「世田谷線でめぐる小さな猫旅」特集、全4回の第2回。
豪徳寺は幕末の大老・井伊直弼のお墓があることで有名です。それ以上に近年、注目を集めているのが境内に奉納されているおびただしい数の招き猫。
豪徳寺と井伊家と招き猫の不思議なご縁に迫ります。
第1回:世田谷線の招き猫電車
第2回:豪徳寺と招き猫
第3回:招き猫スイーツ&グッズのお店
第4回:店員猫がいる猫本だらけの本屋さん
豪徳寺へ行こう
豪徳寺は世田谷線の宮の坂駅から歩いて3分ほど。小田急線の豪徳寺駅からも歩いて10分ほどでたどりつきます。
背の高い松が左右から覆いかぶさるように生い茂る参道を歩いていると、とても気持ちがよく、心が浄化されていくような気がします。
山門をくぐって緑豊かな境内へ。
境内には、延宝7年(1679年)に鋳造された梵鐘や、五体の仏像が安置されている大仏殿などがあります(いずれも世田谷区指定有形文化財)。
まずは奥まで進んで、本堂(法堂)にお参りします。
豪徳寺では賽銭箱は外側にはなく、建物のなかに設置されており、小窓を開けてそこからお賽銭を入れるようになっています。
高さ22.5メートルの三重塔。よく目を凝らすと、塔の四方にぐるりと施された十二支の動物たちの彫り物に混じって、招き猫の彫り物を見つけることができます。
豪徳寺と井伊家と招き猫の伝説
三重塔からくるりと振り返ると、招福殿があります。
内部には、招き猫の姿をした招福観音菩薩立像が安置されています。
そして、この招福殿の横には……
猫、猫、猫、猫、猫!
大小さまざまな大きさの無数の招き猫が所狭しと奉納されています。
新たに棚を増設したにもかかわらず、招き猫の数はますます増え続けています。
そもそも、なぜ豪徳寺にはこんなにも招き猫があふれているのでしょうか。
それにはこんな逸話があります。
豪徳寺がまだ前身の弘徳庵だった頃のこと。彦根藩2代当主・井伊直孝が鷹狩りの帰りに、弘徳庵の前を通りかかりました。
すると、門前に1匹の猫がおり、片手をあげて、しきりに手招きをしたのです。直孝は猫に導かれるように寺に入り、しばらく休憩することにしました。ほどなく、一転、空が掻き曇り、雨が降りだし、雷鳴も轟きはじめました。
直孝は猫のおかげで雷雨を免れたことを喜び、また住職の説法に感銘を受けたことにより、弘徳庵を井伊家の菩提所とし、多くの田畑を寄進しました。直孝の死後、その法号「久昌院殿豪徳天英大居士」から、寺の名前は「豪徳寺」と改称されました。
くだんの猫は住職がわが子のようにかわいがっていた「たま」で、この猫の姿を形作り、「招福猫児(まねきねこ)」と称えて崇めました。
これが豪徳寺の招き猫の元祖です。
家内安全、商売繁盛、心願成就のご利益があるとして、多くの参詣者が訪れています。
境内の西の奥には井伊家の墓所があります。
豪徳寺中興開基である直孝の墓や、幕末の大老・直弼の墓をはじめ、歴代藩主や正室の墓が並んでおり、国史跡に指定されています。
寺務所で御朱印や招き猫を
本堂の横にある寺務所では、招き猫やお守り、お札、絵馬などを買うことができます。
招き猫はここで買ってすぐに奉納するのではなく、家に持ち帰って大切に祀り、願いが叶ったら、ふたたび参詣して奉納します。
取材に訪れたのは平日の昼過ぎだったにもかかわらず、多くの参詣者がおり、その半数以上が外国人でした。招き猫を買い求めるのはもちろんのこと、なかには年季の入った御朱印帳を持参し、御朱印を頂いている人もいました。
お寺の人の話によると、3~4年前から外国人観光客が増えはじめたとのこと。テレビや雑誌、SNSなどさまざまなメディアで、招き猫の寺として豪徳寺が紹介されているらしいのです。
猫好きパワー、おそるべし。
豪徳寺はいつのまにやら、世界の「GOTOKUJI」となっていたようです。
世田谷区豪徳寺2-24-7
03-3426-1437
☆春彼岸の中日から秋彼岸の中日(前日)まで
開門時間:6:00~18:00
寺務所受付時間:8:00~17:00
☆秋彼岸の中日から春彼岸の中日(前日)まで
開門時間:6:00~17:00
寺務所受付時間:8:00~16:30
招き猫を購入し、御朱印を頂きました
わたしも長年わが家で祀っていたいちばん小さい豆猫を奉納し、ひとまわり大きい招き猫を購入。
たまでんカフェ山下(第1回「世田谷線の招き猫電車」参照)で買っておいた豪徳寺招き猫御朱印帳に御朱印を頂きました。
第3回は「招き猫スイーツ&グッズのお店」です。