毎年冬になると流行するインフルエンザ。飛沫感染や接触感染などにより、あっという間に新型インフルエンザが流行し、体力のないお年寄りや子供は死に至る場合もあります。
そんなインフルエンザは猫にもうつるのか気になりませんか?
人間も猫もウイルスの感染によって病気が引き起こされるので、猫もインフルエンザになるような気がしますが果たして…。また猫インフルエンザとも呼ばれる「猫カリシウイルス」とは、どんな病気なのか解説していきます。
人のインフルエンザは猫にもうつるのか?
インフルエンザとは、インフルエンザウイルスが原因で引き起こされる感染症です。日本では12月下旬にインフルエンザが流行しますよね。そんなインフルエンザは果たして、猫にも感染するのでしょうか?
猫は人がかかるインフルエンザウイルスにうつることはない
インフルエンザウイルスに感染することで発症するインフルエンザですが、実はインフルエンザウイルスには様々な種類があります。
人間がかかるインフルエンザウイルスは「ヒト季節性インフルエンザ」という種類になります。他にもインフルエンザは様々な種類があります。
- 高病原性鳥インフルエンザ
- 低病原性鳥インフルエンザ
- 馬インフルエンザ
- 豚インフルエンザ
- 犬インフルエンザ
このインフルエンザはその動物のみに感染し他の動物には感染しないと言われています。
そのため、猫は猫インフルエンザにかかりますが人が感染したヒト季節型インフルエンザには基本的に感染はしません。
海外ではヒト季節型インフルエンザに感染した猫の事例もある
ヒト型インフルエンザは人間にのみ感染し、猫などの他の動物には感染しないと言われてきましたが、実は海外では猫へのヒト型インフルエンザへの感染が数件報告されています。
これは新型インフルエンザがヒトへの感染を可能にしたためだと言われています。
さらに高病原性鳥インフルエンザに感染した猫の報告もあります。また、ヒト季節型インフルエンザに感染した猫自身は症状を発症しなくても、猫を媒介にして人間に感染するという報告もありました。
インフルエンザを発症している人間が触れ合った猫と、健康な人が触れ合った場合一定数でインフルエンザウイルスへの感染が確認されたのです。
このことから、インフルエンザが流行っている時期に野良猫や多数の人が触れ合う猫と接触した場合、手洗いなどの感染予防は怠らない方がいいといえます。
猫がいる家庭でインフルエンザ患者が出た場合の注意点
インフルエンザが流行するのは主に12月下旬頃です。家族の多い家庭なら、毎年誰かがインフルエンザを発症しているという家庭も少なくはないでしょう。
インフルエンザが家庭内で発生した時は、ほかの家族への感染を防ぐために家庭内で隔離して生活を送ることになるでしょうが、隔離する際は猫もインフルエンザを発症している方に接触しないように注意しましょう。
人間に感染するヒト季節型インフルエンザは猫にうつることはほとんどありませんが、猫を媒介にして他の家族へ感染してしまう可能性があります。
インフルエンザで家族から隔離され寂しいからせめて猫と一緒に過ごす。そんな方もいらっしゃるでしょうが、家庭内感染の危険性を考えるとあまりおすすめはできません。
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残念ですが、愛猫との過度な触れ合うのはインフルエンザが治るまでは我慢しましょう。
猫インフルエンザ「猫カリシウイルス感染症」とは
猫インフルエンザとは、人間のインフルエンザと同じような症状がでることからこのように呼ばれていますが、正式の病名は「猫カリシウイルス感染症」といいます。
また、「猫ウイルス性鼻気管炎」も猫インフルエンザと呼ばれることがあります。この猫インフルエンザも人間のインフルエンザと同じで、ウイルスが体内に入り病気となる感染症です。
猫インフルエンザの主な症状
猫が猫インフルエンザに感染すると次のような症状が出ます。
- 高熱(40℃以上)
- 鼻水やくしゃみ
- 多量のよだれ
- 食欲不振
- 口内炎、舌炎
猫インフルエンザは、人間のインフルエンザとよく似通っていますが、違いとしては口内に異常が発生しやすいということです。
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また猫インフルエンザは重篤かしやすく、肺炎へと発展し死に至ることも珍しくはない感染症でもあります。
症状は1週間~2週間ほどで治りますが、重篤化する可能性もありますので早めに獣医師に相談をするようにしましょう。
猫インフルエンザへの感染経路
猫インフルエンザと呼ばれる「ネコカリシウイルス」の感染経路は空気感染と接触感染が確認されています。
- くしゃみ
- 鼻水
- 飛沫
- グルーミング
- 皮膚との接触
- 人を媒介にした感染
猫インフルエンザに感染している猫との接触のほかに、猫インフルエンザに感染している猫を触った人間を媒介にして他の猫に感染する可能性もありますので、野良猫や見知らぬ猫を触った場合はよく手を洗ってから愛猫に触るようにしましょう。
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猫インフルエンザの予防法
猫インフルエンザの原因であるネコカリシウイルスは乾燥状態で活発になります。ウイルスにとってコンディションのいい状態が続くと長くて3~4週間も生き続けます。
そのため予防としては、加湿器などを使い部屋の乾燥状態を防ぐようにしましょう。
さらに猫インフルエンザを始め、様々な感染症から守るためにワクチン接種を定期摂取するようにしましょう。猫のワクチンはインフルエンザの原因である、猫カリシウイルス感染症の他にも感染症を予防できます。
- 猫ウイルス性鼻気管炎
- 猫汎白血球減少症
- 猫クラミジア感染症
- 猫白血病ウイルス感染症
- 猫免疫不全ウイルス感染症(猫エイズ)
これらの感染症は、一度感染すると治療法がない場合もありますので予防であるワクチン接種で事前に防ぐのが最も有効な手段だといえます。
ぜひ猫インフルエンザを始め、様々な感染症を防ぐためにも定期的なワクチン接種を受けるようにしましょう。
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猫インフルエンザの治療法
猫インフルエンザと言われる「猫カリシウイルス感染症」と「猫ウイルス性鼻気管炎」は、現時点ではウイルスに有効な治療法は存在していません。そのため、猫インフルエンザに感染した場合は対処療法となります。
主な治療法はインターフェロンの投入による、免疫力の向上と抗生物質や点滴といった治療になります。
しかし、これらの治療はあくまでもその症状に合わせた治療法なので、ネコカリシウイルスなどの感染症を引き起こしているウイルスに直接攻撃するわけではありません。
最終的にはその猫自身が持っている免疫力でウイルスを倒す必要があります。
そのため、体の弱い猫や子猫、高齢猫の場合は治療が難しく、肺炎を発症し死に至るケースもあります。
そのような状態を防ぐためにも、猫インフルエンザの症状を発見した場合は速やかに獣医師の治療を受けるようにしましょう。早期発見、早期治療が愛猫の命を救うことになります。
猫も人間もインフルエンザの予防はしっかり行おう
人が感染するインフルエンザは基本的に猫には感染しないとはいっても、海外では少数ながらも感染が報告されています。また逆に猫インフルエンザが人に感染するケースも極少数ながらもあります。
猫と人、違う動物の為それぞれ発症する原因のウイルスは違うため、過度に心配する必要性はないとはいっても念のためインフルエンザを発症している場合はお互いに距離をとるようにしましょう。
また、猫も人間もインフルエンザにならないことが最大の安全策です。完全室内飼いだから愛猫は猫インフルエンザにならないと思ってる方も、人を媒介にして感染する可能性はあります。
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もしもの事態を想定して、ぜひ愛猫には定期的な予防接種を受けさせるのと同時に、少しでも症状が見られた場合は早期受診をするようにしましょう。