんの個性に変わりはありませんし、大切な家族であることに変わりはありません。血統書付き、付いていないは気にせずに一生を共にしたいと思える運命の猫ちゃんを探してあげてくださいね。

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