猫の危険な下痢の見極め方。病院をすぐ受診してほしい8つの特徴

猫の代表的な不調といえば、便秘や下痢、嘔吐などです。中でも下痢は1回でもしてしまうと心配になりますよね。実は、健康な猫でも下痢をする場合はあるのですが、下痢は様々な病気のサインとしても有名なので、決して油断できません。

いったい下痢をしても大丈夫な場合と、病院に行った方がよい場合とはどのように区別したらよいのでしょうか。

猫が下痢をした時病院に連れていくべきケースや、猫が下痢をしてしまった時、飼い主さんが自宅でしてあげられることについてご紹介します。

猫の下痢とはどんな状態?軟便との違い

まず猫が下痢をした時、注意しておきたいのが軟便との違いです。便の様子を見る時、水分量によって

  • 便秘……うさぎの糞のような、コロコロとした短くちぎれた便
  • 通常……大人の人指し指程度の太さと長さをした、1、2本の便
  • 軟便……一見便の形はあるが、スコップで触ると便がべたりと付着する状態
  • 下痢……便の形を留めておらず、柔らかくドロリとした液状の便
  • 水様便……形がなく、水のようなびしゃびしゃとした便

というように段階があります。一般的に猫の下痢は、便の形を留めていない状態を指します。

便がいつもより柔らかいだけの場合は「軟便」に当たり、下痢とは区別されることが多いので注意しましょう。

すぐに病院へ!緊急性の高い下痢の特徴

猫が下痢をした時、仕事の都合などでできれば1日くらい様子を見たいという飼い主さんもいるのではないでしょうか。しかし、もし様子を見て手遅れになってしまったらと思うと悩んでしまいますよね。

猫が下痢をした時、とにかくすぐに動物病院に連れていくべきなのは次のようなケースです。

  • 便に血が混じっている
  • 真っ赤な下痢
  • のりの佃煮のような真っ黒い下痢(タール便)
  • どろどろのゼリー状のものが一緒に出ている
  • 猫がぐったりとしていて元気がない
  • 下痢以外にも嘔吐や発熱、黄疸など、他の症状が出ている
  • おもちゃのかけらなど、明らかに便に混じってはいけないものが混じっていた
  • 1日に何度も下痢をする

これらの症状が出るものの中には、中毒症状など一刻を争う場合もあります。1日様子を見ただけでも手遅れになることがあるので、どうにかして動物病院へ連れていくべきです。

▼猫の危険な下痢の特徴については、こちらでも紹介されています
子猫が下痢をする原因7つ。危険な下痢から命を守る対処法

またこれ以外であっても、特に子猫や老猫が下痢をした場合は注意が必要です。健康な若い成猫に比べて、子猫や老猫は抵抗力が弱く、たとえその場では元気があったとしても、数時間後にぐったりしていたというケースもあります。

容態が急変しやすいので、動物病院に連れていくか、せめて目を離さないようにしましょう。

意外な盲点もあった!猫が下痢になる原因

猫が下痢になる原因には、病気をはじめ様々なものがあります。特にありがちな理由をご紹介します。

病気

下痢はあらゆる病気のサインとして現れます。病気の症状の1つとして下痢が出る場合は、多くは下痢だけでなく

  • 元気がない
  • 食欲がない
  • うずくまって動こうとしない
  • 嘔吐
  • 黄疸

など下痢以外にも普段と違う様子が見られます。下痢以外の症状がないかどうかよく確認しましょう。

寄生虫

下痢をしているのに元気、という場合、寄生虫の可能性も考えられます。回虫や条虫など、猫にありがちな寄生虫はお腹に寄生して猫の栄養を奪い成長するため、猫の下痢の原因となります。

寄生虫の場合は緊急性は低いものの、自然治癒は見込めないため病院に行って検便などの検査や治療を行う必要があります。便の中に虫が視認できる場合も多いので、猫の便の中や肛門付近に見慣れないものが混ざっていないか確認しましょう。

▼猫の体に住み着く寄生虫の特徴をしっかりとチェックしておいて、早期発見できるようにしておきたいですね
猫の寄生虫は室内飼いこそ注意しよう!寄生虫予防のための基礎知識

食べてはいけないものを食べた

タマネギやチョコレート、観葉植物といった、猫が食べると中毒症状をもたらす食品類や、洗剤など食品以外のものを食べたり舐めたりした場合も下痢をすることがあります。

この場合は非常に緊急性が高く、また他にも症状も出やすいので、猫の様子に十分注意を払いましょう。さらに、猫の生活空間を確認し、食べた様子がないか確認しましょう。

食べ過ぎ

元気はあるのに下痢をしたという場合、よくある原因は食べ過ぎです。大量のフードを一気食いするとうまく消化することができず、結果的に下痢になってしまうことがあります。

特に多頭飼いしていて、他の猫の分までごはんを奪って食べるような猫が下痢をした場合は食べ過ぎを疑った方がよいでしょう。食べ過ぎの場合はたまたま下痢をしてしまっただけなので、緊急性はありません。

フードが合わない

猫によってはフードに使われている食材、あるいは添加物が体に合わないことでも下痢を引き起こすことがあります。例えば、

  • 魚を食べると何となく調子が良くない
  • ターキーとサーモンを一緒に食べるとお腹の調子が悪くなる
  • 特定のフードの組み合わせだと必ず下痢をする

などさまざまなパターンがあります。特別粗悪な材料を使った激安フードでなくても、単純な食材の相性で下痢を起こすことがあるため、「プレミアムフードをあげているから大丈夫!」というような油断は禁物です。

特に、フードの銘柄や与え方を変えた直後は要注意です。

▼猫が下痢をしている時には、なるべくお腹に優しいフードへ切り替えをするように検討してみてください
猫が下痢のときのおすすめフード3選。愛猫のおなかに優しいご飯

フードが痛んでいる

いつも食べているフードが、暑さや時間の経過で痛んでいた……という場合も下痢をすることがあります。つい忘れがちですが、フードを与える時には賞味期限にも気を配りましょう。

あるいは、賞味期限内であっても、開封後数ヶ月が経過しているような場合はフードの酸化が進んでしまい、下痢の原因になることがあります。特にプレミアムフードの場合、保存料の使用を最小限に抑えているためこの酸化が顕著です。

お腹が緩くなるものを与えた

猫用のおやつやウェットフード、また毛玉の排出を助ける効果のあるフードなどを与えると、猫のお腹が緩くなり下痢をすることがあります。与えすぎには十分気をつけましょう。

また2種類以上のおなかが緩くなるという記載のあるフードを両方与えてしまうと、相乗効果で下痢をしてしまうことがあります。

薬の副作用

薬の副作用で下痢を起こしている場合もあります。例えば、わかりやすいのが抗生剤です。

何らかの病気で抗生剤を飲んでいる場合、抗生剤はお腹の中の悪い菌だけでなく、善玉菌まで退治してしまいます。その結果下痢を起こしてしまうことがあります。

このため、動物病院で抗生剤を処方される時、だいたいは一緒に下痢止めを処方されます。

下痢をしていないのに下痢止めを処方されて不思議に思う飼い主さんもいるかもしれませんが、きちんと意味があって処方されているので、自己判断で薬を与えないようなことはせず、きちんと全ての薬を与えるようにしましょう。

また、その他何らかの薬を飲んでいる時に下痢をしてしまった場合は、薬の名前をメモした上で獣医さんに相談しましょう。

ストレス

人間がストレスでお腹を壊すのと同じように、猫もストレスで下痢をしてしまうことがあります。何か身の回りに最近ストレスになるようなものがなかったか確認しましょう。

ストレスの感じやすさには個体差がありますので、繊細な猫だと「飼い主さんが傍にいる時間が短かった」というようなことでも下痢のもとになります。

メモ準備!動物病院へ行くときのチェックポイント

下痢は非常に多くの病気で現れる症状なので、動物病院に行ったとしても「下痢」というだけでどの病気か診断することはできません。

そのため、診断の参考として、少しでも多くの情報を獣医さんに渡す必要があります。下痢をした猫を動物病院へ連れて行く時は以下のような点をチェックし、メモにまとめましょう。

  • 元気がない、嘔吐、発熱など他の症状がないか
  • 1日に何回下痢をしたか
  • 1回にどのくらいの量の下痢をするか
  • 下痢をしたのはいつか
  • 下痢をする前後、なにをいつどれだけ食べたか
  • 下痢をしている時に鳴いたり痛がったりする様子がないか
  • どこで下痢をするのか(トイレ、辺り構わずなど)
  • どんな下痢か(水のような下痢か、軟便に近い下痢か)
  • 色や臭いはいつもの便と比べてどうか
  • 下痢の中に白いものや虫のようなものが混ざっていないか
  • おやつなどいつもと違うものを与えなかったか
  • その他いつもと何か違うこと、気になる様子がなかったか

▼猫が下痢をしている時には、こちらの記事も参考にしてください
元気なのに下痢をしている原因と対策。お腹に優しいおすすめフードも

できれば便を持っていこう

動物病院では検便検査を行うこともありますので、便そのものを持っていくのもおすすめです。ただし、下痢は固形便と違って持ち運びにくいので、少し工夫する必要があります。

下痢を、スコップや使い捨てのスプーンなどで掬ってラップに取り、ぴったりとくるんでしまうと、持ち運びやすく、しかも空気で変質しにくいのでおすすめです。正確な検査のため、排泄してから3時間以内の便を持っていくようにしましょう。

また、どうしても持って行きにくい時はスマホなどで写真に撮るのも有効です。

猫が下痢気味な時の自宅での対処法

猫の下痢が続く時、動物病院に行ってもたまに原因不明といわれてしまう場合があります。特にフードやストレスなどが原因の場合は検査ではなかなか特定できないのでわかりにくいですし、治療法がないと飼い主さんも困ってしまいますよね。

もし猫の下痢が止まらないようなら、飼い主さんの方でもできることがいくつかありますのでご紹介します。

フードを変える

検査をしても原因不明で、しかも元気なのに下痢をするという場合、フードが原因の可能性が高くなります。その場合、フードを変えれば下痢は止まるはずです。

また、フードを混ぜて与えている場合は1種類のフードだけに絞って与えてみるなどすると、相性の善し悪しが分かりやすくなります。

敏感な猫は添加物1つで下痢をしてしまうため、フードを変えることで下痢の頻度や様子が変わるようならほぼ間違いなくフードが合わないと思われます。

整腸剤を与える

猫専用の、お腹の調子を整えるサプリメントが市販されていますので、これらの製品を利用するのもおすすめです。腸内環境が乱れて下痢を起こしている場合、乳酸菌や食物繊維のサプリメントを与えることで下痢が改善することがあります。

また、人間用の新ビオフェルミンSを1/4錠程度与えてみるのもおすすめです。

▼ビオフェルミンは動物病院でも処方されている猫に安全なお薬で、詳しい与え方についてはこちらをご覧ください
猫へのビオフェルミンの与え方。動物病院でも使用される薬の活用法

ビオフェルミンは即効性はあまりありませんが、普段のドライフードに混ぜて継続的に与えることで、次第にお腹の調子が良くなっていく効果が期待できます。

保水性の高いフードを与える

下痢をしている=すなわち便の水分量が多すぎる状態であるため、保水性の高い食物繊維を多く含んだフードを与えることで、下痢を改善できる場合があります。

食物繊維が腸の中で水を吸って膨らみ、水のような便をしっかりと固めてくれるのです。中でもおすすめなのはサイリウムを含んだフードです。

▼サイリウムは食物繊維の一種なので安心です
サイリウムで猫の腸内環境を整えよう。安全な食物繊維サイリウムとは

サイリウムを含んだフードとしてはロイヤルカナンの「消化器サポート」が有名なので、試してみるとよいでしょう。

薬ではなく食物繊維を与えるだけなので、飼い主さんも安心ではないでしょうか。

もしも下痢が止まらないようなら、ひとまずケージの中へ

猫は普段排泄は必ずトイレでするはずですが、下痢ともなるとそうはいきません。特に下痢がひどくなると、家中のあちこちで、点々と少量の下痢をし続けることがあります。

こうなってしまうと臭いもさることながら、とにかく飼い主さんの掃除が大変です。また誤って踏んでしまう可能性もあります。

もし、猫が何度も下痢をするようであればいったんケージなどの中に入ってもらい、体が落ち着くまで過ごしてもらうのも1つの方法です。

また、狭いところの方が体調が悪い猫は安心しやすくなります。ケージの床にペットシーツを敷きつめましょう。

水分をたっぷりあげよう!下痢をしている猫への食事

下痢をしている時、もう1つ注意してあげたいのが食事です。下痢をしている時は水分が体から出ていってしまっているので、できるだけ水分を多めに取らせてあげて下さい。

特に下痢が続いてしまうと、体の水分が少なくなりすぎて別の病気になってしまう可能性もあります。

あまり自主的に水を飲まないという場合は、嗜好性の高いウェットフードを利用するのがおすすめです。ウェットフードは、実はその7~8割が水分でできています。消化もしやすいのでうってつけです。

▼下痢をしている猫のために、ウェットフードをあげることで水分をプラスしてあげてください
猫の餌に適したウェットフード。こんなふうに使ってみよう!

また、胃腸への負担を和らげるため、フードは普段よりやや量を減らしたり、回数を多くしたりして小分けに与えるとよいでしょう。

よほどひどい場合でない限り、絶食の必要は特にありません。不安であれば獣医さんに相談しながら与えましょう。

猫の下痢は病気の症状のひとつ。すぐに病院へ行こう

猫の下痢は何らかの病気である場合に多い症状ですが、たまに元気でも下痢をすることがあります。下痢以外に他の症状がないかを必ず確認し、また何度も下痢をするようであれば病院へ行きましょう。

下痢を治すには病院での治療はもちろん、飼い主さんのフードの与え方なども重要です。下痢をしている時は胃腸が弱っているため、猫が消化しやすいような工夫をしてあげるのがおすすめです。

原因が判明するまで根気強く向き合い、猫の健康を守ってあげましょう。

みんなのコメント

  • 助けてください より:

    見てくれてる方がいるのか分からないけどコメント失礼します。
    飼い猫が30日から殆ど食事をとりません。2回ほど泡混じりの透明なゲロを吐いてから、31日からは水も飲まず、食事も嫌がります。
    年末年始でかかりつけ医が休業していた為、元旦の朝一でやっている動物病院にいき、吐き気止めと点滴を打ちました。
    レントゲンと血液検査の結果では原因は判明せず、翌日の朝まで食事を摂らなければ再診とのことでしたが、肛門線から液体をだすほど酷いストレスになったようなので飼い猫の心の心配をして、翌日の再診は見送りました。
    その代わり家でシリンジを使い水と猫用のミルクを与えたのですが、その後に水状の下痢便をし、今さっき緑がかった下痢をしました。また、ミルクに興味があるようなので器に移して鼻先に持っていくと、サラサラとした唾液と鼻水が大量に出てきて困惑しております。
    救急に症状を伝えても酸素室が一杯で難しいと言われてしまいました。
    猫はぐったりしていて、今は寝ています。
    男性が極端に苦手でかかりつけ医じゃないと酷く暴れてギャアと鳴き叫ぶため、明日の診察再開までに少し遠出をして救急のある病院を受診するか、近場で点滴だけでも打って今日を凌ぐか岐路に立たされています。
    どうしたらいいのかわかりません。
    何かアドバイスいただけないでしょうか。

あなたの一言もどうぞ

ページトップへ