猫の癌の症状。早期発見のために見る、行動の様子や身体のポイント

近年、癌になってしまう猫が増えています。これには猫の寿命が延びたことも関係しているでしょう。猫と長く暮らしていけることはうれしいですが、歳をとるとともにいろいろな病気にもかかりやすくなってしまうことを忘れてはいけません。

どんな病気でも同じですが、癌も早期に発見して治療を始めることが重要です。

ただ猫は、具合が悪くてもそれを自分で訴えることができません。ですから飼い主は猫の様子をいつでも気にかけ、その変化に気づいてあげることが大切です。

癌になる猫が増加!寿命が延びたことによる病気のリスクとは

猫の暮らす環境は、一昔前に比べてとても豊かになりました。フードは猫の年齢や体調などによって種類も豊富揃っていますし、感染症を予防するためのワクチンも普及してきています。病気の治療法なども進歩してきました。

これらのおかげで、猫の平均寿命はかなり伸びてきています。少し前まで室内だけで飼われている猫の平均寿命は10歳くらいと言われていました。しかし現在は15、6歳ともされます。20歳以上の猫も珍しくありません。

寿命が伸びたことはうれしいのですが、猫たちの高齢化に伴って癌になってしまう猫も増えてきました。人間にとっても同じなのですが、歳を重ねて長く生きるほど遺伝子は変異を起こしてしまい、癌になりやすくなってしまうのです。

他の病気に対しても言えることですが、癌にとって重要なことは「早期に発見し早期に治療を始める」ということです。

癌は細胞の中にある遺伝子が何かのきっかけにより突然変異を起こし、異常な増殖を繰り返していってしまう病気です。全身のどこにでもできてしまう可能性があり、放置してしまうとどんどん大きくなっていってしまいます。

さらに血液やリンパの流れに乗って他の部位へ転移してしまうこともあります。重要なのはそのような状態になる前に発見し、癌が広がらないうちに治療を開始していくことなのです。

腫瘍が見つかったなら、良性か悪性かを区別し治療を開始

腫瘍があることがわかったなら、まずはそれが良性なのか悪性なのかを区別しなくてはいけません。目で見ただけではわからないため、組織を切除して検査、診断をすることになります。

良性腫瘍であればある程度で増殖が止まり、他の部位へ転移することも少なくなります。手術で完全に切除することで、多くの場合は再発も防げます。

悪性腫瘍とは癌です。細胞はどんどん増殖を続けて広がっていってしまうため、見つかったならすぐに対応していかなくてはいけません。

癌の種類や進行状態にもよりますが、多くの場合はまず手術によって腫瘍を切除します。そして放射線療法や抗がん剤を投与して治療を行っていくようになります。

他にも免疫療法、血管新生阻害療法などがあります。医学は日々進歩していて、そのため猫の癌に対する治療法もどんどん新しいものが出てくるでしょう。

早期発見のための注目ポイント、こんなサインを見逃さないで!

人間の癌に対しても言われることですが、猫の癌でもやはり早期に発見することがその後の治療がうまく進むかどうかに関係してきます。

ただ猫は体の調子が悪くても、それを訴えることができません。痛かったり食欲がなかったりしても何も言えないのです。ですから、飼い主がその変化に気づいてあげることが大切です。

体の表面にできた腫瘍や口の中の腫瘍であれば、日常生活の中で猫とスキンシップをとっている時に気がつくことができます。猫をなでながら、体の表面に今まではなかったようなしこりはないか、口の中がただれていないかなどをみてあげてください。

頭や首の周りから尻尾の先まで、お腹も背中も全身を目で見て手で触って確認してください。口の中もしっかり見てください。しこりでなはくカサブタ状になっていたり、そのカサブタが取れてただれたようになっていることもあります。

またがん細胞が増殖していく時には栄養を取られてしまうため、猫は急にやせてきたり毛ヅヤが悪くなってきたりします。口の中の癌の場合にはグルーミングがうまくできなくなり、ボザボザの毛並みになってしまうこともあります。

食欲がなくなったり、眠っている時間が長くなったりもします。もう歳のせいかなと思っていると、実は癌などの病気が原因ということもあったりするため、気をつけてください。

定期的に健康診断を受けておくことも大切です。高齢になるほど癌になるリスクも高くなるため、7−8歳くらいからは定期的に受診した方が良いでしょう。癌以外にも様々な病気になりやすくなる年齢ですので、気をつけましょう。

お腹が腫れたり、消化管から出血がある、乾いた咳が続いているといった場合にはすぐ動物病院へ連れて行きましょう。

癌を早期発見するためのポイント

  • 体の表面や口の中にしこり(こぶ)があり、なかなか治らず大きくなっていく
  • 傷やただれがなかなか治らない
  • 特に理由もないのに急に体重が減った
  • 食欲がない
  • 口、鼻の穴、耳、肛門といったところから血もしくは膿が出る
  • 体から嫌な臭いがする
  • ご飯を食べにくそうにしている、飲み込みにくそうにしている
  • あまり動きたがらない、寝ていることが増える
  • 呼吸が不自然、排尿や排便が困難になる など

このようなことが続くようであれば、一度獣医さんに相談してみてください。

猫に多い癌の種類

猫に発生する癌として多いのは血液の癌になります。他には皮膚の腫瘍、乳腺癌、口腔癌なども多くみられます。

それぞれについて簡単にみていきましょう。

リンパ腫

猫にはもっともよくみられる血液の癌です。これは人間や犬よりも高い発生率になっています。

発症の最大の原因は猫白血病ウイルスの感染とされます。「リンパ腫」と呼ばれるほかに「悪性リンパ腫」「リンパ肉腫」とよばれることもあります。

病巣のある部位によって「縦隔型」「消化管型」「多中心型」「腎型」「皮膚型」などに分類されます。

縦隔型は2−3歳で発症しやすく、次第に食欲低下、体重減少していきます。咳や吐き気が出ることもあります。胸に水が溜まるために呼吸が苦しくなり、「おすわり」の姿勢をとるようになります。

消化管型は8歳前後に発症しやすくなります。食欲不振、体重減少、下痢、嘔吐などがあり、なんとなくだるそうで寝ていることが多くなります。消化管型では、発症に猫白血病ウイルスの感染は関係ないとされます。

乳腺腫瘍(乳がん)

乳腺腫瘍のほとんどがメスに発症しています。特に不妊手術をしていないメスに発症しやすく、また高齢になるほど発症しやすくなっています。猫の平均寿命が延びたことで発症も増えてきています。

7−8割は悪性で、また転移もしやすい癌です。不妊手術の有無で発症のしやすさが違うことから、ホルモンの作用が影響していると考えられています。シャム猫にも多く、若い時に発症する例も多いことから遺伝も関係していると考えられます。

胸部から腹部にかけてしこりができますが、初期にはとても小さく痛みもないため気がつかないこともあります。早い時期にリンパ節や肺などにも転移しやすく、やがて呼吸が苦しい、咳が続く、元気がない、食欲がないといった症状が出てきます。

初期の症状を見逃さないためにも、飼い主は曜日を決めたりして丁寧にお腹を触ってあげてください。特に不妊手術をしていない高齢のメスは気をつけましょう。

初めての発情前に不妊手術をすることである程度防ぐことのできる癌とされ、そのため1歳未満で不妊手術をしておいた方が良いとも言われます。

肥満細胞腫

肥満細胞は、人間では花粉症やアトピーを引き起こすとされる細胞です。ただし人間の場合には腫瘍化することはありません。

猫の場合にはこの肥満細胞が腫瘍化し、肥満細胞腫となります。どの年齢でもみられますが、特に8−9歳くらいで発症することが多くなります。

皮膚に発症する皮膚型と内臓に発症する内臓型とがあり、皮膚に発症するものは比較的よく見られます。

「皮膚型肥満細胞腫」では、特に頭や首の周りに小さな硬いしこりができます。しこりの数は一つのことが多いですが複数できることもあり、その部分は脱毛してしまっています。

定期的に猫の皮膚の状態をチェックしてあげることで、異変に気がつきやすい癌になります。気になることがあれば、念のためすぐ動物病院へ連れて行きましょう。

「内臓型肥満細胞腫」では脾臓や小腸などに発症し、食欲が低下したり嘔吐などの症状がみられます。そしてそのうち、元気がなくなり体重も減少してくるようになります。またお腹を触るとしこりがあったり、妙にお腹が出ていたりします。

猫は健康な状態でも吐いてしまうことが多く、たまに吐いてしまっていてもそれほど心配されない飼い主も多いかと思います。ただあまりにもよく吐いてしまっている時には何か問題があるのかもしれません。獣医さんに相談してみるようにしましょう。

扁平上皮癌

扁平上皮癌の最大の原因は太陽の光だとされます。日照時間の長い地域に住んでいる猫や、よく日光浴をして太陽光をたくさん浴びている猫ほどなりやすいとされます。また白い猫の方が発症しやすく、12歳くらいと歳をとるほどなりやすくなります。

特に顔に発症しやすく、しこりというよりカサブタができていたり、カサブタがとれてただれたようになっていたりすることが多くなります。飼い主は引っかき傷がなかなか治らないと思ってしまうこともあるようです。

治りの悪い傷、治ったと思ってもまたできてしまう傷は何か原因があるかもしれません。念のため、みてもらった方が良いでしょう。

日向ぼっこが好きな猫ちゃんは多いですが、あまりに長時間窓際で太陽の光を浴びているようでしたら注意してください。特に白い猫や高齢の猫は気をつけましょう。

口腔腫瘍

口の中に発症してしまう悪性腫瘍としては「扁平上皮癌」「メラノーマ」などがあります。初期の段階では口の中に腫瘍ができていることに気がつきにくく、ある程度進行してから発見されることが多くなります。

初期の症状としてはご飯を食べるのを嫌がるようになり、ご飯をこぼしやすくなったり口の周りを汚しやすくなったりします。やがて口臭がひどくなり、血液の混じったよだれを大量に垂らすようになります。

そして体重が減少して元気がなくなり、徐々に衰弱していきます。口の中などに痛みがあるために自分でグルーミングをできなくなり、毛並みも悪くなって外見がみすぼらしくなっていくこともあります。

口腔腫瘍は、他の癌に比べても危険な癌と言えます。口の中に腫瘍ができてしまうことでご飯が食べられなくなり、そのためにさらに状態が悪くなっていってしまうのです。

もちろん早期発見すればしっかり治療をしていくことも可能なため、初期の段階で飼い主が異変に気づくことが大切でしょう。

体の表面の変化については、遊んでいる時などに気がつきやすいと思います。しかし口の中まで見てあげる習慣がないと、つい気がつかないままになってしまうことも考えられます。

普段から定期的に体の表面、そしてそのあとには口の中も隅々まで細かく見る日を決めてチェックしていくようにすると良いでしょう。

最近の研究で、タバコの煙が口腔内扁平上皮癌の発症リスクになることがわかってきました。受動喫煙の問題などが叫ばれていますが、タバコは猫にも害になってしまうようです。

愛猫の健康を守れるのは、一番近くにいる飼い主だけ

このように猫の癌にはいろいろなものがありますが、特に多いのは血液の癌にになります。血液の癌や体の中にできた癌の場合には、猫は何も訴えてくれないため飼い主が早期に発見することは難しいかもしれません。

ただ癌が進行してくると、猫はいつもと同じようにご飯を食べていても痩せてきてしまいます。急に痩せてきてしまったときには何か異変が起きているかもしれないため、獣医に相談してみてください。

他に元気がなくなったり貧血気味になる、頻繁に嘔吐するようになる、呼吸が荒くなったりお腹が膨れてくるといった症状が現れることもあります。

体の表面にできた癌の場合には、飼い主は早期に発見できることも多いでしょう。普段から体に触れて撫でたりするようにし、口の中も見るようにすることで、変化に気づくことができるのです。早期に発見することで、治療も効果が出やすくなります。

猫の健康を守れるのは、飼い主だけです。何となくおかしいなと違和感があったときには、動物病院へ行ってみるようにしましょう。

そのためにも、普段から定期検診を受けたりして相談をしやすいかかりつけの動物病院があると安心です。

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