猫にかつお節、は実は危険!?猫にとっての塩分の上限と適量を知ろう

猫の食欲は健康のバロメータになりますね。食欲がないときはどこか不調があることが多いです。でも、キャットフードにかつお節をひと振りするだけで食欲がモリモリ復活することもありますよね?

しかーし!いくら「猫大好き!」のイメージがあるかつお節であっても、なんでもかんでも与えてよいというわけではないんです。実は、人間が食べるかつお節を猫に与える際には注意が必要です。

今回はその注意と、注意が必要な理由を解説します。

猫に人間用のかつお節を与えると危険な場合がある!

章のタイトルをご覧いただいて「ええっ!?」と驚かれた飼い主さんもいるんじゃないかと思います。脅かしているわけではないですし、そんなに驚く必要もありません。

ただ、事実として人間用のかつお節を猫に与えるときには注意が必要であるという認識は、しっかり持っていていただきたいです。理由は・・・おそらくご想像のとおり「人間用かつお節の成分」にあります。

その成分の代表となるのは当然「塩分」ですね。

猫に必要な塩分の上限

塩分は、人間にとっても害になることがありますね。身体が小さい猫の場合、人間以上に塩分が危険となる場合も確かにあります。ただしはじめにお断りしておかなければならないことがあります!

とかく悪者にされがちな塩分ですが、猫にとって、塩分は決して不要な成分ではないということだけは、声を大にしてお断りしておかなければなりません。

主に塩分が少なすぎることで起こる「低ナトリウム血症」という病気も、なかなか重篤なケースがあるので、塩分の少なすぎにも十分注意していただきたいです。

ただし、与えすぎると塩分が害になることもあるんですよ、というのが今回のお話の主旨。まずは猫にとって必要な塩分の上限、すなわち猫が摂取しても人体・・・ではなく猫体(?)に影響が出ない分量を紹介します。

猫が1日に摂取できるナトリウム(塩分)の上限(全年齢)
1.5g/400kcal

(参考:全米研究評議会NC より)

これ、どういう数字なの?と思う飼い主さんもいると思います。ちょっと解説を加えておきましょう。これはつまり、

1日の食事で摂取するキャットフードのカロリーが400kcalの猫の場合、1日あたり1.5gまでは塩分を摂取しても大丈夫ですよ!

という数字です。はじめからそう言ってくれよ・・・と思ってしまう表現でしたが、でもこれ、意外と調整がたいへんかな?とも思います。

猫って、ちょこちょこ食べるじゃないですか。だからなかなか判定するのが難しい基準かな、と思いますね。それとメーカー、ブランドによってもフードのグラムあたりのカロリーが異なるからますます難しいです。

餌の分量(グラム)の目安に関しては、与えるキャットフードの袋などに記載されているデータをご参照いただきたいと思います。ちなみに、400kcalというエネルギーは、おとなの猫1匹が1日に摂取できる上限といわれます。

ここで1つ注意!これ、あくまでも「1日に与える塩分量の上限」なので、かつお節から1.5g分の塩分を与えてもいいんだ!なんて解釈しないでくださいね。あくまでも1日のトータルで必要な塩分の上限です。

では、問題の「人間用かつお節に含まれる塩分量」はどのくらいなのか、という今回のお話の核心にいよいよ迫っていきますよ!

人間用かつお節に含まれる塩分量。猫に与えていいのは・・・

昔は乾燥加工したかつおをゴリゴリと「かんな」に押し当てて「削り節」という、たいへんおいしいかつお節を食べていたそうですね。いや筆者宅にも実は年季が入った「削り節マシーン」があるのですが、削って食べたことはありません。

おそらくみなさんのご家庭でも、かつお節は「パック」に入ったものをご利用になっているかと思います。ウチもそうですよ。で、あのパックに入っているかつお節の容量、某有名かつお節会社のデータによれば「2.5g」入っているそうです。

メーカーやブランドによっていろいろなサイズがあるとは思いますが、いちおう「2.5g」で考えてみましょう。で、かつお節に含まれる塩分量ですが、こちらをご覧ください。

かつお節100gあたりのナトリウム含有量=480mg=食塩(塩化ナトリウム)1.2g

(参考:鰹節辞典-株式会社カネソ22 より)

これをどう判断するかが問題ですよね。いかがでしょうか、猫にかつお節を与えている飼い主のみなさん。あの小さなパックが2.5g入りですから、かつお節100gって相当な分量になりますよ。40袋分?すごい量です。

それでも「1.2g」しか塩分が入っていないので、たとえば健康な猫に毎日かつお節だけ100gずつ与えたとしても、塩分は過剰摂取にならないことがわかります。ただしあくまでも「塩分」に限っていえば、です。

実はかつお節には塩分以外にも、猫が過剰摂取すべきではない成分が数種類含まれています。猫はミネラルをおしっことして出すのが苦手な動物で、腎機能を低下させやすい動物なんです。

腎機能低下が起こってくると、おしっこのミネラル濃度が高くなり、主にナトリウム成分が結晶化しやすくなります。これを「結石症」といいます。人間でも激痛を伴う疾患として知られますね・・・

かつお節にも含まれる「リン」「マグネシウム」は「ナトリウム」と同じく結石の原因になるとされる成分です。ですからこちらも過剰摂取にならないよう、注意する必要があるんです。

この時点で「人間用かつお節の大量摂取はダメ」である想像はつきますね。あとはキャットフードに含まれる1日分の塩分が果たしてどのくらいに相当するのか、ここが大きなポイントになります。要は、人間用かつお節を猫に与えるご家庭では、

1日に与えるフードの塩分(ナトリウム)+1日に与えるかつお節の塩分<1.5g

となっていれば、塩分だけに関していえば大きな問題はないという、いちおうの目安にはなるでしょう。もちろん猫の身体の大きさや運動量などの個体差があるので、あくまでも「目安」ではあります。

なぁーんだ、全然大丈夫じゃん!と思うかもしれません。しかし猫はもの言わぬ動物。腎臓ももの言わぬ臓器です。そして一度悪化したらもとに戻すのが非常に難しい臓器でもあります。

このことを考慮するとたとえ数字的に十分余裕があったとしても、基本的には1回の食事で「ひとつまみ」程度のかつお節で猫さんには我慢していただきたいところです。

実は今回筆者が一番言いたかったのはこの部分です。猫は腎臓を悪くしやすい動物であるという認識だけ、どうか今回しっかり刻んでいただきたいと願います。

健康な猫向けのキャットフードであれば、フードさえ食べていれば他に何も与える必要がない栄養が配合されていますので、食欲増進のための「香りづけ」のようなイメージで人間用かつお節を活用するといいのかな?と思いますよ。

でも、猫があれだけおいしそうに食べるかつお節ですから、できることなら塩分など危険な成分を気にせず食べさせてあげたいなぁ・・・と思うのが飼い主さんの本音でしょう。

実はあるんです、「猫向けのかつお節」が!

「猫向けかつお節」がやっぱりおすすめ!

人間という生き物は、おそらく猫と並んで「自分勝手な生き物」なのではないかという気がします。身体のサイズなどおかまいなしに、自分の味覚を基準として「これはおいしい!」といって猫にあげてしまうこともありますね。

まあかつお節の場合は人間以上に猫が大好きですけどね。しかしやっぱり猫は猫、かつお節も「猫向けかつお節」であるほうがずっと自然ですし、安心でもあります。

そこで、猫向けかつお節が人間用かつお節とくらべてどれだけ「猫向け」なのかをここで検証してみたいと思います。おすすめかつお節でもあるペッツルート製「無添加 減塩かつおけずり ふわふわ花 犬猫用 20g」の成分をチェックします!

といっても、残念ながらミネラル成分の表示が見つからなかったので、塩分はどうかというところだけチェックしました!するとですね、こちらの製品は「塩分25%カット」なんだそうです。

▼猫用 減塩かつおけずり ふわふわ花 – 株式会社ペッツルート
猫用ふわふわ花の商品イメージ

おそらく人間用かつお節とくらべて25%カットということだと思うので、人間用かつお節を3パック消費するうちに、「ふわふわ花」なら4パック与えてもよいという計算になりますね。

そんなに変わらないじゃないか・・・と思いますか?短期間の比較だと「差はちょっと」と思われるかもしれませんが、長期にわたることを考えると大きな差ですよ!

ちなみにこちらの推奨では、1日あたりに与える量の目安として、

  • 1~3.5kg程度の猫・・・約1~2g
  • 3.5~5kg程度の猫・・・約2~3g

も与えることができるんですって!ビクビクしながら人間用のかつお節を与えるなら、大好きなかつお節を豪快にドバっと(人間用の5~10倍くらい!?)与えれば、猫も大喜びでしょう(でもやっぱり「ほどほどに」でお願いします)。

ということで、他のおすすめ「猫向けかつお節」もぜひ次のところで紹介してみたいと思いますよ!

紹介します!こんな「猫向けかつお節」がある!

せっかく「猫さん向け」があるのですから、同じ大好物でもぜひ猫さん向けのかつお節をご利用いただきたいと思います。それではさっそく「猫向けかつお節」を紹介していくことにしましょう。

▼ペットイート 無添加猫ちゃんのかつお削り – 秋元水産株式会社
無添加猫ちゃんのかつお削り商品イメージ

通販だけでなく、ホームセンターなどでも販売しているとウワサの「かつお削り」です。一般的な「かつお節」という感じではなく、本格感ある厚手の「削り節」なので、猫さんもショリショリと歯ごたえを楽しめそう。

▼CIAO かつお節 – いなば
CIAOかつお節の商品イメージ

こちらはおなじみの「いなば」さんの製品。いなばといえばもちろん「CIAO(チャオ)」ですね。めちゃくちゃかわいいCMも有名です。CIAOのかつお節ということで、こちらはとにかく安心感が大きいです。

今回紹介した「猫向けかつお節」は、数ある類似品のなかから比較的有名で機能的な商品をピックアップしたものです。「猫向けかつお節」はほかにもまだまだたーくさんあります。

ペットショップや動物病院、ホームセンターなどでも比較的手に入りやすいので「ウチの猫に合いそう!」というかつお節を探してみていただきたいです。

かつお節の過剰摂取でかかる危険がある猫の病気

いくら「猫さん向け」とはいっても、ナトリウムやリン、マグネシウムが完全にカットされているわけではありません。人間用のかつお節よりはたくさん食べても大丈夫という程度で、いくら食べても大丈夫なわけではありません。

かつお節に含まれるナトリウムにしてもリン、マグネシウムにしても、猫が元気な生活を送る上で必要なミネラルです。しかし過剰摂取による危険は常に視野に入れておかなければなりません。

かつお節の中長期的な過剰摂取によりかかる代表的な病気は、結石症からはじまり腎機能低下、さらに悪化すると腎不全を発症し、最悪の場合死に至る可能性があるとお考えください。

結石症は激痛を伴うことがある泌尿器系疾患。人間でも大人が泣くほどの激痛だと聞きます。そんな痛みを愛猫に経験させることなんて絶対にできませんよね?痛みのストレスで余病を併発するおそれもあります。

もちろん腎不全になるまでかつお節をばさばさと与え続けることなどありえない話ですが、猫のウィークポイントは腎臓。腎機能が高くない猫は多く、その場合少量のかつお節でも腎機能低下がさらに進行する危険があります。

特に高齢猫の多くが腎機能低下を起こしているため、若いころと同量のかつお節であったとしても、さらなる腎機能低下が進行するスピードが速いと考える必要があります。

いつまでも元気な生活を送らせてあげたいからこそ、大好きなかつお節でも過剰摂取は控えなければなりません。そして「ひと工夫」することで、より安全なかつお節ライフを送ることができるはず。

お話を進めましょう。

安心&おいしいかつお節ライフのための、飼い主さんの一工夫

こんなの人間が食べたいわ!と、思わずツッコミを入れたくなるほど豪華な「猫のディナー」も近年登場していますが、ここではもっと簡単にできる「安心でおいしいかつお節餌」をテーマとします。

「ウチはキャットフードではなく人間と同じものをあげてます」という飼い主さんにはぜひご覧いただきたいです!

その工夫とはズバリ、人間用かつお節の出がらしをつかうという方法です。つまり「かつおだし」を取って残ったかつお節の部分を猫に与えるという考え方ですね。

かつおだしは相当な旨味がありますが、それだけ塩分その他ミネラルもあの「だし」の中に溶け出していることは間違いありません(具体的なデータはありません)。

つまり、出がらしのかつお節であれば、パックからそのまま与えるよりも猫にとってはだいぶヘルシーであるという推測が成り立つわけですね!

我が家では「だし」をとったあと、残った出がらしかつお節を天日で乾燥させて、これを猫に与えることもあります。キャットフードと混ぜるのは「パック」、おやつとして単独で与えるのが「出がらし」という感じですね。

あの出がらしにもまだまだ十分の旨味が残っているので、人間が「ふりかけ」などで食べてもおいしいんですよ!猫さんのおやつ、あるいはフードの「香りづけ」であれば、十分役立つはず。ぜひお試しを!

猫にかつお節、は適量を守って&一工夫で安全に

昔からある言いならわしの「猫にかつお節」ということばにギモンを抱くところからスタートしました。途中「猫は腎臓が弱い」という超重要事項に触れつつ、工夫次第で安全・おいしいかつお節ライフを猫さんに提唱することができました。

忙しいからこそキャットフードという便利なご飯があるわけですが、猫のために何かしてあげられることはないか?と考えたとき、原点回帰の「かつお節」に注目するという発想自体、悪くはないはずです。

しかしそれもこれも、猫の健康があってはじめて「回帰してよかった」と思えることでもあります。人間の思い込みや勉強不足が猫の健康を損なうことがないよう、いっぱいの愛情を注いであげていただきたいです。

あなたの一言もどうぞ

ページトップへ