動物愛護法とは。意外に身近なこの法律を簡単に解説します

動物愛護法。聞いた事あるけど一体どんな法律なのか、私たち猫好きの生活にも何か関係しているのか、とても気になりますね。

気になるけど法律って難しい言い回しで漢字ばかりで、なんとなく懸念してしまいます。結局意味がわからない事も多々ありますよね。

この動物愛護法について、キャットシッターの筆者が、かいつまんで解りやすい言葉で解説します。

私たち猫好き、猫の飼い主さんに関係した、わたしたちの生活に関係している重要なポイントを簡単にまとめてみました!皆様の生活のお役に立てれば嬉しいです。


動物愛護法のはじまり

動物愛護法は、1973年9月に「動物の保護及び管理に関する法律」が定められたことがはじまりです。昔はまだまだ行政や国民全体にも、動物愛護の考えがまだまだ浸透していいませんでした。その為、犬や猫などとメインとした負傷動物の引き取り・収容を主な目的として制定されました。

その後、ペットと暮らす人がどんどん増え、次第に飼育目的や飼育方法が変化してきた事をきっかけに、1999年に改正法が成立しました。「動物の愛護及び管理に関する法律」と名称を改め、時代のニーズにどんどん合わせていき改正を繰り返しながら、現在に至っています。

おおまかな内容は?

動物愛護法はおおまかに説明すると、

  • 動物の命をいつくしむ心を育み、豊かな人間社会を築きあげること。
  • 適正飼育をすることで、動物が原因のトラブルから人の生命身体や財産を守ること。

この2点が中心となります。

動物やペットはすべて可愛がって育て、私たちの心を豊かにしよう! 危険動物などは決まりを守って飼育し私たちの安全を守ろう!という事です。

虐待や遺棄なんてもってのほか、ライオンなどの危険といわれている動物は野放しにしちゃダメだよ、キチンと管理してね、じゃないと逮捕されますよ、という事がこの内容に含まれています。

テレビのニュースなどでも問題になっている動物虐待や、繁殖によって多頭飼育崩壊で捕まってしまう人というのはこの動物愛護法違反にあたり逮捕に至っているという訳です。

細かく説明すると、飼育環境下にある動物(ペットなどの家庭動物、サーカスや動物園などの産業動物など)と、その責任者(一般飼育者、動物取扱業者など)にまつわる規制やルール、都道府県ごとの動物行政の在り方など、動物の関するさまざまな難しい内容が盛り込まれています。

私は資格取得の為、現行の動物愛護法も学びましたが、資料を読んでいると絶対に眠くなります。それくらい細かく、分厚く、細かい事がたくさん書かれています。さすが法律…。

私たちの生活に関係していること

平成24年に法改正があってから、その内容はさらに私たちも他人事ではない内容に近づきました。ペットブームの為、動物と生活するようになった世帯が増えている事がこの改正から解ります。

動物取扱業者(販売業者)の適正化

犬や猫などの販売業者に対して、「犬猫等健康安全計画」の策定が義務付けられました。ペットショップやブリーダーから購入する飼い主側も知っておくべき内容です。

販売するに当たって、生まれたばかりの幼齢期の動物への配慮や、劣悪な環境での過剰な繁殖が見られること、また販売が困難になった際の取り扱いが不明確であったことが問題となり、この内容が追加されました。

子犬や子猫、そのお父さんやお母さんなどの健康状態や安全を守るための体制や整備、販売することが困難となった場合の取扱い、健康や安全保持に配慮した飼養・保管・繁殖・展示方法などが事細かに定められました。

全て事業者ごとに管理しなくてはいけない内容で、抜き打ちチェックなども行われています。これを怠ると法律で罰せられる、ということになります。繁殖ばかり行い劣悪な環境で飼育しているブリーダーが逮捕されたりするのはこの内容にあたります。

私たち購入する側も、このように管理を怠り、動物をお金にしか見ていない心無いブリーダーからは購入したくないものです。

多頭飼育の適正化

最近お年寄りに多い、飼育崩壊。かわいそうだから去勢避妊はしない、というポリシーを貫き気づいたらどんどん増えて金銭的にも自宅の広さ的にも飼育できなくなる方がいます。

この考え方、管理方法が逆に「動物虐待」にあたり罰せられることがあります。

多頭飼育にとって生活環境上の支障が生じている場合、都道府県知事は飼い主に対してその状況を改善するための勧告・命令を行うことができるようになりました。逆に平成24年までは個人的な事なので行政はどうにも出来なかった、という事です。

勧告・命令の対象となる内容が明確化され(騒音、悪臭、動物の毛の飛散、多数の昆虫の発生などが挙げられます)また虐待のおそれのある事態についても勧告・命令の対象に追加されました。

犬や猫の引き取りに関して

各都道府県は犬や猫の所有者から引き取りを求められた場合、引き取りを拒否することが出来ることが、明確に記載されました。引き取りは行いますが個人の身勝手な理由の場合、むやみに引き取らずに済むようになったという事です。

下記のような場合は拒否出来るという事が定められました。

  • 動物取扱業者(ブリーダーやペットショップなど)から引き取りを求められた場合
  • 所有者(飼い主など)から引き取りを繰り返し求められた場合
  • 繁殖制限の助言に従わずに子犬や子猫を何度も産ませた場合
  • 病気や高齢を理由とする場合

また、引き取った犬や猫の返還及び譲渡に関する努力義務規定も設定されました。上記のような理由で引き取りを求める人間が存在している事にショックが隠せませんがこのような決まりが出来た現在でも、非常に問題になっています。

災害対応

都道府県が策定する「動物愛護管理推進計画」に、災害時の対応について記載することが義務付けられ、動物愛護推進員の役割に災害時の協力が追加されました。

また飼い主も、災害時に備えたペットの為の準備や同行避難を求められています。

その他(終生飼養に係る努力義務など)

動物の所有者の責務として、終生飼養や適正な繁殖に係る努力義務が加えられました。

ペットはもちろん、ブリーダーもペットショップも、動物園も、飼育している動物は全て、適正環境で優しく最後まで面倒をみましょうという内容です。

普通の感覚の人からしたら当たり前の事ですが、一部の心無い人間がいる事から、わざわざこんなことを法律で定めなくてはいけなくなりました。なんだか人としてとても情けないような気がし、切なくなります。

野良猫や地域猫にエサをあげたら罰せられる?

動物愛護法は全ての犬猫、その他動物全てが当てはまっている物で、特別猫だけに特化した内容はありません。

上記にあげた内容は全て飼い猫にも当てはまり、私たち人間がしっかり守らなくてはなりません。

そんな中、たびたび問題になる野良猫や地域猫問題。

自宅で飼えないのにエサなどを外で隠れてあげ、近隣住民が糞尿の被害に合ったり、エサの後始末をしなくてはならなかったり…可愛いと思っているだけで無責任な行動だという認識の方が多くいらっしゃると思います。

飼い主がいない猫にこっそりご飯をあげる事は動物愛護法違反になるのでしょうか?

現在、野良猫は存在するけど野良犬はほとんど見られない世の中のなっているので、猫好きが目を背けられない一番の内容になるのではないかと考えます。

結論からいうと法律違反ではありませんが、2018年の現在でも非常にグレーな項目となっています。

動物を守る為に動物愛護法が存在するのに、いくら野良猫とは言え食べられない環境を故意的に作り出して皆殺しに出来るでしょうか?殺処分は控えたい、減らせ!という世の中なのに、これでは話の筋がまったく通りません。

2015年2月、京都市が審議を始めた「動物による迷惑等の防止に関する条例」案が、「野良猫への餌やりを禁止する条例」だとして話題になりました。

最終的に、この条例案には修正が入り「市民等は,所有者等のない動物に対して給餌を行うときは,適切な方法により行うこととし,周辺の住民の生活環境に悪影響を及ぼすような餌やりを行ってはならない」という内容で決定し、同年7月から施行されています。

ここで巻き起こった野良猫の餌やりの巡る議論は、「野良猫」の立ち位置の難しさを物語っている事が解ります。

もちろん、野良猫は動物愛護法の対象動物です。

食べるものが無く、飢えている野良猫に餌をあげる行為だけ見ると、違法ではありません。ですが無条件での餌やりを推奨しているわけではないということを忘れてはいけません。

動物愛護法は、「動物の管理に関する事項を定めて動物による人の生命、身体及び財産に対する侵害並びに生活環境の保全上の支障を防止し、もつて人と動物の共生する社会の実現を図る」ことが目的です。

これは「人のため」という前提にある法律なのです。そのため、人の生活環境に悪影響が起きる餌やりをしてはならないと決められています。先ほどの京都市の条例には罰則規定があり、不適切な餌やりをして市長の勧告・命令に従わなかった場合は「5万円以下の過料に処する」とされています。

このように、京都市に限らず同じような条例を定めている地域はいくつか存在します。

動物は人間の心を豊かにしてくれる。そんな動物と正しく優しく過ごそう

野良猫に関する内容が長くなってしまいましたが動物愛護法に関してご理解頂けたでしょうか?

私たち人間と、ペットである動物たちが安全に豊かに過ごす為のとても大切な法律です。私たち愛猫家からすれば自然に守る事ができる当たり前の内容ばかりですが、この法律が出来る前、動物たちはどんな風に扱われていたんだろうと、考えるととても心が痛みます。

正しい知識を持ってこれからもペットを可愛がって、この世に生まれた全ての動物に幸せになってもらいたいですね!

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