猫のタウリン不足がおよぼす怖い影響!発育遅延や心臓疾患の原因に

飼い主さんにとって猫の健康は何にも代えがたいものです。日ごろから食事に気を配っている方も多いのではないでしょうか?

新しいキャットフードが次々と発売される中、いったいどれを選んだらよいのか悩んでしまいますね。

猫は好みがはっきりしていますから、喜んで食べるかどうかは気になるところです。また、排泄の調子はどうだろう?など、チェックしたいポイントがいくつかあります。

そんな中、知っておきたい成分のひとつに、タウリンがあります。 栄養ドリンクの広告でよく目にするタウリン。実は、猫にとっても大切な栄養素でした。猫とタウリンの関係について、ご紹介します。

そもそもタウリンって?栄養ドリンクでよく見る成分の解説

滋養強壮や疲労回復などのイメージがあるタウリンは、アミノ酸の一種です。(広義にはアミノ酸といえますが、たんぱく質の組成成分ではありません。)

動物の内臓や魚介類に多く含まれていて、コレステロールやアルコールを分解したり、高血圧を防ぐなどの働きがあります。

また動物の筋肉の中に多く含まれていることから、臓器を守る働きがあるとも考えられており、マラソンなどの持久力を必要とする運動をする際には、脂肪の代謝を助けてくれることもわかっています。

これらの効果から、栄養ドリンクには欠かせない成分となりました。タウリンは疲労回復だけでなく、身体機能を維持するために欠かせない大切な栄養素なのです。

なぜ猫にタウリンが必要なの?フードで補う大事な2つの理由

すべての生物にとって重要な役割を果たすタウリンが、とくに猫に必要な理由はほかにもありました。猫の食生活から見てみましょう。

元来猫は肉食で、魚や鳥、ネズミなどを捕って丸ごと食べていました。今でも外で暮らす猫は、狩りをしていることもあるでしょう。エサとなる動物の内臓からタウリンを摂取することができたのです。

一方、人間とともに暮らす猫はご飯を与えられているわけですが、多くの方がキャットフードを利用しているのではないでしょうか?キャットフードの始まりは、1950年代。当時は犬猫両用のペットフードとして販売されました。

手軽に与えられるため、多くの人が犬・猫に与えたのですが、しばらくするとペットフードを食べている猫たちの体調不良が報告されるようになります。

栄養不良による

  • 成長不全
  • 目の疾患
  • 心臓疾患

など様々な症状が現れました。研究者たちは急いで原因の究明に出ます。すると、猫独自の代謝が発覚しました。

理由①猫は体内でタウリンを生成する力が小さい

他の動物は、体内でシステイン等の含硫アミノ酸からタウリンを合成することができます。しかし、猫はこの機能が十分ではないため、毎回の食事でタウリンを摂取する必要があることがわかりました。

理由②猫は体内でタウリンを再利用する力が小さい

人の体内ではタウリンは、胆汁酸が腸と肝臓を循環することで再利用されます。しかし、猫の腸内で余剰となったタウリンは、排出されることがわかりました。

つまり、必要量が多く生成・再利用率が低いため、猫は毎回の食事から直接タウリンを摂取しなければなりません。猫にとってタウリンは、必須アミノ酸といえるのです。

猫はタウリンが不足するとどうなるの?具体的な疾患の種類

タウリン欠乏によって、以下のような疾患が起こります。

  • 母猫のタウリン欠乏による胎仔の虚弱、小脳瀬発育不全、後肢発達異常
  • 雄猫においては、精巣発達不全・発育遅延
  • 子猫・成猫にかかわらず拡張型心筋症などの心臓疾患

妊娠中の猫や子猫の時期には特に、十分な量を摂取することが大切です。

どのくらいの量を与えればいい?推奨量とキャットフードの配合の有無

AAFCO(米国飼料検査官協会Association of American Feed Control Official)では推奨量を次のように公開しています。

  • ドライフード…1000mg/kg
  • ウェットフード…2000mg/kg

また、FEDIAF(欧州ペットフード工業会連合)の推奨量は次の通りです。

  • ドライフード…1000mg/kg
  • ウェットフード…1700mg/kg

最近ではタウリンの重要性は認識されており、ほとんどのキャットフードに含まれています。あまり神経質になる必要はありませんが、気になるようでしたら購入する際に成分表を確認すると良いでしょう。

また、手作り食を与えている場合には、獣医さんにも相談して栄養バランスを確認しましょう。

サプリメントで与える際の注意点

余剰分が排泄されるので、タウリンについては過剰摂取による健康被害の心配はありません。ですから、サプリメントで補うこともできます。

ライフステージに合わせた総合栄養食を与えていれば十分な量が摂取できますが、妊娠中や授乳期などは獣医さんに相談して与えるのもよいでしょう。

筆者宅では4年前に、3匹の子猫が生まれました。妊娠に気づいておらず(たった一回の脱走中に、妊娠していました)、キャットフード以外のものは与えていなかったのですが、母体も子猫も健康体です。あまり神経質にならないようにしましょう。

ただし、他の成分が添加されているサプリメントやおやつで補給する場合には、

  • ビタミン
  • ミネラル
  • 塩分
  • たんぱく質

など他の成分の過剰摂取には十分気を付けましょう。健康を損なってしまっては元も子もないですからね。

猫さんの健康のために。飼い主さんがしっかり健康状態をみてあげよう

飼い主さんの願い、それは愛猫がいつまでも健康で長生きをしてくれることです。食事を少し工夫するだけで健康でいてくれるなら、こんなにうれしいことはありませんね。

毎日の食べ方や量、排泄などをよく見てあげて、健康状態を理解してあげることが大切です。

とは言え、心配しすぎても仕方ないですし、猫さんも察して神経質になってしまいます。ゆったりのんびり、猫さんとの暮らしを楽しみましょう。

すべての猫さんたちが幸せでありますように。

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