「最近うちの猫、なんだかちゃんとウンチをしていないような……」「ご飯をあまり食べていないんじゃないかな?」猫を飼っていれば、ある日こんな風に感じることもあるかもしれません。
猫は自分の体に不調があったとしても、「ここがおかしいんだよ~」と教えてくれたりはしませんよね。
むしろ、猫は基本的に身体の悪い部分を隠そうとしてしまうものなんです。だから、猫の不調は飼い主が見つけてあげないといけないんですよね。
猫の便秘ってどうしても分かりづらいものなんですが、飼い主が日頃から猫の様子をしっかりとチェックしておくことで少しの異変であっても気付いてあげられます。「たかが便秘」とそのまま放置するのではなく、きちんと原因を見極め対策しましょう。
この記事の目次
1日1回以上の排便が基本。元気な時の猫の排便状況を知っておこう
基本的に猫は、1日に1回以上は排便をしています。もちろん猫によって個体差はありますから、1度にたくさんの量の排便をする猫もいれば何回かに分けて排便をする猫もいます。
餌の種類によっても変わりますよね。
飼い主さんが毎日猫のトイレを掃除していれば、「今日はウンチしているね」とか「今日はウンチなかったけど、明日はちゃんと出るかな」など、日頃から気にしておくことができます。
毎日の排便状況を把握しておくことで、「通常の元気な猫はこのくらいの間隔と量のウンチをする」ということが分かります。
いつもの状態を知っておくことで、何か異変があった時にすぐに気付くことができるんです。
便の硬さや色で元気の度合いをチェックする
猫のウンチはコロコロしているイメージがありますよね。それもそのはず、猫は犬よりも水分を摂取する量が少ないので、コロコロウンチが通常の硬さになるんです。
いつもよりかなり柔らかくて掃除をする時にクニュッとつぶれるくらいの硬さなら、下痢になっている状態を表しています。
さらに、この時のウンチの色は焦げ茶色がベストです。色がベージュのように薄すぎる場合は消化が上手くいっていないということでしょう。
逆に色が濃すぎる場合には、腸や胃の中での出血が起きているかもしれません。
〇 | ? | |
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かたさ | 持ち上げても崩れない、猫砂があまりつかない | 柔らかくてクニュッとつぶれる硬さ |
色 | つやがある焦げ茶色 | ベージュのように薄い、血が混じった濃い色 |
2日や3日でなければ立派な便秘!毎日排便チェックしましょう
「猫って何日から便秘になるのか、よく分からない」と思われる飼い主さんも多いでしょう。
上の項目でも書きましたが、猫は基本的に1日に少なくても1回はウンチをします。猫トイレを掃除した時にウンチがないようなら、便秘ということになりますよね。
1日ウンチをしていなくても翌日に出ればまず大丈夫ですが、そのまま2日や3日出ていなければ猫はかなり苦しい状態になってしまっているでしょう。
猫トイレは毎日同じ時間に掃除するのがオススメ
猫のトイレを決まった時間に掃除するようにしておけば、ウンチがないことにも気付きやすいですよね。
逆にいつも色んな時間に猫トイレを掃除してしまうと、どのタイミングで猫がウンチをしたのか分からなくなったりしてしまいます。
それに猫がちょうどウンチをしたいタイミングの時に掃除をすることで、邪魔をしてしまうことになるかもしれません。
猫は個体差もありますが、毎日決まった時間帯にウンチをする猫が多いんです。
それを見極めるためにも、猫トイレを掃除するタイミングは同じようにしておくことをオススメします。
▼猫ちゃんは清潔なトイレが大好き。猫のトイレ掃除をする時のポイントを押さえましょう
猫ちゃんのトイレのお掃除、清潔なトイレをキープしてあげよう
猫はなるべく綺麗なトイレで掃除したいので、掃除したすぐ後にトイレに駆け込む……なんてことも多いですよ。
ちなみにうちの愛猫の先生も、いつも朝5時過ぎにトイレを掃除したあとに入るのが習慣になっています。
お掃除いつもありがとにゃ。
猫のウンチは、健康に直結しています。毎日元気でいるかどうかは猫のトイレを掃除するときに分かるのです。
その他にも、日頃から猫の行動や様子、ご飯の食べ具合などをよくチェックしておくことは大切です。
猫によってトイレ状況も違いますから、「この猫はいつもこのパターン」と覚えておけば、ちょっと調子が崩れた時にもすぐに気付いてあげることができるでしょう。
そして何か異変を感じた時には、病院に行くなど早めの対応をしてあげてくださいね。
猫が見せる便秘のサイン
猫の便秘というのは意外と多く、犬と比べてみると猫の方が多いんです。
さらに、消化機能が弱ってきたメスの高齢の猫が、比較的便秘の症状が出やすいようです。
下記のような行動が見られたら、まっさきに便秘を疑うようにしてください。
猫トイレの周りをウロウロ歩き回っている
猫がトイレの周りを、意味もなく歩き回っていないでしょうか。それは「トイレに行きたいような……でもウンチ、出ないからな~」という猫の葛藤の表れです。
お腹がパンパンになっていて硬い、触ると怒る
毎日猫を抱っこしていれば、お腹を触った時に〈いつもよりお腹が硬いかも?〉と気付くかもしれません。
いつもは抱っこさせてくれるのに抱っこを嫌がったり、いつもよりも攻撃的になっている時はお腹をそっと触って柔らかさをチェックしてみてくださいね。
▼猫のお腹がなんとなく膨らんでいる?と思ったら要チェックです
本当はこわい便秘に注意!愛猫を苦しめる原因と症状とは
猫トイレできばんでみても、何も出ていないようだ
実際に猫トイレに入って、上に乗ってみるんだけどそのまま止まっていて出ている様子がない。掃除などもせず、そのままでてきてしまう。
こんな時は「頑張ってきばんでみたけどウンチが出ない」という、猫からしてもとても辛い症状に陥っている可能性があります。
この時の猫の表情も、普段よりも硬く苦しそうなものになってしまっている事でしょう。
最近、食欲不振でご飯をあまり食べてくれない
便秘になると、人間でもあまり食べれなくなりますよね。
猫の場合もそれと同じで、便秘になればウンチが詰まってしまうわけですからお腹もあまり空かなくなってしまいます。
さらに、嘔吐をしてしまったり、猫の口が臭くなってしまうこともあるのでこれらの症状を見かけたらかなり深刻な便秘であると考えましょう。
▼猫の便秘でみられる症状については、こちらをご覧ください
本当はこわい便秘に注意!愛猫を苦しめる原因と症状とは
猫の便秘の原因はたくさん!思い当るものはありませんか?
猫が便秘になってしまう原因は、1つではありません。猫の便秘には実に様々な要因があるんです。
あなたと暮らしている猫ちゃんがどれに当てはまるか、チェックしてみてくださいね。
- 精神的なストレスが溜まっている
- ご飯の中の食物繊維が足りていない
- 必要な量の水分を摂取できていない
- 薬などの影響を受けている
- トイレが汚いからウンチを我慢している
- 事故などによって骨盤が狭くなっている
- 毛球症になってしまっている
- 巨大結腸症になってしまっている
- 単純に運動量が少ない
- 歳を取って老化したから
猫の便秘には、こんなにもたくさんの原因が考えられるのです。ご自分の猫がどのパターンなのかよく考えて、思い付く場合には改善できるようにしてあげてくださいね。
愛猫が便秘になってしまった!自宅でできる改善方法
猫の便秘があまりにも長く続いているのにそのまま放置していると、猫にとっては非常に苦しく、健康に大きな被害が及びます。
また、症状がひどくなるとかたすぎる便を自分で排せつすることができなくなり、肛門から指をいれてダイレクトに便をとる摘便という方法をとらなければなりません。
摘便は猫にとって非常にストレスのかかる治療法です。
一度は便が出ても、根本的な原因を解決しないとまた便秘になり、猫にとって負担の大きい摘便を何度もしなければならない悪循環におちいってしまいます。
ここまでひどい状態にならないためにも、便秘の初期段階で対策をしてあげることが肝心です。
日常生活でできる便秘の改善方法についてご紹介します。
整腸剤やサプリメントでお腹の調子を整える
最近、ペットへの健康志向が高まり、さまざまなペット用サプリメントが販売されています。
便秘のときに効果があるサプリメントは、乳酸菌がふくまれているサプリメントです。
腸のなかには100種類以上、100兆個を超える細菌が住んでいます。乳酸菌で善玉菌や悪玉菌のバランスを整えることが快便へとつながるのです。
また、腸内の環境を整えることで免疫力もあがり、さまざまな病気の予防にもつながります。
猫は、人間のようにお腹の調子が悪いからといってヨーグルトなどの乳製品を摂ることができません。
乳酸菌のサプリメントには顆粒タイプのものもあるので、ドライフードやウェットフードに混ぜて与えてください。
▼ご飯での便秘解消法については、こちらをご覧ください
スムーズな排便のカギは毎日の食環境!愛猫の便秘を改善する方法
胃腸の機能が弱って便秘になっている場合は、お医者さんを受診し、整腸剤を処方してもらいましょう。
下剤などはお医者さんと相談して、効き目の弱いものから与えていきましょう。
さらにひどいときは浣腸などの方法がありますが、子猫や高齢の猫には負担が大きいのでやりすぎないよう注意してください。
たとえ赤ちゃん用のものであっても人間用ではなく、動物病院で処方されたものを使用してください。
ストレス解消で便秘も改善!?
猫はストレスを感じやすい生き物です。
腸の蠕動運動をつかさどる自律神経が、ストレスによって機能しなくなることで便秘を引き起こしている可能があります。
日ごろから猫にとって過ごしやすい環境をつくってあげることが大切です。
マッサージや静かな環境でリラックスした状態をつくると、副交感神経が蠕動運動を促し、便秘の解消に効果がみられます。
また、新しい猫を飼ったとき、先住猫がストレスで便秘になってしまうこともあります。新しい猫はゲージへいれるなど、ストレスをためない工夫が必要です。
飼われている環境への不満を無くし、ストレスの原因を取り除いてあげることで便秘を改善に導きましょう。
静かな場所を好むきれい好きな猫は、人間が気にならないような音や汚れにも敏感に反応します。
トイレは猫の数+1つ用意してください。飼い主が留守中にひとつが汚れても、もうひとつのトイレをきれいなまま使うことができます。
多頭飼いだとすぐにトイレが汚れてしまうので、こまめに掃除しましょう。
また、トイレは猫が安心して排便ができる静かな場所に設置してください。
猫は自分のにおいを隠したがる習性があるので、人がよく通る場所や洗濯機の横などの大きな音がする場所は避けましょう。
猫はとてもストレスを感じやすく、繊細な生き物あるということを理解し、猫にとって過ごしやすい環境づくりを心がけてください。
▼多頭飼いによって猫のトイレストレスが起きていないか、日頃からチェックしてあげてくださいね
深刻な多頭飼いのトイレ問題!ストレスフリーな生活は猫トイレから
毛が抜ける季節は特に注意!毛玉対策で便秘を予防
便秘は、胃腸にたまった毛玉が原因の場合もあります。
特に毛が抜けやすい時期は、グルーミングで多くの毛を飲み込んでしまい、その毛玉をうまく吐き出せないことで、どんどん毛が胃腸にたまっていきます。
毛玉が胃腸のなかで丸まって大きくつまると、食べたものが毛玉に邪魔されて届かずに、 嘔吐や便秘を引き起こすことも。
こまめにブラッシングやシャンプーでケアしてあげることで、体内にたまる毛を防ぎましょう。
やはり長毛の猫の方が便秘になりやすいので、特に念入りにケアしてあげてください。
皮膚を清潔に保ち、毛の飲み込みを防止することで便秘を予防しましょう。
▼猫の体内に毛が溜まることで毛球症になっていないか、毎日のブラッシングなどでしっかりと予防しましょう
猫の毛球症について知る。具体的な症状と日頃からできる予防法
便秘につながる運動不足を解消しよう
猫は1日中のんびり眠っているようなイメージがありますが、実は運動も必要不可欠です。
身体を動かさないと胃腸などの内臓がうまく機能しなくなり、便秘になりやすい傾向があります。
さらに、腹筋を強化することで便を押し出す力が強くなるので、1日15分だけでも意識的に遊んであげてください。
留守番が多い猫は、キャットタワーで上下運動をさせるなど、運動不足を解消して便秘を予防しましょう。
肥満の猫や高齢の猫は運動不足になりやすいので、意識的に遊んであげてください。
愛猫とのリラックスタイム!マッサージで便秘解消
愛猫がゴロゴロのどを鳴らしてとなりにいる時間は何よりも幸せな瞬間ですよね。
さらにマッサージをしてあげることで、コミュニケーションもとれて便秘も改善することができます。
猫がリラックスしているとき、お腹に「の」の字をかくように優しくもんでください。腸に溜まっているガス抜きになります。
お腹を触られることがきらいな猫もいるので、無理やりにすることはやめましょう。
肥満の猫や便秘の症状が進行している猫は効果が出にくいですが、まだ便秘の初期段階の猫は、お腹を手で温めるだけでも便秘が改善されることがあります。
絶対に強く押さず、皮膚を撫でるようにマッサージしてください。
また、猫にも人間と同じように便秘解消のツボがあります。
猫をブラッシングしたときに、お尻をちょっとあげる仕草をすると思います。そのしっぽの付け根あたりは、身体のバランスを支えるための重要な部分です。
この尾てい骨付近をなでることで反応し、便が出やすくなることもあるのです。
さらに、両わきにある仙腸というツボは、その名の通り腸に近い部分のツボです。
結腸のある左側のお腹や脚の付け根あたりをマッサージすることで胃腸の動きが活発になります。背後から抱っこすると触りやすいので、ぜひ試してみてください。
ツボ押しもマッサージと同様に、嫌がったらすぐにやめましょう。
▼猫の便秘マッサージのスッキリポイントをチェックしてください
スッキリにゃ!猫の便秘マッサージのコツ&気持ちいい~ポイント
便は健康のバロメーター!飼い主さんがきちんと管理しましょう
便秘に気づくためには、注意して猫を見ている必要があります。
- いつもと便の状態が変わった
- トイレの回数は増えているが排便していない
- お腹をさわるといやがる
など、ささいなことから便秘の初期段階に気づいて対策をしましょう。
また、3日以上便秘が続くようなら、病院を受診してください。
病院では
- いつから排便していないか
- 便秘以外の症状
- 便秘の前後の食事
など、飼い猫の症状を正確に伝えてください。
便は健康のバロメーターです。きちんとチェックし、愛猫の便秘を予防・改善に導きましょう。
猫は身体に異変があっても自分で伝えたりすることはありませんから、飼い主が日頃の生活の中で気付いてあげることが何よりも大切になります。
毎日ウンチをしていることをチェックすることで猫の健康をお肌で感じながら、楽しい猫との生活を楽しんでくださいね。